アスカネットは23年4月期増収増益・増配予想、さらに上振れ余地
- 2022/6/13 10:14
- 決算発表記事情報
(決算速報)
アスカネット<2438>(東証グロース)は6月10日の取引時間終了後に22年4月期業績(非連結)を発表した。コロナ禍の影響が和らぎ、稼働率上昇効果などで大幅増益だった。23年4月期は引き続きコロナ禍影響緩和などで増収増益、そして増配予想としている。人員拡充、積極的な研究開発活動の継続、原材料費や仕入価格の上昇、広告宣伝費の増加などを考慮して小幅増益にとどまる予想としているが、保守的な印象が強く上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は急騰した3月の年初来高値圏から反落してモミ合う形だが、調整一巡感を強めている。好業績を評価して出直りを期待したい。
■22年4月期大幅増益、23年4月期増収増益・増配予想
22年4月期の業績(非連結、収益認識会計基準適用だが損益影響なし)は、売上高が21年4月期比9.7%増の63億31百万円、営業利益が58.6%増の4億39百万円、経常利益が36.8%増の4億52百万円、当期純利益が47.6%増の3億32百万円だった。コロナ禍の影響が和らいで大幅増益だった。概ね前回予想水準(22年3月7日付で上方修正)で着地した。配当は21年4月期と同額の7円(期末一括)とした。
セグメント別(22年4月期から名称変更、内部売上・全社費用等調整前)に見ると、葬儀関連のフューネラル事業は売上高が11.3%増の27億73百万円で営業利益が15.6%増の7億13百万円だった。葬儀の小型化が継続しているが、コロナ禍の影響が和らいで全国的に葬儀施行件数が増加し、ピント復元技術を切り口にした営業成果などで新規契約が順調だった。この結果、遺影写真加工収入、ハード機器売上、サプライ品の売上が増加した。利益面は、人件費、広告宣伝費、営業経費が増加したが、増収効果やオペレーションセンター稼働率上昇効果などで吸収した。
写真集関連のフォトブック事業は売上高が8.0%増の34億10百万円で営業利益が36.7%増の6億44百万円だった。一般消費者向け「マイブック」は旅行や各種イベントの自粛に伴う撮影機会の減少で厳しい状況が続いたが、プロフェッショナル写真家向け「アスカブック」のウェディング市場において、コロナ禍の影響が和らいで売上が回復傾向となった。家族写真や子ども写真などスタジオ向け写真集も順調だった。利益面は、原材料価格上昇や広告宣伝費増加の影響があったが、自社工場の稼働率が上昇して粗利率が改善し、発送配達費や地代家賃の抑制も寄与した。
空中結像プレートASKA3D関連の空中ディスプレイ事業は売上高が19.2%増の1億48百万円で営業利益が3億52百万円の赤字(21年4月期は2億72百万円の赤字)だった。先行投資段階のため、展示会出展に伴う広告宣伝費の増加、技術開発センター本格稼働に伴う研究開発費や減価償却費の増加で赤字拡大した。なおセブンーイレブン店舗「デジPOS」実証実験開始など、将来の量産化に向けた実績を積み上げている。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が14億66百万円で営業利益が42百万円、第2四半期は売上高が14億64百万円で営業利益が71百万円、第3四半期は売上高が17億58百万円で営業利益が2億56百万円、第4四半期は売上高が16億43百万円で営業利益が70百万円だった。
23年4月期の業績(非連結)予想は売上高が22年4月期比8.8%増の68億90百万円、営業利益が2.3%増の4億50百万円、経常利益が8.2%増の4億90百万円、当期純利益が4.6%増の3億48百万円としている。配当予想は22年4月期比1円増配の8円(期末一括)としている。
引き続きコロナ禍影響緩和などで増収増益、そして増配予想としている。売上高の計画は、葬儀関連のフューネラル事業が4.9%増の29億10百万円、写真集関連のフォトブック事業が6.4%増の36億30百万円、空中結像プレートASKA3D関連の空中ディスプレイ事業が137.1%増の3億50百万円としている。
利益面は、フューネラル事業における画像処理オペレーターの大幅な人員拡充、空中ディスプレイ事業における積極的な研究開発活動の継続、各事業における原材料費や仕入価格の上昇、展示会再開に伴う広告宣伝費の増加などを考慮して小幅増益予想としているが、保守的な印象が強く上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は調整一巡
株価は急騰した3月の年初来高値圏から反落してモミ合う形だが、調整一巡感を強めている。好業績を評価して出直りを期待したい。6月10日の終値は1054円、今期予想PER(会社予想のEPS20円68銭で算出)は約51倍、今期予想配当利回り(会社予想の8円で算出)は約0.8%、前期実績PBR(前期実績のBPS358円24銭で算出)は約2.9倍、時価総額は約184億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)