【アナリスト水田雅展の銘柄診断】フォーカスシステムズは年初来高値に接近、マイナンバー制度やサイバーセキュリティ関連も期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 フォーカスシステムズ<4662>(東2)はシステム構築・保守・運用・機器関連事業を展開している。株価は全般地合い悪化の影響を受ける場面もあったが、素早く切り返して7月6日の年初来高値1693円に接近している。16年3月期は増収増益予想で増額含みだ。マイナンバー制度関連やサイバーセキュリティ関連の需要増加も期待して上値追いの展開だろう。

■システム構築・保守・運用を主力としてセキュリティ機器関連事業も展開

 公共関連・民間関連のシステム構築・保守・運用・管理サービスを主力として、セキュリティ機器関連事業も展開している。

 顧客別に見るとNTTデータ<9613>関連、および日本IBM関連を主力として、CTC(伊藤忠テクノソリューションズ)<4739>関連、沖電気<6703>関連、ソフトバンク<9984>関連などが続いている。主要顧客上位3社向け売上高の占める割合は14年3月期が47.4%、15年3月期が47.8%だった。
 中期成長に向けた重点戦略として、需要が潤沢なインフラビジネス分野における技術者の育成、ノウハウ蓄積にも繋がる運用系業務分野におけるシェア拡大、業務アプリケーション分野における専門技術への取り組み強化による対応領域拡大を推進している。また民間関連事業では関東圏・近畿圏に加えて、東海圏での業務拡大に取り組んでいる。

 7月7日には東京国税局に対するICT関連の技術支援等コンサルティング業務の提供開始を発表した。デジタル・フォレンジック技術と豊富な不正調査の経験を活かしたコンサルティングサービスを提供する。

■16年3月期業績は増額含み

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)35億83百万円、第2四半期(7月~9月)37億03百万円、第3四半期(10月~12月)35億90百万円、第4四半期(1月~3月)42億05百万円、営業利益は第1四半期99百万円、第2四半期1億96百万円、第3四半期2億40百万円、第4四半期4億05百万円だった。

 第4四半期の構成比が高い収益構造だが、公共関連事業やセキュリティ機器関連事業の好調で、営業損益は改善基調を鮮明にしている。また15年3月期の配当性向は29.3%だった。ROEは14年3月期比0.8ポイント上昇して10.0%、自己資本比率は同4.7ポイント上昇して47.2%となった。

 今期(16年3月期)の非連結業績予想(5月8日公表)は売上高が前期比1.4%増の153億円、営業利益が同1.0%増の9億50百万円、経常利益が同2.5%増の9億20百万円、純利益が同1.2%増の6億円としている。

 配当予想については前期と同額の年間25円(期末一括)としている。予想配当性向は28.8%となる。なお前期の年間25円には特別配当15円が含まれるが、今期は普通配当で25円としている。

 公共関連事業は社会保険・医療保険関連分野やマイナンバー関連分野、民間関連事業は企業のITインフラ投資関連、セキュリティ機器関連事業は官公庁のサイバー攻撃対策や企業のマイナンバー対応関連を中心として、いずれも需要は高水準に推移する見通しだ。利益は人材採用・育成など今後の事業展開を睨んだ先行投資負担で微増益にとどまる見込みとしているが、高水準の需要を背景として16年3月期業績は増額含みだろう。

■株価は7月6日の年初来高値に接近

 株価の動き(15年5月25日付でJASDAQから東証2部に市場変更)を見ると、高値更新の展開で7月6日の年初来高値1693円まで上伸した。その後は全般地合い悪化の影響を受けて9日に1280円まで下押す場面があったが、素早く切り返しの動きを強めている。21日は1659円まで戻して年初来高値に接近した。マイナンバー制度関連やサイバー攻撃関連も材料視されているようだ。

 7月21日の終値1600円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS86円66銭で算出)は18~19倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は1.6%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS977円72銭で算出)は1.6倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドだ。16年3月期は増収増益予想で増額含みだ。マイナンバー制度関連やサイバーセキュリティ関連の需要増加も期待して上値追いの展開だろう。

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