朝日ラバーは22年3月期営業黒字転換、23年3月期減益予想だが保守的

(決算速報)

朝日ラバー<5162>(東証スタンダード)は、5月12日の取引時間終了後に22年3月期連結業績を発表した。自動車向けゴム製品の需要回復や卓球ラケット用ラバーの増加などで営業黒字転換した。23年3月期は半導体不足・部品調達難に伴う自動車減産や原材料価格高騰の影響などを考慮して減益予想としているが、やや保守的だろう。原材料価格高騰に伴う販売価格転嫁などで上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化の影響で年初来安値圏だ。目先的には23年3月期減益予想を嫌気する可能性もあるが下値限定的だろう。

■22年3月期営業黒字転換、23年3月期減益予想だが保守的

 22年3月期の連結業績(収益認識会計基準適用だが利益への影響なし)は、売上高が21年3月期比8.3%増の70億24百万円、営業利益が2億91百万円の黒字(21年3月期は92百万円の赤字)、経常利益が3億13百万円の黒字(同18百万円の黒字)、親会社株主帰属当期純利益が2.1倍の2億38百万円だった。配当は10円増配の20円(期末一括)とした。収益認識会計基準適用の影響として、従来方法に比べて売上高と売上原価がそれぞれ80百万円減少したが、利益への影響はなかった。

 自動車向けゴム製品は半導体不足・部品調達難に伴う自動車減産の影響で期後半にかけて鈍化傾向となったが、前期比では自動車向けゴム製品の需要回復や卓球ラケット用ラバーの増加などで営業黒字転換した。経常利益と親会社株主帰属当期純利益は大幅増益だった。売上総利益率は4.8ポイント上昇して24.1%となった。

 工業用ゴム事業は売上高が9.3%増の58億30百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が4.4倍の5億29百万円だった。RFIDタグ用ゴム製品は経済環境や生産調整の影響で減収だが、ASA COLOR LEDなどの自動車向けゴム製品や卓球ラケット用ラバーの需要が増加した。

 医療・衛生用ゴム事業は売上高が3.6%増の11億93百万円だが、セグメント利益が12.4%減の98百万円だった。プレフィルドシリンジガスケット製品や採血用・薬液混注用ゴム栓の需要が回復傾向となったが、原材料価格高騰の影響で減益だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が17億97百万円で営業利益が78百万円、第2四半期は売上高が18億35百万円で営業利益が98百万円、第3四半期は売上高が16億47百万円で営業利益が82百万円、第4四半期は売上高が17億45百万円で営業利益が33百万円だった。

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比6.1%増の74億54百万円、営業利益が12.5%減の2億55百万円、経常利益が19.8%減の2億51百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が21.6%減の1億87百万円としている。配当予想は22年3月期と同額の20円(期末一括)としている。

 通期のセグメント別売上高の計画は工業用ゴム事業が14.1%増の60億90百万円、医療・衛生用ゴム事業は0.9%増の11億62百万円、中期事業分野別売上高の計画は光学事業が11.1%増の32億12百万円、医療・ライフサイエンス事業が2.0%減の11億82百万円、機能事業が29.1%増の22億71百万円、通信事業が7.1%減の5億86百万円としている。

 半導体不足・部品調達難に伴う自動車減産や原材料価格高騰の影響などを考慮して減益予想としているが、やや保守的だろう。原材料価格高騰に伴う販売価格転嫁などで上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は下値限定的

 株価は地合い悪化の影響で年初来安値圏だ。目先的には23年3月期減益予想を嫌気する可能性もあるが下値限定的だろう。5月12日の終値は539円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS41円22銭で算出)は約13倍、そして時価総額は約25億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る