【注目銘柄】キヤノンは業績上方修正見直しに追加還元策期待と円安進行がオン

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 キヤノン<7751>(東証プライム)は5月10日、3133.0円(86.0円高)まで上げ、4月20日につけた年初来高値3144円に迫っている。同社株は、今年4月26日の今2022年12月期第1四半期(2022年1月~3月期)決算の開示と同時に今12月期通期業績の上方修正を発表し、大型連休前の全般調整相場下で売り先行となったが、連休明け後に為替相場が一段と円安・ドル高に傾いていることからこの上方修正の見直し、さらに今期配当が増配含みとなっているなど追加株主還元策期待がオンして割安修正買いが増勢となった。実際に前日9日の取引時間終了後の午後3時には、約2年ぶりの自己株式取得を発表しており、サポート材料となりそうだ。

■プリンティング事業ではオフィス需要が回復し半導体露光装置には旺盛な需要

 同社の今12月期通期業績は、期初予想より売り上げを1100億円、営業利益を280億円、経常利益を100億円、純利益を70億円それぞれ引き上げ、売り上げ3兆9800万円(前期比13.3%増)、営業利益3600億円(同27.7%増)、経常利益3700億円(同22.2%増)、純利益2520億円(同17.4%増)と見込み、連続増収増益幅を拡大させる。プリンティングビジネスユニットでは、オフィス向け複合機の需要が、オフィス稼働率の回復で増加し、レーザープリンターとインクジェットプリンターでは在宅需要とオフィス需要が堅調に推移、インダストリアルその他ビジネスユニットでは、半導体露光装置が、メモリーやロジック向けに旺盛な需要が続き、FPD露光装置もパネルメーカーの堅調な投資の恩恵を受けており、想定為替レートを対ユーロでは期初予想の1ユーロ=130円に据え置いたものの、対ドルでは期初予想の1ドル=120円から1ドル=130円へ円安方向に見直したことも寄与した。

 なお今期配当は、期初予想の年間100円(前期実績100円)に据え置いたが、御手洗冨士夫会長兼社長は、決算発表の記者会見で増配への前向き発言をしており、その場合、連結配当50%程度をメドとしただけに、前期と同様に期中に連続増配の可能性も残る。なお前日9日大引け後に発表した自己株式取得総数は、2000万株(発行済み株式総数の1.99%)、取得総額上限を500億円、取得期間を今年5月10日から8月4日までとして実施予定である。2020年2月25日にも取得総額上限を500億円とする自己株式取得を発表し、3月6日までに早期取得を終了しており、再現期待を高めよう。

■GC示現を手掛かりにPER12倍、配当利回り3.2%の割安修正に再発進

 株価は、前期の四半期業績の開示のたびごとに前期業を上方修正して上値を追い、昨年10月には2938円まで買い進まれ、その後の前期営業利益の下方修正で2467円安値まで調整したが、前期配当の増配とともに持ち直し、今期業績の続伸予想とともに3000円大台を回復し、年初来高値3144円まで上値を伸ばした。PERは12.6倍、配当利回り3.28%と割り負け、テクニカル的にも25日移動平均線が75日移動平均線を上抜くゴールデンクロス(GC)を示現し上昇トレンド転換を示唆しており、自己株式取得を追い風に年初来高値を上抜き、2019年4月高値3338円が次の上値ターゲットとなりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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