【株式市場特集】投資採算割り負けで増配や自己株式取得の株式還元策付き銘柄に注目
- 2022/5/30 09:10
- 特集
ターゲットとなる銘柄のなかでも投資採算的に割り負けている銘柄で、できれば増配や自己株式取得の株式還元策付き銘柄は申し分ない。幅広い銘柄がスクリーニングされ、インバウンド(外国人観光客)関連の電鉄株から小売り・消費関連株、自動車生産復調に伴う自動車部品株、さらにハイテク株の一角までがノミネートされる。なかには好決算発表とともにストップ高し、年初来高値追いとなっている銘柄もあるが、一段の底力、瞬発力を発揮してまだら模様の業績相場の勝ち組候補に名乗りを上げる展開も想定され、スタンバイしたい。
■インバウンド関連の鉄道株にストップ高銘柄も混じる消費関連株も
まん延防止等重点措置の解除などの行動制限の緩和で旅客需要が一部回復して前2022年3月期純利益が黒字転換し、今2023年3月期純利益が、大幅増益と予想している銘柄が目立つのは鉄道株である。今期下期には、旅客需要がコロナ前水準まで回復する可能性もあるほか、運賃の値上げ、インバウンド需要の上乗せも期待されるからだ。東急<9005>(東証プライム)、富士急行<9010>(東証プライム)、阪急阪神ホールディングス<9042>(東証プライム)、南海電鉄<9044>(東証プライム)などと続くが、そのなかでも割安銘柄として注目は、西武ホールディングス<9024>(東証プライム)と神奈川中央交通<9081>(東証プライム)である。西武HDは、前期純利益は西武建設の株式売却益の寄与で106億2300万円と黒字転換し、今期純利益は、ホテル・レジャー事業の資産売却にインバウンド関連のホテル客室稼働率の回復なども加わり820億円と予想、2016年3月期の過去最高を更新する。神奈川中央も前期に18億3800万円と黒字転換し、今期は乗合バス、貸切バス、タクシーの回復で36億9000万円と倍増を見込んでいる。それぞれPERは5倍、11倍と割安であり、4月、5月に買われた年初来高値を抜き一段高が期待される。
小売り・消費関連の黒字転換・大幅増益予想銘柄では、ワールド<3612>(東証プライム)、テイクアンドギヴ・ニーズ<T&G、4331>(東証プライム)、銀座山形屋<8215>(東証スタンダード)が上げられる。ワールドは、前期純利益が2億3900万円と黒字転換し、今期は55億円と前期比23倍増益を見込み、配当も年間48円(前期実績27円)に大幅増配を予定している。T&Gは、好決算発表とともにストップ高し、前週末27日に年初来高値1780円まで買い進まれたが、PERはまだ10倍ソコソコの割安評価でしかない。
■増配の自動車部品株の配当利回りは4%を超え一部ハイテク株は自己株式取得付きも
自動車部品株の勝ち組銘柄といえば、デンソー<6902>(東証プライム)だろう。前2022年3月期純利益が、半導体不足による減産の逆風を受けながら前々期比2.1倍増益で着地し、今期純利益は、前期比64%増の4340億円と見込み市場コンセンサスを上回ったからだ。同じ部品株で前期純利益が黒字転換し、今期純利益の絶対額がデンソーに遠く及ばないものの、増益率がデンソーを上回る銘柄をコード番号順に上げると芦森工業<3526>(東証プライム)、ファインシンター<5994>(東証スタンダード)、カネミツ<7208>(東証スタンダード)、エフテック<7212>(東証プライム)、田中精密工業<7218>(東証スタンダード>、ヨロズ<7294>(東証プライム)となる。今期増益率は、最も高い前期比4.7倍増益予想のエフテックから最も低い77%増益予想のなかに分布している。しかも6銘柄がすべて今期配当の増配を予定し、配当利回りが田中精密の1.3%を除き3.6%~4.7%と市場平均を大きく上回っているにもかかわらず株価は年初来安値水準にあるものも多く、底力の発揮をサポートしよう。
ハイテク関連ではリコー<7752>(東証プライム)とアルプスアルパイン<6770>(東証プライム)が見逃がせない。両社株とも前期純利益が黒字転換し、今期増益率は、リコーが2.07倍増益予想、アルプスアルパインは43%増益予想としている。加えて両社株とも自己株式取得を同時に発表し、リコーは、今期配当を年間34円(前期実績26円)、アルプスアルパインも同じく年間40円(同20円)とそれぞれ増配を予定している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)