【注目銘柄】五洋建設、洋上風力発電の風車基礎・海洋工事で注目

風力発電

 五洋建設<1893>(東証プライム)が、24日682円+8円(+1.19%)と4連騰で連日の年初来高値更新と堅調だ。

 24日付の日本経済新聞朝刊が「経済産業、国土交通両省が23日、洋上風力発電に参加する事業者を増やすための新たな公募ルール案をまとめた」と伝えたことが買い手掛かり。

 この日は、レノバ<9519>(東証プライム)がストップ高、東洋建設<1890>(東証プライム)が急騰する等、関連銘柄の一角に物色の矛先が向かった。五洋建設においては洋上風力建設の取組みが注目される。

■北九州響灘洋上風力発電で風車基礎・海洋工事等の優先交渉権獲得

 同社は、北九州響灘洋上風力発電事業(事業者 ひびきウインドエナジー株式会社)において、風車基礎・海洋工事等の優先交渉権者に選定された。風車基礎・海洋工事を日鉄エンジニアリング(東京・品川)と共同企業体(JV)で請負うほか、輸送船が発着する拠点港工事を若築建設<1888>(東証プライム)とJVで請負うことから、五洋建設に対する関心が高まっている。

■日本の洋上風力建設のトップランナー

 同社は、海洋土木(マリンコンストラクション)のトップ企業で、大型クレーンを搭載したSEP船「CP-8001」と「CP-16001」(1,600t吊、同社が65%・鹿島建設30%・寄神建設5%の共同保有、2023年3月就役予定)の2隻を保有又は建造中。さらにDEME Offshore社(ベルギー)と共同で3隻目(1,600t吊、2025年就役予定)の保有を予定している。

 大型クレーンを搭載したSEP船は、クレーン作業と杭打ち作業が可能な起重機船で、洋上風力発電設備の建設のみならず、気象・海象条件の厳しい海域における各種海洋土木工事においても活用が期待される。そのほか、ケーブル敷設船の建造を検討中、風車建設に関わる仮設鋼構造物の制作(室蘭製作所の建て替え)等、日本の洋上風力建設をけん引するための積極的な投資を実施しており、将来的には収益機会が広がると見られる。

■今2023年3月期業績急回復見込む

 足元の業績は、今2023年3月期売上高5150億円(前期比12.4%増)、営業利益315億円(同97.6%増)、経常利益310億円(同98.0%増)、純利益210億円(同95.3%増)と急回復を見込む。

 株価は、2021年1月高値948円から同年8月安値662円、22年3月9日年初来安値558円と二段下げ終了から上昇している。24日に同社がシンガポール保健省(MOH)からシンガポール総合病院の関連施設工事「エレクティブケアセンター新築工事」を約806億円で受注したと発表したことも株価を刺激。また、マリンコンストラクションにアクティビスト・ファンドが介入。或いはM&Åの動きが活発化しており、同社株に対しても思惑が増幅する。今期予想PER9倍台と割安感があり、上昇に弾みがつくか注目したい。(信濃川)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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