【どう見るこの相場】ポスト参院選の「一丁目一番地」銘柄に急浮上?!第7波関連の防疫株に買い乗せも一考余地

どう見るこの相場

 暗澹たる思いが強い。安倍晋三元首相への銃撃事件である。お亡くなりになられた安倍晋三元首相には心からご冥福をお祈りする。これは、ロシアがウクライナへ軍事侵攻したときにに感じた理不尽さと何ら変わりはない。暴力により現状を変更しようとする蛮行と同じであり、白昼の衆人環視のなかで起こった事件には、世界一安全といわれている日本の社会の底辺にどんな闇が隠れているのか不気味ささえ覚える。

 もとより民意を問う参議院選挙中の暴挙であり、民主主義の根幹に反する。また市場参加者すべてが、自由経済を前提に経済合理性により自己責任で株価を形成する株式市場とも相容れずネガティブに影響する。現に前週末8日の株式市場では、前場に391円高まで買われ大幅続伸していた日経平均株価が、安倍晋三元首相への銃撃事件の第一報が伝わった途端に、投資家マインドが暗転して窓を開けて急落、大引けでは26円高とこの日の安値圏で引けた。

 その後、前日10日に投開票の参議院議員選挙では、自民党が、単独で改選議席数の過半数を上回る大勝となり、これに与党の公明党や改憲派野党を加えた獲得議席数は、非改選議席数と合わせて憲法改正の発議に必要な3分の2を超えた。週明けのマーケットでは、痛ましい銃撃事件の影響は残るものの、気を取り直してこの選挙結果を受けた「インベスト・イン・キシダ」へのトライからスタートすることになりそうだ。ポスト参議院選挙の「一丁目一番地」政策の先取りである。ウクライナ危機を背景にした安全保障問題や憲法改正か物価対策か原発再稼働のエネルギー問題か、それとも新型コロナウイルス感染症の感染拡大の封じ込めかなど模索が続くはずである。

 そのなかでも今週の当特集では、喫緊の「一丁目一番地」政策として新型コロナ問題にフォーカスすることにした。新型コロナウイルス感染症の新規感染者は再拡大中で、東京都の新規感染者は、7月5日に前日の2700人台から一気に5000人台に急拡大し、続いて8000人台、9000人台とさらに増加、東京都の小池百合子知事は、「第7波に入った」と警戒を呼び掛けた。東京都のモニタリング会議でも、この増加ペースが続くと、単純計算で新規感染者は、7月20日に1万5534人、8月3日には5万4902人に増加するとの試算が示された。10日現在では9482人と感染拡大が止まらない。

 「賽の河原の石積み」である。感染拡大の「第6波」がなんとか収束して「まん延防止等重点措置」が解除されたのが、今年3月21日である。5月のゴールデンウイークも、2年ぶりに行動制限なしに満喫できるとして行楽地が賑わい、国内旅行需要喚起のための「県民割」も歓迎され、マスク着用も緩和されリオープン(経済再開)期待を高めて関連株が買われたのもつかの間、新規感染者のリバウンドから再び「三密」回避が呼び掛けられ始めている。

 しかも、早期に梅雨が明け夏休みも接近し、人の移動が活発化する季節となる。「第7波」の懸念は強まる一方で、「ゼロ・コロナ」を徹底しても、ロックダウン(都市封鎖)から抜け出せずなかなか生産活動が復調しない中国と同様の経済活動の腰折れも心配される。参議院選挙後の「一丁目一番地」政策として、感染封じ込めが待ったなしとなるはずだ。

 株式市場は、すでにこれを先取りして空運株、旅行代理店株などのリオープン銘柄の上値が重くなり、防疫関連のマスク株や検査キット関連株などへの見直し買いが活発化し動意付いている。一昨年2020年4月の感染拡大の「第1波」以来の定番相場である。この夏相場も、関連株がどこまで買い戻されるのか、試してみるのも一考余地がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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