- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- 【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アールシーコアは緩やかだが戻り歩調、依然として4%台の高配当利回りも評価
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アールシーコアは緩やかだが戻り歩調、依然として4%台の高配当利回りも評価
- 2015/7/21 07:16
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アールシーコア<7837>(JQS)は、ログハウスのオリジナルブランド「BESS」の販売を展開している。株価は緩やかだが戻り歩調の展開だ。7月17日には年初来高値となる1075円まで水準を切り上げた。16年3月期は減益予想だが収益底打ち期待で続伸展開だろう。依然として4%台の高配当利回りも評価材料だ。なお7月31日に第1四半期(4月~6月)の業績発表を予定している。
■ログハウスのオリジナルブランド「BESS」を展開
自然材をふんだんに使った個性的な木の家であるログハウスのオリジナルブランド「BESS」の販売(国内直販部門、連結子会社のBP社、および国内販社)を展開し、東京・代官山「BESSスクエア」と神奈川県「BESS藤沢展示場」の直営展示場2拠点も運営している。
中期経営計画では、目標数値(事業環境の変化や中計進捗遅れを勘案して契約棟数を1900棟から1600棟に修正)に、17年3月期の売上高(BESS以外も含む)180億円、営業利益率8%、ROE18%を掲げている。
重点戦略として「BESS」ブランドの深耕、強みであるログハウスを主軸に据えたマーケティング・商品戦略、商品の納期短縮・コスト削減・価格競争力向上、営業拠点と営業員の拡充、営業スキル向上と営業力強化に向けたBESS営業(ホームナビゲーター)資格制度導入、展示場50拠点展開などを推進している。
15年3月期は営業拠点として香川県高松市、千葉県柏市、新潟県新潟市、静岡県吉田町の4拠点を新設して、15年3月期末の契約販社数は27社、営業拠点数は全国43拠点(直営2拠点、BP社2拠点、販社39拠点)となった。さらに埼玉県、京都府、長野県にも新拠点開設を予定している。中期経営計画目標の50拠点に向けて着実にネットワーク拡大が進展しているようだ。
ログハウス強化では14年11月に新世代ログハウスとして新商品「G-LOG」を発売した。またΩ戦略室で法人向け等の事業開発に着手した。
なおカントリーログハウスのキット部材を製造販売するカナダの連結子会社BFM社の株式をカナダAAA社に譲渡する件(14年11月発表、1月に譲渡価格と譲渡日程の変更を発表、2月に譲渡日程の変更を発表)については、カナダAAA社において本件に係る資金調達に支障をきたしているため、3月に譲渡を一旦中止すると発表した。ただしファブレス化の選択で経営資源をマーケティングや商品開発に集中させる方針に変更はなく、今後は他の譲渡候補先も視野に入れてカナダAAA社との交渉も継続するとしている。
■16年3月期は戦略的投資で減益予想だが、受注は回復基調
15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)28億11百万円、第2四半期(7月~9月)32億75百万円、第3四半期(10月~12月)29億16百万円、第4四半期(1月~3月)29億39百万円で、営業利益は第1四半期1億14百万円、第2四半2億23百万円、第3四半期1億95百万円、第4四半期1億45百万円だった。
また15年3月期の配当性向は43.6%だった。ROEは14年3月期比5.2ポイント低下して10.2%、自己資本比率は同2.8ポイント上昇して42.7%だった。
今期(16年3月期)の連結業績予想(5月14日公表)は、売上高が前期比11.4%増の133億円、営業利益が同33.6%減の4億50百万円、経常利益が同36.9%減の4億30百万円、純利益が同38.4%減の2億60百万円としている。
配当予想は同3円増配の年間45円(第2四半期末22円、期末23円)としている。予想配当性向は76.3%となる。なお利益配分についての基本方針は、DOE(純資産配当率)を重視した長期的視点での安定的配当を実施するとしている。15年3月期のDOEは4.5%で、16年3月期のDOEは4.7%となる見込みだ。
利益面では中期成長に向けた諸施策への費用投下を積極的に行うため減益見込みだが、受注環境の改善や受注回復施策の効果で増収見込みとしている。
受注は回復基調である。15年3月期の契約(受注)高は同10.2%減の104億89百万円だったが、上期(4月~9月)が同28.2%減の45億72百万円だったのに対して、下期(10月~3月)は同11.5%増の59億17百万円だった。受注棟数で見ても通期は同10.4%減の907棟だったが、上期が同34.9%減の373棟だったのに対して、下期は同21.6%増の534棟だった。
16年3月期の契約(受注)高は15年3月期比24.9%増の131億円(契約棟数は同293棟増加の1200棟)の計画としている。15年3月期の全国BESS展示場への新規来場者数は14年3月期比9%増の29千件と堅調に推移している。消費増税の影響一巡や雇用・所得環境の改善で受注は底打ちした可能性が高く、収益も底打ちが期待される。
■株価は戻り歩調
株主優待については3月に優待内容の改訂を発表した。毎年3月末・9月末時点で100株以上保有株主に対して、保有株数に応じて「BESS指定工事請負契約にかかる優待割引」「フェザント山中湖タイムシェア・別荘オーナー制度・メンバー制度の優待割引」「フェザント山中湖宿泊利用割引・サービス利用割引」「BESSオリジナル外部用防腐スプレー販売割引」などの優待券を贈呈する。15年3月末から適用した。
株価の動きを見ると、14年10月安値838円をボトムとして下値を切り上げている。緩やかだが戻り歩調の展開だ。そして7月17日には6月26日と7月16日の1070円を突破して、年初来高値となる1075円まで水準を切り上げた。16年3月期は減益予想だが、受注回復基調と増配予想を好感する動きのようだ。
7月17日の終値1075円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS58円98銭で算出)は18~19倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間45円で算出)は4.2%近辺、そして前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS964円78銭で算出)は1.1倍近辺である。
週足チャートで見ると、上向きに転じた13週移動平均線と26週移動平均線がサポートラインとなり、強基調を確認した形だ。16年3月期は減益予想だが収益底打ち期待で続伸展開だろう。依然として4%台の高配当利回りも評価材料だ。