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ヒーハイストは下値固め完了、23年3月期減益予想だが保守的
- 2022/6/13 10:13
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ヒーハイスト<6433>(東証スタンダード)は直動機器を主力として、精密部品加工やユニット製品も展開している。小径リニアボールブッシュの世界トップメーカーである。23年3月期は原材料価格や物流費の高騰、さらに「スマート生産プロジェクト」の一環とする設備投資など成長投資などの影響を考慮して減益予想としているようだが、保守的だろう。上振れを期待したい。株価は23年3月期減益予想を嫌気して3月の年初来安値に接近する場面があったが、その後は売り一巡して下値固め完了感を強めている。低PBRも評価材料として出直りを期待したい。
■小径リニアボールブッシュの世界トップメーカー
20年7月1日付で商号をヒーハイスト精工からヒーハイストに変更した。独自の球面加工技術や鏡面加工技術をコア技術として、直動機器(リニアボールブッシュや球面軸受けなど)、精密部品加工(レース用部品や試作部品の受託加工など)、ユニット製品(液晶製造装置向けなど)を展開している。
小径リニアボールブッシュの世界トップメーカーである。リニアボールブッシュは機械装置の稼働部に用いられる部品で、金属と金属の接触面を鋼球が転がりながら移動することで摩擦による影響を低減し、機械装置の寿命を延ばす役割を担っている。
22年3月期の製品別売上構成比は直動機器67%、精密部品加工29%、ユニット製品4%だった。主要販売先はTHK<6481>および本田技研工業<7267>である。収益面では産業機械・電子部品・自動車関連の設備投資動向の影響を受けやすく、設備投資関連のため四半期業績が変動しやすい特性もある。
■生産能力向上と採算性向上を推進
収益力向上および経営基盤強化に向けた重点方針として、生産能力向上とコストダウンによる採算性向上、QCDの徹底追求による顧客対応力の強化、顧客ニーズに適合した応用製品の開発と販売、主力製品リニアボールブッシュの競争力強化による拡販、提案型技術営業による新規顧客開拓、海外販売網の構築・強化、従業員の上昇志向と能力の向上を推進している。
21年10月にはESG経営の一環として、秋田県の大学生有志(国際教養大学、秋田大学、秋田県立大学の3大学)が進めている花火打ち上げプロジェクト「輝け!僕らの秋田ゆめ花火プロジェクト」に協賛した。21年11月には、川越市と川越商工会議所が認定・表彰する「川越ものづくりブランドKOEDO E―PRO」において、クサビ式減速機構を搭載した超精密1軸ステージおよび超精密XYθステージが令和3年度大賞を受賞した。
22年5月には「スマート生産プロジェクト」の一環として、直動機器の増産を目的として埼玉工場の敷地内に「無人工場棟」を建設すると発表した。投資金額は約2億円(生産設備、移動費用を含まない)で、22年10月着工予定、23年3月完成予定としている。
■23年3月期減益予想だが保守的
22年3月期連結業績(収益認識会計基準適用だが損益への影響なし)は、売上高が21年3月期比21.9%増の27億42百万円、営業利益が2.6倍の2億28百万円、経常利益が2.8倍の2億58百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.2倍の2億17百万円だった。配当は21年3月期比3円増配の4円(期末一括、普通配当3円+創立60周年記念配当1円)とした。
大幅増収増益だった。主力の直動機器の需要がコロナ禍から回復基調となり、半導体業界向けを中心に好調だった。部門別売上高は、直動機器が半導体関連を中心とする需要増加で47.5%増の18億37百万円、精密部品加工がレース用部品を中心に増加して4.9%増の7億88百万円だった。ユニット製品は設備投資需要低迷で53.9%減の1億15百万円だった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が7億09百万円で営業利益が1億13百万円、第2四半期は売上高が6億90百万円で営業利益が66百万円、第3四半期は売上高が6億55百万円で営業利益が39百万円、第4四半期は売上高が6億88百万円で営業利益が10百万円だった。
23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比1.3%減の27億07百万円、営業利益が53.7%減の1億05百万円、経常利益が59.6%減の1億04百万円、親会社株主帰属当期純利益が65.7%減の75百万円としている。配当予想は22年3月期比2円減配の2円(期末一括)としている。
原材料価格や物流費の高騰、さらに「スマート生産プロジェクト」の一環とする設備投資など成長投資などの影響を考慮して減益予想としているようだが、保守的だろう。上振れを期待したい。
■株価は下値固め完了
株価は23年3月期減益予想を嫌気して3月の年初来安値に接近する場面があったが、その後は売り一巡して下値固め完了感を強めている。低PBRも評価材料として出直りを期待したい。6月10日の終値は277円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS12円16銭で算出)は約23倍、今期予想配当利回り(会社予想の2円で算出)は約0.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS517円09銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約17億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)