【アナリスト水田雅展の銘柄分析】トーソーは調整一巡してモミ合い上放れ、0.5倍近辺の低PBRに見直し余地

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 トーソー<5956>(東2)はカーテンレール・ブラインド類の大手である。株価は500円~520円近辺でモミ合う展開だが、7月17日は523円まで上伸してモミ合い上放れの動きを強めている。日柄調整が一巡したようだ。0.5倍近辺の低PBRにも見直し余地があり、16年3月期の収益改善基調を評価して3月の年初来高値551円を目指す展開だろう。なお7月31日に第1四半期(4月~6月)の業績発表を予定している。

■カーテンレール・ブラインド類の大手

 カーテンレールやブラインド類の大手で、室内装飾関連事業を主力として、ステッキなど介護用品事業も展開している。

 中期戦略では「窓辺の総合インテリアメーカー」として、高付加価値商品の拡販、新商品開発のスピードアップ、ホテル・商業施設など非住宅分野における需要の取り込み、海外売上高の拡大、原価低減や総費用低減、新規領域としての介護用品事業の拡大などを掲げている。

 なお円安に伴う原材料価格上昇に対応して、15年7月6日受注分からカーテンレールおよび関連部品の価格改定を実施した。

■16年3月期は増収増益予想

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)53億10百万円、第2四半期(7月~9月)55億38百万円、第3四半期(10月~12月)53億38百万円、第4四半期(1月~3月)62億81百万円、営業利益は第1四半期9百万円、第2四半期2億25百万円、第3四半期1億04百万円、第4四半期4億67百万円だった。

 15年3月期の配当性向は30.4%で、ROEは14年3月期比1.2ポイント上昇して3.2%、自己資本比率は同3.0ポイント上昇して52.7%となった。

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期比4.6%増の235億円、営業利益が同11.8%増の9億円、経常利益が同12.2%増の8億80百万円、純利益が同44.9%増の5億円としている。純利益は前期計上した厚生年金基金解散損失引当金繰入額の一巡も寄与する。配当予想は前期と同額の年間10円(第2四半期末5円、期末5円)で予想配当性向は21.0%となる。

 15年3月期は住宅関連市場における消費増税の反動影響が長期化して減収営業減益だったが、16年3月期は消費増税の影響一巡、営業強化、高付加価値製品の拡販、製品価格改定などの効果で増収営業増益予想だ。継続的なコスト削減や生産性向上策も寄与する。収益は改善基調だろう。

■株価は調整一巡してモミ合い上放れの動き

 株主優待は毎年3月31日現在の株主に対して実施し、1単元(100株)以上所有株主に対して1000円相当の優待品、10単元(1000株)以上所有株主に対して3000円相当の優待品を贈呈する。また環境保全活動の一環としてインドネシア共和国における「植林活動への寄付」も設けている。

 株価の動きを見ると、3月の年初来高値551円から反落し、年初来安値圏の500円~520円近辺の小幅レンジでモミ合う展開だったが、7月17日は523円まで上伸してモミ合い上放れの動きを強めている。日柄調整が一巡したようだ。

 7月17日の終値523円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円59銭で算出)は11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は1.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1091円41銭で算出)は0.5倍近辺である。

 週足チャートで見ると地合い悪化の影響で割り込んだ26週移動平均線を回復した。13週移動平均線がサポートラインの形となった。0.5倍近辺の低PBRにも見直し余地があり、16年3月期の収益改善基調を評価して3月高値を目指す展開だろう。

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