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ソフトクリエイトホールディングスは反発の動き、23年3月期は小幅増益予想、さらに上振れの可能性
- 2022/6/27 08:23
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東証プライム)はECソリューション事業とITソリューション事業を展開し、成長戦略としてクラウドサービス拡大を推進している。23年3月期は開発費、広告宣伝費、採用費の増加など先行投資を考慮して小幅増益にとどまる見込みとしているが保守的だろう。EC市場は拡大基調であり、企業のDX投資は高水準に推移することが予想される。市場環境は良好である。会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は3月の上場来高値圏から反落して上値を切り下げる形となったが、利益確定売りが一巡して反発の動きを強めている。好業績を再評価して戻りを試す展開を期待したい。
■ECソリューション事業とITソリューション事業を展開
ITソリューションサービスを展開する持株会社である。22年3月期のセグメント別売上高(22年3月期からセグメント区分変更、収益認識会計基準適用後)は、ECソリューション事業が115.8億円(ECサイト構築パッケージ「ecbeing」が79.4億円、デジタルマーケティングが27.2億円、ECクラウドサービスが9.2億円)で、ITソリューション事業が96.4億円(セキュリティ・インフラ構築が46.0億円、ITパッケージが17.6億円、ITクラウドサービスが16.5億円、IT機器が16.3億円)だった。セグメント利益(全社費用等調整前経常利益)は、ECソリューション事業が31億22百万円、ITソリューション事業が24億01百万円だった。
なお収益認識会計基準適用の影響で、従来方法に比べて売上高が71億09百万円減少、売上原価が70億97百万円減少している。IT機器が影響を受けた(収益認識会計基準適用前の21年3月期実績は56.6億円)が、利益への影響は軽微である。
ECソリューション事業は、連結子会社ecbeingのECサイト構築パッケージ「ecbeing」の販売・保守・ホスティングサービスが主力である。ECサイト構築からマーケティング支援やデータ分析までワンストップで対応していることが強みとして、中~大規模顧客向けを中心に国内ECサイト累計構築実績は21年3月期末時点で1400サイトを突破している。市場シェアは13年連続1位(出典:富士キメラ総研社の富士マーケティングレポート ECサイト構築パッケージソリューション市場占有率調査)である。
なお連結子会社ecbeingは22年2月、中華圏をはじめとする海外市場向けマーケティング事業・越境EC支援事業を展開するクロスシーの第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。システム面での連携を強化し、より付加価値の高い中国市場向けソーシャル越境EC事業の実現を目指す。また22年3月には「ecbeing」の20年の年間流通総額が6000億円を突破したと発表している。国内ECサイト構築業者としてNO.1の流通額である。
ITソリューション事業は、自社開発サービス「SCクラウド」、不正アクセス端末検知・遮断システム「L2Blocker」、連結子会社エイトレッド<3969>が展開するワークフローシステム(パッケージ型「AgileWorks」、クラウド型「X-point Cloud」)、連結子会社ソフトクリエイトのシステムインテグレーション・IT機器販売を主力としている。
■クラウドサービスの拡大を推進
成長戦略としてクラウドサービスの拡大を推進している。クラウドサービスの売上高は18年3月期8.2億円、19年3月期11.9億円、20年3月期15.3億円、21年3月期19.3億円(ECクラウドサービスが6.1億円、ITクラウドサービスが13.2億円)と拡大基調である。
さらに独自開発のクラウドサービス(ECクラウドサービス「メルカート」、ビジュアルマーケティング「visumo」、レビュー最適化ツール「Revico」、「サイトミライズ」、オムニチャネル分析ツール「Sechstant」など)の拡販にも注力している。
22年3月期第1四半期時点の合計導入社数は、ECクラウドサービス分野の「メルカート」84社、「visumo」335社、「Revico」48社、「サイトミライズ」106社、「Sechstant」30社、ITクラウドサービス分野の「SCクラウド」454社、「X-point Cloud」847社、「L2Blocker」181社となっている。21年6月には、インスタグラムの写真を自社サイトに活用する「visumo」のソリューションが、トヨタ自動車公式サイトに採用されている。
■23年3月期小幅増益予想だが上振れの可能性
23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比10.5%増の234億60百万円で、営業利益が2.7%増の41億40百万円、経常利益が2.5%増の42億65百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が4.5%増の24億70百万円としている。配当予想は22年3月期と同額の40円(第2四半期末20円、期末20円)としている
需要が高水準に推移して増収増益予想としている。利益面は製品機能強化・充実のための開発費の増加、知名度向上のための広告宣伝費の増加、積極的な人材採用に伴う採用費の増加など、先行投資を考慮して小幅増益にとどまる見込みとしている。ただし保守的だろう。EC市場は拡大基調であり、企業のDX投資は高水準に推移することが予想される。市場環境は良好である。会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は3月末と9月末の年2回
株主優待制度は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容は保有株式数および保有期間に応じてオリジナルQUOカードを贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は反発の動き
株価は3月の上場来高値圏から反落して上値を切り下げる形となったが、利益確定売りが一巡して反発の動きを強めている。好業績を再評価して戻りを試す展開を期待したい。6月24日の終値は3755円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS194円62銭で算出)は約19倍、今期予想配当利回り(会社予想の40円で算出)は約1.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1036円93銭で算出)は約3.6倍、そして時価総額は約517億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)