【アナリスト水田雅展の銘柄分析】フライトHDは8月1日付で東証2部に上場市場変更、モミ合い上放れ期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 フライトホールディングス<3753>(東マ)はシステム開発や電子決済ソリューションなどを展開している。7月24日に8月1日付での東証2部への上場市場変更を発表した。株価は安値圏550円近辺でモミ合う展開だが下値固めは完了しているようだ。調整のほぼ最終局面だろう。東証2部への上場市場変更や16年3月期の営業黒字化予想を評価してモミ合い上放れが期待される。マイナンバー制度関連も注目点だ。

■システム開発や電子決済ソリューションなどを展開

 フライトシステムコンサルティングが13年10月、持株会社に移行してフライトホールディングスに商号変更した。システム開発・保守などのコンサルティング&ソリューション(C&S)事業、電子決済ソリューションなどのサービス事業、およびB2B向けECサイト構築パッケージなどのECソリューション事業を展開している。

 電子決済ソリューションの分野では、スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末「インクレディスト」およびスマートデバイス決済専用アプリケーション「ペイメント・マスター」の展開を強化している。

 スマートデバイス決済専用アプリ「ペイメント・マスター」は、10年9月に提供開始した国内初のBtoB向け決済ソリューションで、高級ホテル、レストラン、観光タクシー、旅行代理店などに導入されている。14年9月にはフォウカスとスマートデバイスを用いたモバイルPOS決済システムで協業した。

 また14年10月には、ECサイト構築パッケージソフト「イーシー・ライダー」のDRAGON TECHNOLOGYを子会社化(14年11月イーシー・ライダーに商号変更)してECソリューション事業も強化している。

 14年12月には海外での「ペイメント・マスター」および「インクレディスト」の拡販に向けて米国子会社フライトUSAを設立した。今後のICチップ付きクレジットカード決済(EMV決済)および、Apple PayなどのNFC決済においてグローバル展開を推進する。

 15年4月にはスマートデバイスを活用したクレジットカード・銀聯カードなど複数の決済処理が可能な新サービス「ペイメント・マスター for J-Mups(ジェイマップス)」を開発し、加盟店向けに提供開始した。接続先決済センターを三菱UFJニコスとJR東日本メカトロニクスが共同で運営する「J-Mups(ジェイマップス)」として、顧客ニーズに合わせたさまざまな拡張性の高い決済を実現する。

■16年3月期は営業黒字化予想

 なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)3億59百万円、第2四半期(7月~9月)3億円、第3四半期(10月~12月)2億38百万円、第4四半期(1月~3月)6億95百万円、営業利益は第1四半期7百万円の赤字、第2四半期58百万円の赤字、第3四半期77百万円の赤字、第4四半期83百万円の黒字だった。第4四半期に黒字化して営業損益は改善基調だ。

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月19日公表)は売上高が前期比31.9%増の21億円で、営業利益が60百万円の黒字(前期は59百万円の赤字)、経常利益が30百万円の黒字(同62百万円の赤字)、純利益が25百万円の黒字(同84百万円の赤字)としている。配当は無配を継続する。

 C&S事業はマイナンバー制度関連および物流関連でシステム開発の大型案件を見込んでいる。サービス事業はマルチ電子決済端末「インクレディスト」および決済専用アプリ「ペイメント・マスター」で、顧客側の都合で16年3月期にズレ込んだ新規大型案件が寄与する。

 ECソリューション事業はB2B向けECサイト構築パッケージ「EC-Rider B2B」の寄与が期待される。今後3年間で100社への導入を目標としている。増収効果で研究開発費、マーケティング費、採用費の増加を吸収して営業黒字化見込みだ。収益は改善基調だろう。

■株価は下値固め完了して調整の最終局面、モミ合い上放れ期待

 なお7月23日に公認会計士等の異動および一時会計監査人の選任を発表した。当社の会計監査人である仁智監査法人と協議の結果、7月23日付で監査契約を合意解約し、一時会計監査人として優成監査法人を選任した。

 また7月24日に8月1日付での東証2部への上場市場変更を発表した。東証マザーズ上場後10年を経過した上場会社による上場市場の選択に基づき、東証2部への市場変更を選択し、東京証券取引所より8月1日付での市場変更の決定が公表された。なお上場市場変更に際して銘柄呼称が「M-フライト」から「フライト」に変更される。

 株価の動きを見ると安値圏550円近辺でモミ合う展開だ。ただし全般地合い悪化の影響を受けて7月9日に475円まで下押す場面があったが、素早く切り返してモミ合いレンジに回帰している。下値固めは概ね完了しているようだ。調整の最終局面だろう。

 7月27日の終値542円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS2円64銭で算出)は205倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS50円12銭で算出)は11倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、ともに横向きに転じてきた。下値固めが完了して調整のほぼ最終局面だろう。東証2部への上場市場変更や16年3月期の営業黒字化予想を評価してモミ合い上放れ展開が期待される。マイナンバー制度関連も注目点だ。

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