マーケットエンタープライズは上値試す、中期経営計画進捗順調で23年6月期収益回復基調

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 マーケットエンタープライズ<3135>(東証プライム)は、持続可能な社会を実現する最適化商社を目指してネット型リユース事業、メディア事業、モバイル通信事業を展開している。22年6月期は成長戦略再構築のステージと位置付けて赤字予想としている。ただし中期経営計画の進捗は順調であり、23年6月期は収益回復基調だろう。株価は底放れの形となって戻り歩調だ。週足チャートで見ると26週移動平均線も上向きに転じてきた。上値を試す展開を期待したい。なお8月12日に22年6月期決算発表を予定している。

■持続可能な社会を実現する最適化商社

 持続可能な社会を実現する最適化商社を目指して、ITとリアルを融合させたリユース事業を中心に事業領域拡大戦略を推進している。セグメント区分はインターネットに特化してリユース品を買取・販売するネット型リユース事業、消費者に対して有益な情報をインターネットメディアで提供するメディア事業、低価格通信サービスのモバイル通信事業としている。

 21年6月期のセグメント別(連結調整前)の売上構成比はネット型リユース事業60%、メディア事業5%、モバイル通信事業35%、営業利益構成比はネット型リユース事業59%、メディア事業26%、モバイル通信事業15%だった。

■「高く売れるドットコム」と「おいくら」

 ネット型リユース事業は販売店舗を保有せずに、インターネットに特化して買取・販売サービスを展開している。買取総合窓口サイト「高く売れるドットコム」をフラッグシップサイトとして、商材別に分類された30カテゴリーに及ぶ幅広い対応で自社WEB買取サイトを運営し、コンタクトセンターにおける事前査定、リユースセンターにおける買取・在庫一括管理・商品化、複数の主要Eマーケットプレイス(ヤフオク、楽天市場、Amazon、Ebayなど)に出店した自社運営サイトでの販売という、一気通貫のオペレーションシステムを特徴としている。

 20年7月には「高く売れるドットコム」と、19年2月に事業を譲り受けた日本最大級のリユースプラットフォーム「おいくら」のシステム連携・送客を開始した。21年6月には内閣府が運営する「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」に参画した。21年10月には「高く売れるドットコム」が、特定非営利法人・一般社団法人ハウスキーピング協会主催「シンプルスタイル大賞2021」のサービス・空間部門で特別賞を受賞している。

 地域社会における課題解決を目的として地方自治体との取り組みを推進しており、21年6月には北海道絵恵庭市と「おいくら」を活用した持続可能な循環型社会に関する連携協定を締結、21年7月には三重県いなべ市と持続可能な循環型社会に関する包括協定を締結した。22年4月には川崎市および東京都墨田区における粗大ごみリユース事業として「おいくら」が本格導入された。また神戸市と地域社会における課題解決を目的とした連携による実証実験を開始した。関西の自治体では初の取り組みとなる。

 また7月1日には埼玉県川越市と、地域社会における課題解決を目的とした連携による楽器寄附ふるさと納税の取り組みを開始した。

■中古農機具の取り扱いも拡大

 中古農機具、中古建機、中古医療機器など法人向け大型商材の取り扱いを拡大している。子会社MEトレーディングは20年5月に中古農機具事業を譲り受けて、中古農機具の買取代行、国内および海外販売・輸出代行を展開している。

 21年10月にはマシナリー(中古農機具)ビジネス加速に向けて北関東リユースセンター(茨城県結城市)を開設し、グループ全体のリユースセンターは12拠点となった。そして21年11月には北関東リユースセンターから中古農機具のEU向け輸出を開始した。中古農機具の取扱量拡大・EUへの輸出強化、拠点での対面販売による新規就農者支援などを推進する。22年4月にはファーマリーが展開する中古農機具の買取・販売事業を譲り受けた。

 22年6月には中古農機具需要の高まりを受けて鳥取リユースセンターにおいて、法人顧客を対象とした中古農機具専門の展示即売会を開催した。7月14日には北関東リユースセンター(茨城県)において開催を予定している。

■メディア事業とモバイル通信事業も展開

 メディア事業は賢い消費を求める消費者に対して、その消費行動に資する有益な情報をインターネットメディアで提供するサービスを展開している。広告収入が収益柱となる。

 モバイル通信関連のメディア「iPhone格安SIM通信」「SIMチェンジ」、モノ売却・処分関連のメディア「高く売れるドットコムMAGAZINE」「おいくらマガジン」、モノ修理関連のメディア「最安修理ドットコム」、中古農機具買取・販売プラットフォーム「中古農機市場UMM」、農業に特化した「農業とつながる情報メディアUMM」などを運営している。

 なお「中古農機市場UMM」は、20年4月設立した子会社UMMが、20年5月国内最大級のインターネット中古農機具売買事業「JUM全国中古農機市場」を譲り受け、20年6月に名称を「中古農機市場UMM」に変更した。

 モバイル通信事業は、子会社のMEモバイルがMVNO事業者として、通信費の削減に資する低価格かつシンプルで分かりやすい通信サービスを展開している。主力は「カシモ」ブランドのモバイルデータ通信サービスである。

■プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書

 22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編ではプライム市場を選択し、プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書を作成・開示している。21年8月公表の中期経営計画に掲げた積極投資を経て、目標値を達成して安定的な収益基盤を構築した後、26年6月期までにプライム市場上場維持基準に適合できる体制の構築に取り組むとしている。

 21年8月公表の中期経営計画では目標として24年6月期売上高200億円、営業利益12億円を掲げている。主力の個人向けリユースの成長回帰、マシナリー(農機具・建機)および「おいくら」の成長加速などの売上成長により、まずは中期経営計画の達成を目指し、さらに25年6月期も含めて2期合計営業利益25億円を稼ぐ収益構造を構築する。

 24年6月期売上高計画の内訳は、ネット型リユース事業137億44百万円(個人向けリユース100億円、マシナリー30億円、「おいくら」7億44百万円)、メディア事業8億円、モバイル通信事業55億円としている。さらに25年6月期以降は、リユースの継続的成長に加えて、「おいくら」およびモバイルのストック収益を中心に持続的な収益拡大を目指すとしている。

■22年6月期は成長戦略再構築のステージ、23年6月期収益回復基調

 22年6月期の連結業績予想(収益認識会計基準適用だが損益への影響なし)は、売上高が21年6月期比10.3%増の120億円、営業利益が4億円の赤字(21年6月期は54百万円の黒字)、経常利益が4億05百万円の赤字(同32百万円の黒字)、親会社株主帰属当期純利益が4億40百万円の赤字(同40百万円の赤字)としている。

 赤字予想だが、中期経営計画の最終年度24年6月期目標値(売上高200億円、営業利益12億円)達成に向けて、22年6月期は成長戦略再構築ステージと位置付けている。個人向けリユースの買取能力増強、マシナリー(農機具・建機)の買取および出荷機能強化、「おいくら」の顧客基盤強化やシステムリニューアル、メディア事業の既存戦略深堀、モバイル通信事業のストック型収益へのシフトなどを推進する方針だ。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比5.1%増の85億32百万円、営業利益が2億23百万円の赤字(前年同期は98百万円の黒字)、経常利益が2億40百万円の赤字(同71百万円の黒字)、親会社株主帰属四半期純利益が2億13百万円の赤字(同4百万円の赤字)だった。広告宣伝費や人件費の増加など先行投資の影響で赤字だった。

 ネット型リユース事業は売上高が2.1%減の47億31百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が80.6%減の79百万円だった。マーケティング投資の積極化、農機具分野における新拠点開設、積極的な採用活動やシステム投資など先行投資の影響で減益だった。

 メディア事業は売上高が1.1%減の4億15百万円で、利益が18.5%増の2億39百万円だった。第1四半期の落ち込みをカバーできず減収だが、第2四半期以降は収益性の高いキーワードにおける検索ランキングが回復傾向となり、モバイル通信に関するメディアへの送客収入も回復傾向となった。

 モバイル通信事業は売上高が17.0%増の34億51百万円で、利益が4.6%減の1億30百万円だった。新商材のWiMAX 5Gを中心に新規回線獲得数が増加して増収だが、中期的なストック収益基盤構築に向けた新たな料金プラン設定などで1契約回線あたりの収益期間が長期化し、新規回線獲得に向けた獲得コストが一時的に増加したことも影響して減益だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が26億07百万円で営業利益が1億65百万円の赤字、第2四半期は売上高が28億85百万円で営業利益が39百万円の赤字、第3四半期は売上高が30億39百万円で営業利益が18百万円の赤字だった。第1四半期がボトムとなった可能性がありそうだ。

 通期予想は据え置いている。中期経営計画(21年8月13日公表)最終年度24年6月期の目標値である売上高200億円、営業利益12億円の達成に向けて、22年6月期は成長戦略再構築のステージと位置付けて赤字予想としている。第3四半期累計は赤字だったが、売上高と売上総利益が前年比増加に転じて中期経営計画の進捗は順調としている。22年6月期第1四半期がボトムとなった可能性があり、23年6月期は収益回復基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は底放れの形となって戻り歩調だ。週足チャートで見ると13週移動平均線が支持線の形となり、26週移動平均線も上向きに転じてきた。上値を試す展開を期待したい。7月1日の終値は1192円、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS271円50銭で算出)は約4.4倍、時価総額は約63億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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