JSPは原材料価格高騰で23年3月期営業・経常減益予想だが上振れ余地
- 2022/4/30 09:04
- 決算発表記事情報
(決算速報)
JSP<7942>(東証プライム)は4月28日の取引時間終了後に22年3月期連結業績を発表した。自動車関連を中心に需要が回復して2桁増収だが、原材料価格高騰の影響で減益着地となった。そして23年3月期も原材料価格高騰の影響を考慮して営業・経常減益予想としている。ただし需要は好調であり、販売価格改定効果なども寄与して上振れ余地がありそうだ。株価は地合い悪化も影響して年初来安値圏だが売り一巡感を強めている。目先的には23年3月期営業・経常減益予想を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、下値は限定的だろう。
■22年3月期は減益着地、23年3月期も減益予想だが上振れ余地
22年3月期の連結業績(収益認識会計基準適用だが影響軽微)は、売上高が21年3月期比11.2%増の1141億25百万円、営業利益が11.5%減の45億89百万円、経常利益が11.8%減の48億68百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が4.1%減の28億93百万円だった。配当は21年3月期と同額の50円(第2四半期末25円、期末25円)とした。
なお収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が17億06百万円減少、売上原価が15億89百万円減少、販管費が79百万円減少、営業利益が37百万円減少、経常利益と税金等調整前当期純利益がそれぞれ9百万円減少している。影響は軽微である。
自動車分野を中心に需要が回復し、ピーブロックを中心とする高付加価値製品の拡販なども寄与して2桁増収だが、原材料価格高騰の影響で減益着地となった。
押出事業は売上高が3.9%増の390億76百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が8.0%増の27億82百万円だった。原材料価格高騰の影響を受けたが、産業資材製品を中心とする付加価値の高い製品の販売増加や、製品価格改定などの効果で吸収して増益だった。
ビーズ事業は売上高が14.4%増の685億13百万円で、利益が26.2%減の26億20百万円だった。自動車分野を中心に需要が回復して大幅増収だが、原料価格高騰の影響で大幅減益だった。
その他は売上高が26.2%増の65億36百万円で、利益が119.9%増の2億12百万円だった。自動車部品輸送関連などの需要が回復した。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高269億82百万円で営業利益15億67百万円、第2四半期は売上高286億91百万円で営業利益14億18百万円、第3四半期は売上高294億55百万円で営業利益13億14百万円、第4四半期は売上高289億97百万円で営業利益2億90百万円だった。第4四半期に原材料価格高騰の影響を受けた。
23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比12.2%増の1280億円、営業利益が6.3%減の43億円、経常利益が7.6%減の45億円、親会社株主帰属当期純利益が7.1%増の31億円としている。配当予想は22年3月期と同額の50円(第2四半期末25円、期末25円)としている。
需要が高水準に推移して2桁増収だが、原材料価格高騰の影響を考慮して営業・経常減益予想としている。
押出事業は売上高が6.2%増の415億円で、利益(全社費用調整前営業利益)が24.5%減の21億円の計画としている。販売数量の増加と製品価格の改定で増収だが、原材料価格高騰の影響をカバーできず減益見込みとしている。ビーズ事業は売上高が17.5%増の805億円で、利益が22.1%増の32億円の計画としている。ピーブロックを中心に自動車関連の販売が増加し、原材料価格高騰に伴う製品価格改定効果も寄与して増収増益見込みとしている。その他は売上高が8.2%減の60億円で、利益が52.8%減の1億円の計画としている。一般包材や自動車部品関連包材が減少する見込みだ。
23年3月期も原材料価格高騰の影響を考慮して営業・経常減益予想としたが、需要は好調であり、販売価格改定効果なども寄与して上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。
■株価は下値限定的
株価は地合い悪化も影響して年初来安値圏だが売り一巡感を強めている。目先的には23年3月期営業・経常減益予想を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、下値は限定的だろう。4月28日の終値は1509円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS104円00銭で算出)は約15倍、そして時価総額は約474億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)