アステナホールディングスは22年11月期利益予想を下方修正、自己株式取得発表
- 2022/7/14 09:22
- 決算発表記事情報
(決算速報)
アステナホールディングス<8095>(東証プライム)は7月13日の取引時間終了後に22年11月期第2四半期累計連結業績を発表した。売上面は堅調だが、原材料価格高騰などの影響で減益となった。そして通期利益予想を下方修正した。なお配当予想は据え置き、新たに自己株式取得を発表している。23年11月期は積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は下値固め完了して反発の動きを強めている。目先的には下方修正を嫌気する動きが優勢になりそうだが下値限定的だろう。
■22年11月期2Q累計減益、通期予想下方修正
22年11月期第2四半期累計の連結業績(収益認識会計基準適用のため前期比増減率は非掲載、売上高が従来の方法と比較して減少するが営業利益以下への影響は軽微)は、売上高が249億34百万円(収益認識会計基準適用前の前年同期は362億34百万円)、営業利益が7億20百万円(同14億94百万円)、経常利益が8億35百万円(同15億73百万円)、そして親会社株主帰属四半期純利益が9億32百万円(同9億75百万円)だった。
収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が110億90百万円減少、売上原価が110億57百万円減少、営業利益、経常利益、税金等調整前四半期純利益がそれぞれ0百万円減少している。収益認識会計基準適用前ベースで見ると、売上高は前年同期比0.6%減の360億25百万円、営業利益が51.8%減の7億20百万円、経常利益が45.6%減の8億35百万円、税金等調整前四半期純利益が4.7%減の14億64百万円となる。売上面は堅調だが、為替の急激な円安進行、原材料価格や物流費の高騰などの影響で減益となった。
ファインケミカル事業は売上高が75億29百万円(同116億39百万円)で、利益(調整前営業利益)が4億73百万円(同7億25百万円)だった。大幅減益だった。医薬品原料分野は新規GE品目や中間体も寄与して堅調だったが、CDMO分野が事業環境の変化や案件納期の変更などの影響で低調だった。
HBC・食品事業は売上高が72億01百万円(同140億01百万円)で、利益が65百万円の赤字(同3億49百万円の赤字)だった。赤字が縮小した。一般用医薬品を主体とする卸売分野はマルマンH&Bが取り扱う韓国コスメ関連も寄与して好調だった。食品原料分野は大口受注も寄与して好調だった。化粧品原料分野や通販化粧品分野も堅調だった。
医薬事業は売上高が58億84百万円(同65億13百万円)で、利益が3億52百万円(同9億22百万円)だった。大幅減益だった。美容医療分野や岩城製薬佐倉工場は堅調だったが、医療用医薬品が各種コスト増の影響を受けた。
化学品事業は売上高が43億18百万円(同40億96百万円)で、利益が38百万円の赤字(同2億05百万円の黒字)だった。大幅減益だった。表面処理薬品において既存製品の一部の販売が伸び悩み、予定していた新規採用が第3四半期に延期となった。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が122億85百万円で営業利益が6億30百万円、第2四半期は売上高が126億49百万円で営業利益が90百万円だった。
通期連結業績予想は売上高を据え置き、利益を下方修正(前回予想に比べて営業利益を7億円、経常利益を6億円、親会社株主帰属当期純利益を4億円、それぞれ下方修正)し、売上高が500億円(収益認識会計基準適用前ベースでは700億円)、営業利益が10億円、経常利益が10億円、親会社株主帰属当期純利益が11億円とした。
収益認識会計基準適用前の21年11月期実績(売上高が723億22百万円、営業利益が22億33百万円、経常利益が24億20百万円、親会社株主帰属当期純利益が17億36百万円)との単純比較で算出すると、営業利益は55.2%減益、経常利益は58.7%減益、親会社株主帰属当期純利益は36.6%減益となる。為替の急激な円安進行、原材料価格や物流費の高騰などが影響する見込みだ。
なお配当予想は据え置いて、21年11月期と同額の18円(第2四半期末9円、期末9円)としている。また新たに自己株式取得を発表した。上限90万株・3億円で、取得期間は22年7月14日~22年9月30日としている。
22年11月期は下方修正して大幅減益見込みとなったが、23年11月期は積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。
■株価は下値限定的
株価は下値固め完了して反発の動きを強めている。目先的には下方修正を嫌気する動きが優勢になりそうだが下値限定的だろう。7月13日の終値は451円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS27円59銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の18円で算出)は約4.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS677円09銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約184億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)