ゼリア新薬工業は23年3月期も2桁増益で連続増配予想、自己株式取得も発表

(決算速報)
ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は、5月11日の取引時間終了後に22年3月期連結業績を発表した。医療用医薬品事業の好調が牽引して前回予想を上回る大幅増益となり、配当を上方修正して増配とした。そして23年3月期も2桁増益で連続増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお自己株式取得も発表した。株価は下値固め完了して反発の動きを強めている。好業績や自己株式取得を評価して出直りを期待したい。

■22年3月期は大幅増益で増配、23年3月期も2桁増益で連続増配予想

22年3月期の連結業績は収益認識会計基準を遡及適用した前期実績との比較で、売上高が12.8%増の595億32百万円、営業利益が83.2%増の63億66百万円、経常利益が85.0%増の59億35百万円、親会社株主帰属当期純利益が26.0%増の39億61百万円だった。配当は期末1円上方修正して21年3月期比1円増配の35円(第2四半期末17円、期末18円)とした。

医療用医薬品事業が牽引して、前回予想(売上高600億円、営業利益53億円、経常利益52億円、親会社株主帰属当期純利益37億円)を上回る大幅増収増益だった。なお特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期3億75百万円、今期14百万円)し、前期計上の債務取崩益6億81百万円が剥落した。

医療用医薬品事業は売上高が23.6%増の370億06百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が97.7%増の69億11百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは国内が薬価改定の影響を受けたが海外が伸長した。欧州主要国での製造販売権を承継したクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアや、アステラス製薬との共同販促終了に伴う在庫調整が完了した機能性ディスペプシア治療剤アコファイドも増収に貢献した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコートはカナダやスペインなど一部地域で苦戦した。

コンシューマーヘルスケア事業は売上高が1.2%減の223億70百万円で、利益が14.0%減の40億38百万円だった。ヘパリーゼ群が増収だったが、コンドロイチン群、ウィズワン群、および殺菌消毒薬などの衛生用品が競合品の影響などで減収だった。

なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高135億48百万円、営業利益12億51百万円、経常利益20億81百万円、第2四半期は売上高150億58百万円、営業利益14億21百万円、経常利益10億35百万円、第3四半期は売上高164億98百万円、営業利益28億23百万円、経常利益24億97百万円、第4四半期は売上高144億28百万円、営業利益8億71百万円、経常利益3億22百万円だった。

23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比10.9%増の660億円、営業利益が10.0%増の70億円、経常利益が17.9%増の70億円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%増の56億円としている。配当予想は22年3月期比1円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。なお自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間22年5月16日~22年11月4日)も発表した。

医療用医薬品事業は海外市場においてディフィクリアやアサコールの伸長、国内市場においてアコファイドや20年9月に販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトの伸長、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群をはじめとする主力品の回復を見込み2桁増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は反発の動き

株価は下値固め完了して反発の動きを強めている。好業績や自己株式取得を評価して出直りを期待したい。5月11日の終値は1971円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS126円10銭で算出)は約16倍、時価総額は約1047億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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