And Doホールディングスは調整一巡、成長強化事業が牽引して収益拡大基調

And Doホールディングス(旧ハウスドゥが22年1月1日付で事業持株会社体制に移行して商号変更)<3457>(東証プライム)は住まいのワンストップサービスを展開している。さらに不動産×金融サービスの深化による高収益化を目指す不動産テック企業である。22年6月期は大幅増収増益予想(レンジ予想)としている。住宅需要が堅調であり、成長強化事業と位置付けるフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融・リバースモーゲージ事業、不動産売買事業が牽引して収益拡大基調だろう。株価は戻り一服の形となったが、1月の年初来安値圏から下値を切り上げている。調整一巡して出直りを期待したい。なお5月12日に22年6月期第3四半期決算発表を予定している。

■住まいのワンストップサービスを展開する不動産テック企業

FCチェーンネットワーク構築による不動産情報のオープン化と、時代に即した不動産ソリューションサービスを提供する不動産サービスメーカーとして、住まいのワンストップサービスを展開している。さらにFinTechを活用して「不動産×金融」サービスの進化による高収益化を目指す不動産テック(不動産×IT)企業である。

不動産流通事業で創業し、リフォーム事業、不動産売買事業、不動産売買仲介「HOUSEDO」FC加盟店に各種サービスを提供するフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産担保ローン事業、金融機関と提携したリバースモーゲージ保証事業へと展開し、業容を拡大している。そして22年1月1日付で事業持株会社体制に移行(ハウス・リースバック事業は移行後も同社が運営)し、商号をAnd Doホールディングスに変更した。

FCチェーンネットワークや高齢化社会に対応した不動産ソリューションなど顧客接点・地域密着ネットワークを構築し、売買仲介を起点として住まい関連サービスにつなげる事業シナジーを強みとしている。さらに不動産事業を通じて世の中を安心、便利なサービスを提供する「不動産コンビニ」構想も掲げている。

■ストック収益型事業が収益柱

ロイヤリティー収入、賃貸収入、金利収入など、ストック収益を積み上げるフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融事業(不動産担保ローン事業、リバースモーゲージ保証事業)および不動産売買事業を成長強化事業と位置付けて、収益の柱としている。ハウス・リースバック事業では取得した収益不動産物件の売却も進めている。

21年6月期のセグメント別営業利益構成比は、成長強化事業が66.7%(フランチャイズ事業が37.6%、ハウス・リースバック事業が27.9%、金融事業が1.3%)、不動産売買事業が18.3%、不動産流通事業が10.1%、リフォーム事業が2.9%、小山建設グループが2.2%、その他が0.2%だった。なお21年3月期は不動産売買事業が大幅に増加したため、成長強化事業の構成比は20年6月期の77.2%に対して10.5ポイント低下した。

なお22年6月期第3四半期からセグメント区分を変更し、小山建設グループの事業を不動産売買事業、不動産流通事業、ハウス・リースバック事業に振り分ける。

フランチャイズ事業の加盟契約数は21年6月期末時点で702店舗(直営29店舗、FC673店舗、うちオープン準備中86店舗)となった。20年9月には山形県の企業とフランチャイズ契約を締結し、全国47都道府県すべてに出店契約を達成した。中期的には25年に国内1000店舗、アジア5万店舗を目標としている。なお21年1月からはブランドロゴと店舗デザインを一新した。また賃貸不動産仲介事業の新ブランド「レントドゥ!」も展開している。

ハウス・リースバック事業では、21年6月期末の保有物件数が20年6月期末比122件増加の339件、保有物件総額が12億65百万円増加の45億94百万円となった。契約件数は243件増加の903件、物件取得数は167件増加の801件だった。なお22年3月の物件取得件数は190件となり、単月ベースで過去最高となった。

金融事業では、21年6月期のリバースモーゲージ保証件数が76件増加の221件、期末リバースモーゲージ保証残高が19億43百万円増加の53億43百万円、不動産担保融資実行件数が20年6月期比40件減少の167件、期末不動産担保融資残高が13億01百万円減少の97億44百万円となった。なおリバースモーゲージ保証件数は22年1月末時点で累計700件を突破して702件となった。リバースモーゲージ保証事業では地域金融機関との提携を推進し、提携金融機関は22年2月末時点で31金融機関となった。

■M&A・アライアンスも活用

M&A・アライアンスでは、19年8月に埼玉県草加市を中心に不動産売買・仲介を展開する小山建設グループを子会社化、20年7月に子会社の草加松原住建の商号をハウスドゥ・ジャパンに変更した。21年3月にはJSB(京都市)と提携した。JSBが運営するサービス付高齢者向け住宅の入居希望者に対して、自宅や遊休不動産の査定・売却・有効活用などに関する不動産ソリューションサービスを提供する。

21年7月には加盟店を対象とする業務支援サービスの利用に関して、不動産サービス比較サイト「リビングマッチ」運営のリビン・テクノロジーズ<4445>と業務提携した。21年9月には識学<7049>と業務提携した。識学の「成長する組織つくり」を加盟店が導入することで加盟店の組織力および業績拡大につなげる。

22年3月にはIoT住宅「スマートDOホーム」に、アクセルラボが提供するスマートホームサービス「SpaceCore(スペースコア)」のスマートホームに係るシステムおよび機器を採用したと発表している。不動産事業者としての採用事例としては初となる。

■新中期経営計画(23年6月期~25年6月期)

新中期経営計画(23年6月期~25年6月期)では目標数値に、25年6月期売上高518億19百万円、営業利益41億79百万円、経常利益40億円、親会社株主帰属当期純利益26億40百万円、経常利益率7.7%を掲げている。配当性向は30%以上を基本水準とする。

事業セグメント別の25年6月期の計画は、フランチャイズ事業の売上高41.8億円で営業利益29.0億円、ハウス・リースバック事業の売上高214.2億円で営業利益28.3億円、金融事業の売上高14.1億円で営業利益6.0億円、不動産売買事業の売上高207.6億円で営業利益18.0億円、不動産流通事業の売上高20.4億円で営業利益6.4億円、リフォーム事業の売上高27.0億円で営業利益2.3億円としている。

成長戦略として、成長強化事業(フランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融・リバースモーゲージ事業、不動産売買事業)のさらなる拡大、不動産×金融サービスの深化、高収益体質化の促進を推進する。なお20年8月にはDX推進本部を設立した。

■22年6月期大幅増収増益予想

22年6月期の連結業績予想(レンジ予想、収益認識基準適用だが影響軽微)は、売上高が391億円~444億38百万円(21年6月期比0.2%増~13.8%増)、営業利益が29億73百万円~36億73百万円(同14.8%増~41.9%増)、経常利益が28億円~35億円(同11.4%増~39.2%増)、親会社株主帰属当期純利益が18億48百万円~23億10百万円(同14.3%増~42.9%増)としている。配当予想は未定としている。

第2四半期累計は、売上高が前年同期比19.0%増の222億90百万円、営業利益が44.4%増の17億91百万円、経常利益が46.9%増の17億47百万円、親会社株主帰属四半期純利益が49.0%増の11億69百万円だった。

成長強化事業への投資で人件費や広告宣伝費などが増加したが、主力事業が順調に伸長した。大幅増収増益で過去最高だった。なお収益認識基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が1億03百万円増加、売上原価が12百万円増加、営業利益、経常利益、税金等調整前四半期純利益がそれぞれ91百万円増加している。

フランチャイズ事業は売上高(調整前)が6.7%増の17億41百万円、セグメント利益(調整前営業利益)が9.4%増の11億83百万円だった。加盟店舗数の増加で増収増益と順調だった。累計加盟店数は18店舗増加して692店舗(うち開店店舗数は42店舗増加して617店舗)となった。なお累計加盟店舗数は21年6月期末との比較では、複数店舗加盟企業やコロナ禍で業績悪化した異業種母体企業の退会で10店舗減少したが、下期以降回復の見込みとしている。

ハウス・リースバック事業は売上高が5.3%増の63億02百万円、営業利益が4.7%増の7億84百万円だった。第2四半期にHLBファンド9号へ41.8億円の売却を実施した。契約件数は30件増加の455件、物件取得数は64件増加の436件、累計保有物件数は163件増加の448件、保有物件総額は15億23百万円増加の57億81百万円となった。

金融事業は、売上高が20.4%減の4億46百万円だが、営業利益が66.5%増の91百万円だった。不動産担保融資の残高を縮小(45億64百万円減少の58億34百万円)したため減収だが、リバースモーゲージ保証が伸長(新規保証件数が81件増加の157件、保証残高が32億30百万円増加の71億79百万円)して収益性が向上した。

不動産売買事業は売上高が55.5%増の109億34百万円、営業利益が2.3倍の12億01百万円だった。取引件数は295件で53件減少したが、住宅需要が高水準に推移して大幅増収増益だった。

不動産流通(仲介)事業は売上高が4.6%増の11億54百万円で、営業利益が店舗集約などの施策によって収益性が向上して46.8%増の3億59百万円、リフォーム事業はコロナ禍の影響を受けて売上高が3.3%減の13億52百万円で営業利益が0.1%増の93百万円、小山建設グループは前期の収益不動産売却の反動で売上高が43.5%減の6億93百万円で営業利益が32百万円の赤字(前年同期は1億31百万円の黒字)だった。

四半期別に見ると、第1四半期売上高が110億71百万円で営業利益が7億92百万円、第2四半期は売上高が112億19百万円で営業利益が9億99百万円だった。

通期予想は据え置いている。なお第3四半期からセグメント区分を変更(小山建設グループ事業を再編)し、変更後の通期セグメント別営業利益(調整前)計画は、フランチャイズ事業が24億08百万円、ハウス・リースバック事業が21億36百万円~23億71百万円、金融事業が1億円~1億60百万円、不動産売買事業が10億07百万円~14億11百万円、不動産流通事業が6億31百万円、リフォーム事業が2億36百万円としている。

通期レンジ予想の上限値に対する第2四半期累計の進捗率は売上高50.2%、営業利益48.8%、経常利益49.9%、親会社株主帰属当期純利益50.6%と概ね順調である。住宅需要が堅調であり、成長強化事業と位置付けるフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融・リバースモーゲージ事業、不動産売買事業が牽引して収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は22年6月末日対象をもって廃止

株主優待制度は毎年6月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施しているが、21年2月に株主優待制度廃止を発表した。株主還元の公平性を意識した取り組みを進めるべく、22年6月末日対象をもって株主優待制度を廃止し、翌期以降は配当性向基準引き上げで配当として還元(詳細は会社HP参照)する。

■株価は調整一巡

株価は戻り一服の形となったが、1月の年初来安値圏から下値を切り上げている。調整一巡して出直りを期待したい。4月22日の終値は911円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS上限値118円13銭で算出)は約8倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS656円34銭で算出)は約1.4倍、そして時価総額は約178億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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