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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】スターティアは急伸して11年1月以来の高値水準、16年3月期大幅営業増益予想を評価
- 2015/7/28 08:27
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
スターティア<3393>(東1)は電子ブック作成ソフトやITインフラソリューションなどを展開している。株価はボックスレンジから上放れて7月23日の2233円まで急伸した。11年1月2778円以来の高値水準だ。目先的には過熱感を強めているが強基調に転換した形であり、16年3月期大幅営業増益予想を評価して続伸展開だろう。
■電子ブック作成ソフトやITインフラソリューションなどを展開
電子ブック作成ソフト「ActiBook」やWebアプリケーションを開発・販売するウェブソリューション関連事業、ネットワークアウトソーシング環境やクラウドサービスを提供するネットワークソリューション関連事業、ビジネスホンやMFP(複合機)などOA機器を販売するビジネスソリューション関連事業を展開している。
主力の電子ブック作成ソフト「ActiBook」は、一つのソフトでマルチデバイスへの書き出しが可能な「ワンオーサリングマルチデバイス」を実現し、拠点間で利用可能なSaaS型サービスを提供している。導入実績は15年3月末現在で2365社に達している。
15年3月には、KADOKAWA アスキー・メディアワークスが提供する本格派オトナ女子をターゲットとする「コミック イット」に閲覧ソフトとして採用された。
大手との競合が少ない従業員300人未満の中堅・中小企業をターゲットとして、ITインフラのワンストップソリューションを提供するとともに、ストック型収益の拡大を推進している。アジア市場へも本格的に事業展開する方針だ。無借金経営であり財務面の健全性の高さも特徴だ。
■M&A・アライアンス戦略も積極推進
業容拡大に向けてM&A・アライアンス戦略も積極推進している。14年8月にはホスティングサービス運用や独自ハードウェア開発のエーティーワークスと資本業務提携(17年3月末までに株式25%取得予定)し、個人・法人向けPCトラブル訪問サービスの日本PCサービス<6025>と業務提携した。
14年11月には回線敷設代行業務や一括請求サービスを展開する子会社クロスチェックを設立し、サービス販路開拓に向けてリボルバーと資本業務提携した。14年12月にはシステムインテグレーションのネクストイットの技術本部の一部事業(常駐派遣事業など)および技術者21名を承継した。
15年3月にはオウンドメディア構築事業のリボルバーとの資本業務提携の一環として、企業が低価格で簡単にオウンドメディアを発刊できる企業向けWEBマーケティング戦略支援サービスを開始した。オウンドメディアは企業自らの情報公開や大量コンテンツ配信が可能となるため、マスメディア、ソーシャルメディアに続く第三のメディアとして、企業のマーケティングやブランディングへの応用が期待されている。
15年5月には、東京・横浜・大阪に40拠点以上のレンタルオフィスを提供するアセットデザインと業務提携した。同社はレンタルオフィスへの新規入居者に対して当社の法人向けオンラインストレージを無料で提供する。両社の事業を組み合わせることで、起業家の支援および事業シナジーを生み出す狙いだ。
7月15日には中堅・中小企業を対象として、マイナンバー対策に役立つセキュリティ機能がセットになったファイルサーバーの提供開始を発表した。
7月22日には、インターネット接続サービス(ISP)の「Tialink(ティアリンク)」の提供開始を発表した。NTT東日本・西日本が事業者向けに提供する光コラボレーションモデルの光回線「スターティア光」とセットにしたインターネット接続プランを提供する。
■16年3月期は大幅営業増益予想
なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)19億11百万円、第2四半期(7月~9月)21億34百万円、第3四半期(10月~12月)20億21百万円、第4四半期(1月~3月)26億16百万円、営業利益は第1四半期6百万円、第2四半期2億47百万円、第3四半期42百万円、第4四半期4億52百万円だった。第2四半期および第4四半期の構成比が高い収益構造である。
また15年3月期の配当性向は17.2%だった。ROEは14年3月期比2.7ポイント上昇して15.9%、自己資本比率は同2.6ポイント上昇して70.2%となった。
今期(16年3月期)の連結業績予想(5月8日公表)は、売上高が前期比15.2%増の100億円、営業利益が同51.8%増の11億34百万円、経常利益が同29.2%増の11億34百万円、純利益が同4.2%減の5億67百万円としている。配当予想は同3円減配の年間17円(第2四半期末6円、期末11円)で予想配当性向は15.3%となる。
新卒70名の採用、ホスティングサービスにおけるセキュリティ強化、アジア地域への事業展開など、中期成長に向けた大規模な先行投資を継続するが、ストック型収益の拡大、海外事業の収益均衡化などで大幅増収、大幅営業増益見込みだ。純利益は投資有価証券売却益や保険解約返戻金が一巡して減益見込みとしている。
セグメント別売上高の計画はウェブソリューション関連事業が同23.6%増の25億23百万円、ネットワークソリューション関連事業が同0.2%減の24億29百万円、そしてビジネスソリューション関連事業が同18.5%増の49億86百万円としている。なおストック型の売上高は同10.1%増の32億円、売上構成比は同1.5ポイント低下の32.0%の計画だ。
■中期経営計画で17年3月期経常利益14億円目指す
14年8月発表の「新・中期3ヵ年利益計画」では、連結経常利益の目標値として15年3月期8億66百万円、16年3月期11億34百万円、17年3月期14億円を掲げた。
初年度の15年3月期は先行投資負担で営業減益だったが、2年目16年3月期以降は先行投資を平常に戻しつつ、成長路線を継続する計画だ。規模拡大や継続的成長に向けてM&A・アライアンス戦略も積極推進する。中期的に収益拡大基調だろう。
■株価はボックス上放れて急伸
株価の動きを見ると、1500円~1800円近辺のレンジでボックス展開だったが、7月下旬に動意づいて7月23日の2233円まで急伸した。14年3月の2209円、11年2月の2230円を突破して11年1月2778円以来の高値水準だ。
7月27日の終値2040円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS111円24銭で算出)は18~19倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間17円で算出)は0.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS779円80銭で算出)は2.6倍近辺である。
目先的には過熱感を強めているが、週足チャートで見るとボックスレンジから上放れて強基調に転換した形であり、13週移動平均線がサポートラインとなりそうだ。16年3月期大幅営業増益予想を評価して続伸展開だろう。