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ソフトクリエイトホールディングスは22年3月期業績予想を上方修正、23年3月期も収益拡大基調
- 2022/4/19 08:32
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東証プライム)はECソリューション事業およびITソリューション事業を展開し、成長戦略としてクラウドサービスの拡大を推進している。4月18日の取引時間終了後に22年3月期業績予想を上方修正した。ECサイト構築、クラウドサービス、ワークフローサービス、さらにインフラ・セキュリティ分野の需要が好調に推移し、前回予想に比べて増収増益幅が拡大した。EC市場拡大やDXの流れも背景として、積極的な事業展開で23年3月期も収益拡大基調だろう。株価は3月の上場来高値圏から利益確定売りで一旦反落したが、好業績を再評価して上値を試す展開を期待したい。
■ECソリューション事業とITソリューション事業を展開
ITソリューションサービスを展開する持株会社である。セグメント区分(22年3月期から変更)は、ECソリューション事業(ECサイト構築ecbeing、デジタルマーケティング、ECクラウドサービス)およびITソリューション事業(ITクラウドサービス、セキュリティ・インフラ構築サービス、パッケージ、IT機器販売)としている。
21年3月期のセグメント別売上高(収益認識基準適用前)は、ECソリューション事業が116.9億円(ECサイト構築ecbeingが67.3億円、デジタルマーケティングが43.4億円、ECクラウドサービスが6.1億円)、ITソリューション事業が125.5億円(ITクラウドサービスが13.2億円、セキュリティ・インフラ構築サービスが38.1億円、パッケージが17.4億円、IT機器販売が56.5億円)だった。
ECソリューション事業は、連結子会社ecbeingのECサイト構築ソフトecbeingの販売・保守・ホスティングサービスが主力である。ECサイト構築からマーケティング支援やデータ分析までワンストップで対応していることが強みとして、中~大規模顧客向けを中心に、国内ECサイト累計構築実績は21年3月期末時点で1400サイトを突破している。市場シェアは13年連続1位(出典:富士キメラ総研社の富士マーケティングレポート ECサイト構築パッケージソリューション市場占有率調査)である。
なお連結子会社ecbeingは22年2月、中華圏をはじめとする海外市場向けマーケティング事業・越境EC支援事業を展開するクロスシー(東京都)の第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。システム面での連携を強化し、より付加価値の高い中国市場向けソーシャル越境EC事業の実現を目指す。また22年3月には、ecbeingの20年の年間流通総額が6000億円を突破したと発表している。国内ECサイト構築業者としてNO.1の流通額である。
ITソリューション事業は、自社開発のSCクラウド、不正アクセス端末検知・遮断システムL2Blocker、連結子会社エイトレッド<3969>が展開するワークフローシステム(パッケージ型のAgileWorks、クラウド型のX-point Cloud)、連結子会社ソフトクリエイトのシステムインテグレーション・IT機器販売を主力としている。
■クラウドサービスの拡大を推進
成長戦略としてクラウドサービスの拡大を推進している。クラウドサービスの売上高は18年3月期8.2億円、19年3月期11.9億円、20年3月期15.3億円、21年3月期19.3億円(ECクラウドサービスが6.1億円、ITクラウドサービスが13.2億円)と拡大基調である。
さらに、独自開発のクラウドサービス(ECクラウドサービスのメルカート、ビジュアルマーケティングのvisumo、レビュー最適化ツールのRevico、サイトミライズ、オムニチャネル分析ツールのSechstantなど)の拡販にも注力している。
22年3月期第1四半期時点の合計導入社数は、ECクラウドサービス分野のメルカート84社、ビジュモ335社、レビコ48社、サイトミライズが106社、ゼクスタント30社、ITクラウドサービス分野のSCクラウド454社、X-point Cloud847社、L2Blocker181社となっている。21年6月には、インスタグラムの写真を自社サイトに活用するビジュモのソリューションが、トヨタ自動車公式サイトに採用されている。
■22年3月期業績予想を上方修正、23年3月期も収益拡大基調
22年3月期連結業績予想(収益認識基準適用、IT機器販売で見掛け上の減収要因となるため売上高の前期比増減率は非記載、利益への影響軽微)は、4月18日に上方修正して、売上高が212億26百万円、営業利益が21年3月期比24.9%増の40億30百万円、経常利益が28.1%増の41億61百万円、親会社株主帰属当期純利益が30.0%増の23億63百万円とした。配当予想(10月20日に第2四半期末5円、期末5円、合計10円上方修正)は、21年3月期比10円増配の40円(第2四半期末20円、期末20円)としている。連続増配である。
前回予想に対して、売上高は20億26百万円、営業利益は4億80百万円、経常利益は5億86百万円、親会社株主帰属当期純利益は3億63百万円、それぞれ上回った。ECサイト構築のecbeing、ECクラウドサービスのメルカート、ビジュアルマーケティングのvisumo、オムニチャネル分析ツールのSechstant、レビュー最適化ツールのRevico、ワークフローサービスのAgileWorksおよびX-point Cloud、さらにインフラ・セキュリティ分野の需要が好調に推移し、前回予想に比べて増収増益幅が拡大した。
なお第3四半期累計の連結業績は、売上高が156億65百万円、営業利益が前年同期比19.5%増の31億45百万円、経常利益が22.3%増の32億49百万円、親会社株主帰属四半期純利益が23.6%増の18億89百万円だった。収益認識基準適用の影響額として従来方法に比べて売上高が49億71百万円減少、売上原価が50億円減少、営業利益、経常利益、税金等調整前四半期純利益がそれぞれ28百万円増加している。
収益認識基準適用のため見掛け上は減収の形(特に物品販売の売上に影響)だが、従来基準による売上高は17.7%増の206億円だった。ECサイト構築やECクラウドサービスへの投資需要が高水準に推移してECソリューション事業が順調に拡大した。子会社エイトレッド<3969>のワークフローサービスなどITソリューション事業も順調に拡大した。人件費の増加などを吸収して大幅増益だった。
セグメント別に見ると、ECソリューション事業は売上高が86億45百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前経常利益)が22.6%増の25億07百万円、ITソリューション事業は売上高が70億20百万円で、利益が24.9%増の17億58百万円だった。収益認識基準適用の影響額として、ECソリューション事業は売上高が17億45百万円減少して利益が26百万円増加、ITソリューション事業は売上高が32億25百万円減少して利益が2百万円増加している。
なおECソリューション事業の売上構成比はECサイト構築が58.9%、デジタルマーケティングが20.7%、ECクラウドサービスが6.8%、ITソリューション事業の売上構成比はセキュリティ・インフラ構築が33.1%、ITパッケージが13.1%、ITクラウドサービスが12.1%、IT機器が11.9%だった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が49億26百万円で経常利益が9億51百万円、第2四半期は売上高が53億51百万円で経常利益が11億98百万円、第3四半期は売上高が53億88百万円で経常利益が11億円だった。
EC市場拡大やDXの流れも背景として、積極的な事業展開で23年3月期も収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は3月末と9月末の年2回
株主優待制度は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容は保有株式数および保有期間に応じてオリジナルQUOカードを贈呈する。
■株価は上値試す
株価は3月の上場来高値圏から利益確定売りで一旦反落したが、好業績を再評価して上値を試す展開を期待したい。4月18日の終値は4525円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS181円97銭で算出)は約25倍、前期推定配当利回り(会社予想の40円で算出)は約0.9%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS958円00銭で算出)は約4.7倍、そして時価総額は約623億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)