【アナリスト水田雅展の銘柄分析】うかいは収益改善基調を評価、9月末に向けて株主優待権利取りも注目

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 うかい<7621>(JQS)は高級料理店をチェーン展開している。株価は2600円~2800円近辺でモミ合う展開だが、2400円近辺でのモミ合いから上放れて6月22日に3220円まで急伸する場面があった。99年11月上場時以来の高値水準だ。16年3月期の収益改善基調を評価する流れに変化はなく、9月末に向けて株主優待制度の権利取りの動きも注目される。そして99年11月上場時の高値3520円が視野に入る。

■高級和食・洋食店チェーンを展開

 飲食事業(高級和食・洋食店)を主力として、文化事業(箱根ガラスの森美術館)も展開している。新たな成長ステージに向けた戦略として、商圏1万キロに向けたブランド構築、新業態の定着と新規出店、サービス向上のための人材育成、製菓工房「アトリエうかい」の本格稼働、和食店のお土産品強化、物販における販路開拓、海外へのブランド発信と海外企業との業務提携などを推進している。

 14年4月には、国内で4年ぶりの新店となる新業態の割烹料理店「銀座kappou ukai(呼称:割烹うかい)」をオープンした。海外は13年5月に、台湾・高雄市FIHリージェントグループホテル内レストランのコンサルティング契約を締結して海外初出店を決定し、16年オープンに向けて準備を進めている。

■16年3月期は大幅増益予想で収益改善基調

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)30億66百万円、第2四半期(7月~9月)29億30百万円、第3四半期(10月~12月)34億99百万円、第4四半期(1月~3月)27億39百万円で、営業利益は第1四半期84百万円、第2四半期1億23百万円の赤字、第3四半期3億80百万円、第4四半期85百万円の赤字だった。

 また15年3月期の配当性向は273.7%だった。ROEは14年3月期比5.4ポイント低下して0.6%、自己資本比率は同0.5ポイント上昇して41.7%となった。そして有利子負債の返済が順調に進み、15年3月期末の対売上高比率は31.6%となり、目標の35%台まで改善した。

 今期(16年3月期)の非連結業績予想(5月19日公表)は売上高が前期比0.6%増の123億02百万円、営業利益が同41.4%増の3億63百万円、経常利益が同65.2%増の3億09百万円、純利益が同6.0倍の1億68百万円としている。配当予想は前期と同額の年間15円(期末一括)で予想配当性向は45.7%となる。

 厳しい事業環境などを考慮して売上高は前期比ほぼ横ばいだが、前期の減益要因だった新店「銀座kappou ukai」や「アトリエうかい八王子工房」の開業費、創業50周年記念事業費、箱根ガラスの森特別企画展の開催等に係る販促費用、営業外での積立型保険中途解約に伴う損失計上、さらに繰延税金資産取崩に伴う法人税等調整額の発生などが一巡して大幅増益見込みだ。

 消費増税や天候不順の影響が一巡し、株価上昇による高額消費の活発化、企業業績改善や賃金上昇に伴う消費マインドの改善、外国人旅行客のインバウンド需要、一部店舗のコースメニュー改定による客単価上昇、新店「銀座kappou ukai」の収益寄与本格化などが期待される。収益は改善基調だろう。

 なお月次売上高(前年比、アトリエうかいの店頭販売含む)を見ると、15年4月は全店が98.4%、既存店が98.4%、5月は全店が106.2%、既存店が106.2%、6月は全店が97.3%、既存店が97.3%である。6月は天候不順が影響したようだ。

 中長期経営計画では18年3月期売上高129億51百万円、営業利益6億46百万円を目標値として掲げている。ブランド認知度の向上、圏央道相模原愛川IC~高尾山IC間の開通に伴う商圏拡大などに加えて、外国人旅行客のインバウンド需要や和食がユネスコの世界無形文化遺産に登録されたことも追い風だ。中期的に収益拡大が期待される。

■株価は強基調を継続、99年11月の上場来高値視野

 株主優待制度については14年5月に実施時期変更を発表し、毎年3月期末から毎年9月中間期末に変更して14年9月末から実施した。そして14年8月に優待内容変更を発表した。箱根ガラスの森入場招待券1500円×10枚(1万5000円相当)を廃止し、代わりに100株以上所有株主に対して箱根ガラスの森株主限定食事付入場招待券5枚(1万5000円相当)を贈呈する。その他の優待内容に関しては所有株式数に応じた食事優待券または特選うかい牛肉で変更はない。

 株価の動きを見ると、2400円近辺でのモミ合いから上放れて6月22日に3220円まで急伸する場面があった。99年11月上場時以来の高値水準となる3000円台だ。その後は2600円~2800円近辺でモミ合う展開だが、16年3月期の収益改善基調を評価して水準切り上げの展開が続いている。全般地合い悪化の影響を受けた7月9日に2252円まで調整する場面があったが影響は一時的だった。

 7月24日の終値2788円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS32円79銭で算出)は85倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は0.5%近辺、そして前期実績PBR(前期実績のBPS925円25銭で算出)は3.0倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調を継続している。16年3月期の収益改善基調を評価する流れに変化はなく、9月末に向けて株主優待制度の権利取りの動きも注目される。そして99年11月上場時の高値3520円が視野に入る。

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