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アイフリークモバイルは調整一巡、23年3月期収益改善基調
- 2022/4/26 08:35
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アイフリークモバイル<3845>(東証スタンダード)は、電子絵本アプリや知育アプリなどのコンテンツ事業、および人材派遣のコンテンツクリエイターサービス(CCS)事業を展開し、次世代ブロックチェーン技術を活用したNFT(非代替性トークン)コンテンツ分野も注力している。22年3月期はエンジニアの稼働率上昇などで営業黒字転換・復配予想としている。積極的な事業展開で23年3月期も収益改善基調だろう。株価は地合い悪化も影響して戻り高値圏から一旦反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。
■コンテンツ事業とコンテンツクリエイターサービス事業を展開
携帯電話・スマートフォン向けコンテンツ企画・開発・配信のコンテンツ事業、WEBコンテンツ制作・システム受託開発および人材派遣のコンテンツクリエイターサービス(CCS)事業を展開している。
21年3月期の売上高構成比はコンテンツ事業9%、CCS事業91%、営業利益構成比(調整前)はコンテンツ事業59%、CCS事業41%だった。
コンテンツ事業は、デジタル素材「デココレ」を主力として、電子絵本アプリや知育アプリ「あそびタッチ」などの親子向けサービス、オリジナル絵文字やグループチャットを搭載したウォレットアプリ「Challet」も展開している。絵本アプリ「森のえほん館」は500冊以上の作品を収録し、累計130万ダウンロードを記録している。
デジタルコンテンツについては、クリエイター支援WEBサイト「CREPOS」によって約1万人の外部登録クリエイターを組織化し、20万点以上のデジタル資産を有している。
CCS事業では、21年1月に孫会社ファンレボの全株式を譲渡、21年2月に子会社アイフリークGAMESを吸収合併、21年6月に子会社リアリゼーションを吸収合併し、CCS事業の運営体制を効率化した。
なお22年2月には有信アクロス(大阪府吹田市)と、障がい児向け知育アプリ提供事業に関する業務提携に向けた基本合意書を締結した。有信アクロスは全国219ヶ所で放課後等デイサービス「ウィズ・ユー」をフランチャイズ展開するとともに、児童発達支援も行っている。知育アプリを搭載したタブレット端末提供や、障がい児用アプリ開発に向けてテストマーケティングを実施する。
22年3月には、Jリーグクラブ「ジュビロ磐田」を運営するジュビロとサポーティングカンパニー契約を締結した。同クラブのマスコットキャラクターが登場する電子絵本を共同制作する。
■NFTコンテンツ分野も注力
成長戦略はCCS事業を基盤にコンテンツ事業の収益化を目指す方針としている。重点施策として、コンテンツ事業におけるユーザー数の拡大、20万点以上のデジタルコンテンツ資産の有効活用、CCS事業における人材確保、専門領域に特化したエンジニアチームの育成、協業先の開拓などを推進する。さらに次世代ブロックチェーン技術を活用したNFT(非代替性トークン)コンテンツ分野も注力している。
20年9月にはミャンマーの新興通信事業者GALAXIA社と、ミャンマーにおけるモバイルコンテンツサービス分野およびシステムインテグレーション分野で業務提携した。20年10月にはRPA導入コンサルティングサービスのITSO社と業務提携、20年11月にはITエンジニア育成EdTechサービスのヒートウェーブと業務提携、20年12月にはAI CROSS社とセールスパートナー契約を締結した。
21年10月には、UUUM<3990>の子会社で次世代ブロックチェーン技術を活用したデジタルトレーディングカード専門のNFTマーケットプレイス「HABET(ハビット)」を運営するFORO社と、戦略的業務提携契約を締結した。CREPOSクリエイターへのNFT販売支援や、新たなNFTコンテンツの開発・販売などを共同で推進する。
そして21年11月には、FORO社が運営するNFTマーケットプレイス「HABET」を活用し、クリエイター向けNFT出品支援プログラム「CREPOS NFT 支援プログラム第1弾」を本格始動した。
21年12月には、ブロックチェーンに関するコンサルティング事業や暗号資産交換業向けウォレットシステム開発などを展開するHashPort社と、NFTマーケットプレイス「CREPOS NFTマーケット」(仮称)の開設、およびNFT分野における新たな取り組み開始に関する契約を締結した。クリエイターのNFTアートをメタバース上で展示・販売する新サービスなども検討する方針だ。
なお22年3月にHashPort社とのNFT分野に関する取り組み内容の一部変更を発表している。予定していたNFTマーケットプレイス「CREPOS NFTマーケット」(仮称)を開設するのではなく、HashPort社のNFT事業子会社であるHashPalette社が22年4月にサービスリリースするNFTマーケットプレイス「PLT Place」にて、CREPOSクリエイターのNFTを配信する。
■22年3月期黒字予想、23年3月期も収益改善基調
22年3月期の連結業績予想(収益認識会計基準適用だが損益への影響軽微、3月14日に売上高を下方、利益を上方修正)は、売上高が21年3月期比14.8%減の26億34百万円、営業利益が1億54百万円の黒字(21年3月期は1億51百万円の赤字)、経常利益が2億47百万円の黒字(同13百万円の黒字)、親会社株主帰属当期純利益が2億28百万円の黒字(同73百万円の赤字)としている。また配当予想は前回の無配予想から、3月14日に期末3円復配予想に修正している。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比17.7%減の19億55百万円、営業利益が1億32百万円の黒字(前年同期は1億37百万円の赤字)、経常利益が10.4倍の2億17百万円、親会社株主帰属四半期純利益が7.4倍の1億88百万円だった。
コンテンツ事業の堅調推移、コンテンツクリエイターサービス事業の不採算部門統合による販管費圧縮やエンジニア稼働率維持などで営業利益が黒字転換し、経常利益と親会社株主帰属四半期純利益は大幅増益だった。営業外収益では助成金収入が減少(前年同期は1億09百万円計上、今期は65百万円計上)した。なお収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高と売上原価がそれぞれ2百万円増加したが、利益への影響はなかった。
コンテンツ事業は売上高が6.1%増の2億14百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が2.1倍の68百万円だった。電子絵本アプリの毎週新作配信や著名人とのコラボ絵本配信、NFTへの取り組みなどを推進した。
コンテンツクリエイターサービス事業は、売上高が19.9%減の17億41百万円、利益が7.8倍の2億40百万円だった。不採算部門統合による販管費圧縮や、DX推進に伴うエンジニア稼働率維持などで損益改善した。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が6億58百万円で営業利益が31百万円、第2四半期は売上高が6億41百万円で営業利益が41百万円、第3四半期は売上高が6億56百万円で営業利益が60百万円だった。営業黒字が定着して収益改善基調である。
通期予想は売上高を下方修正、利益を上方修正した。コロナ禍の影響でエンジニアの採用を抑制したため売上高は前回予想を下回るが、DXの流れも背景として受注が回復状況であり、エンジニアの稼働率上昇などで各利益は前回予想を上回る見込みとしている。積極的な事業展開で23年3月期も収益改善基調だろう。
■株価は調整一巡
株価は地合い悪化も影響して戻り高値圏から一旦反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。4月25日の終値は148円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS13円01銭で算出)は約11倍、前期推定配当利回り(会社予想の3円で算出)は約2.0%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS24円08銭で算出)は約6.1倍、そして時価総額は約26億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)