【株式評論家の視点】松田産業は3事業が異種混成型で補充し合い好成長、今3月期は2.8%増収、営業利益4.4%増益
- 2014/12/12 11:55
- 株式評論家の視点
<銘柄の見所>
松田産業<7456>(東1)は、12月11日(木)4円安(0.31%)の1282円と小反落している。
同社は、地球資源を「活かす」貴金属関連事業、地球環境を「守る」環境関連事業、食資源を地球規模で「提供する」食品関連事業、3つの事業のそれぞれが、独立採算を追求しているうえに異種混成型の事業形態がお互いに補充し合うことで、安定性と成長性のある企業づくりを実現している。
足元の業績は、2015年3月期第2四半期売上高が876億2300万円(前年同期比4.5%増)、営業利益が20億1000万円(同16.6%減)、経常利益が23億1600万円(同13.1%減)、純利益が15億6000万円(同10.1%減)に着地。
純利益は計画を若干上回り順調に推移している。貴金属関連事業は、貴金属部門で、主力顧客である半導体・電子部品業界の生産状況の回復が続き、貴金属製品の販売量は前年同期を上回ったが、電子材料等の販売量が前年同期を下回り、一部貴金属相場の下落もあり全体としての売上高は前年同期に比べ減少。
環境部門では、対象業界の生産活動が緩やかな回復基調にあり、同社グループの取扱量も増加で推移したが、写真感材回収の銀価格の下落もあり、売上高は前年同期に比べ減少した。
食品関連事業は、食品部門で、国内の緩やかな景気回復感はあるものの、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響や、円安などによる原価高騰といった厳しい事業環境となる中で、水産品、畜産品及び農産品の販売数量が増加し、価格の上昇もあり、売上高は前年同期に比べ増加した。
通期業績予想は、売上高が1700億円(前期比2.8%増)、営業利益が47億円(同4.4%増)、経常利益が50億円(同2.2%増)、純利益が32億7000万円(同2.4%増)と増収増益を確保する見通し。年間配当は24円(中間12円 期末12円)を予定している。貴金属関連事業においては、国内外の拠点強化を進めるとともに、新規の需要開拓を積極的に行い業容の拡大を図っている。また、食品関連事業においては、海外拠点の活用も含め、顧客ニーズを的確にとらえた営業活動を行い、着実な収益確保を図っている。
株価は、1月8日につけた年初来の高値1415円から5月19日に年初来の安値1117円まで調整を挟んで9月25日高値1333円と上昇。再度、10月17日安値1130円と売り直されて下値確認から11月26日高値1321円と買われた後、モミ合いとなっている。
同社は「東アジアNo.1のリファイナー」を目指し、国内拠点の整備を推進するとともに、海外拠点における地域戦略の強化にも取り組んでいる。モータリゼーションが進む東南アジアで廃棄自動車が増えていることに対応し、本年3月にベトナム北部フンイエン省に貴金属リサイクルを手がける現地法人を設立。製錬設備を備えた工場の建設に向けて準備を進めているほか、フィリピン現地法人においては貴金属原材料の回収機能の強化のため新たに倉庫を購入。タイ、シンガポール、マレーシア及び中国(蘇州)の現地法人においても、電子部材、化成品等の販売や貴金属リサイクル原料回収の拡大を図っており、東南アジアのリサイクル需要の拡大に対する期待感が高まる。
バリュエーション的にも今期予想PER11倍台・PBR0.77倍と割安感がある。また、需給面では同社は豊富な現金等を背景に自社株買いを断続的に実施しており、ここから下押す場面があれば、中長期的な視点で買い妙味が膨らみそうだ。(株式評論家・信濃川)