加賀電子は23年3月期横ばい予想だが保守的、配当は連続増配予想
- 2022/5/14 12:55
- 決算発表記事情報
(決算速報)
加賀電子<8154>(東証プライム)は5月12日の取引時間終了後に22年3月期連結業績(5月9日付で業績および配当予想を上方修正)を発表した。電子部品需要が拡大して大幅増益だった。23年3月期は経済情勢の不透明感などを考慮して横ばい予想(配当は連続増配予想)としているようだ。ただし保守的な印象が強い。会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響で上値を切り下げる形だが、指標面の割安感も支援材料であり、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。
■22年3月期大幅増益、23年3月期横ばい予想だが保守的
22年3月期連結業績(5月9日付で上方修正、利益は3回目の上方修正)は、売上高が21年3月期比17.4%増の4958億27百万円、営業利益が82.4%増の209億15百万円、経常利益が90.9%増の214億56百万円、親会社株主帰属当期純利益が35.1%増の154億01百万円だった。
電子部品需要が拡大して大幅増益だった。特別利益では前期計上の負ののれん発生益79億63百万円が剥落し、特別損失では減損損失、投資有価証券評価損、貸倒引当金繰入額などが減少した。なお収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が60億60百万円減少したが、利益への影響は軽微である。
配当(5月9日付で期末特別配当10円上方修正、3回目の上方修正)は、21年3月期比40円増配の120円(第2四半期末45円=普通配当40円+特別配当5円、期末75円=普通配当40円+特別配当35円)とした。
電子部品事業は、売上高が22.7%増の4338億52百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が122.1%増の181億07百万円だった。一部の半導体や電子部品の供給難が長期化する中、独立系商社としての調達力の強みを活かして広範な業界からの旺盛な需要に対応した。EMSビジネスは車載関連、産業機器関連、医療関連が好調に推移した。M&Aで子会社化した加賀EFIとエクセルの収益も大幅伸長した。
情報機器事業は売上高が18.1%減の396億16百万円、利益が16.0%減の20億85百万円だった。パソコン販売において法人向けリモートワーク需要が一巡し、LED照明機器やネットワーク機器などの設備設置ビジネスが設備・機器・資材の調達難や工期延伸の影響を受けた。
ソフトウェア事業は売上高が5.6%減の27億67百万円、利益が26百万円の赤字(21年3月期は2億63百万円の黒字)だった。納期対応に伴う開発費増加などで採算が悪化した。その他事業は売上高が11.4%増の195億90百万円、利益が32.0%増の6億26百万円だった。リサイクルビジネスが好調だった。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1059億49百万円で営業利益が44億52百万円、第2四半期は売上高が1170億60百万円で営業利益が38億48百万円、第3四半期は売上高が1296億75百万円で営業利益が63億58百万円、第4四半期は売上高が1431億43百万円で営業利益が62億57百万円だった。
23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比2.9%増の5100億円、営業利益が1.4%増の212億円、経常利益が1.2%減の212億円、親会社株主帰属当期純利益が5.9%減の145億円としている。配当予想は22年3月期比30円増配の150円(第2四半期末70円=普通配当70円、期末80円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円)としている。連続増配予想である。
セグメント別計画は、電子部品事業の売上高が3.0%増の4470億円でセグメント利益が2.2%増の185億円、情報機器事業の売上高が1.6%減の390億円で利益が4.1%減の20億円、ソフトウェア事業の売上高が44.5%増の40億円で利益が1億円の黒字(22年3月期は26百万円の赤字)、その他事業の売上高が2.1%増の200億円で利益が4.2%減の6億円としている。
半導体・電子部品の需要は拡大基調だが、23年3月期は経済情勢の不透明感などを考慮して横ばい予想としているようだ。ただし保守的な印象が強い。会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は戻り試す
株価は地合い悪化の影響で上値を切り下げる形だが、指標面の割安感も支援材料であり、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。5月13日の終値は3125円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS552円42銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の150円で算出)は約4.8%、時価総額は約897億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)