【アナリスト水田雅展の銘柄分析】インタースペースは下値固め完了してモミ合い上放れ、16年9月期の収益改善期待で出直り

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 インタースペース<2122>(東マ)はアフィリエイト型のインターネット広告事業を主力としている。株価は年初来安値圏850円~900円近辺でモミ合う展開だったが、27日は前日比112円高の990円まで急伸する場面があった。下値固めが完了し、モミ合い上放れて強基調に転換する動きだ。16年9月期の収益改善期待で出直り展開だろう。なお8月11日に第3四半期累計(10月~6月)の業績発表を予定している。

■アフィリエイト型インターネット広告事業が主力

 アフィリエイト(成果報酬)型のインターネット広告事業を主力として、メディア広告やネイティブアプリなどのメディア運営事業も展開している。

 インターネット広告事業はアフィリエイトサービス「アクセストレード」を中心に事業展開し、携帯電話ショップをネットワーク化した店舗アフィリエイトサービス「ストアフロントアフィリエイト」も日本最大規模の店舗ネットワークに成長している。

 メディア運営事業では、日本最大級のママ向けコミュニティサイト「ママスタジアム」の月間ユニークユーザー数が15年1月に280万人を突破した。ソーシャルアプリは女性向け恋愛ゲームなどを展開している。

 中期経営目標数値としては売上高250億円、営業利益15億円を目指し、重点戦略としてインターネット広告事業では国内アフィリエイトシェアの獲得と収益性向上、メディア運営事業ではメディア広告の強化と収益性向上、海外事業では各国のメディアネットワーク確保などを推進する方針を掲げている。

■アライアンス戦略を積極展開

 アライアンス戦略を積極推進して、13年10月モバイル広告ネットワーク事業の米アーキ社と戦略的業務提携、13年11月O2Oマーケティングソリューション事業のモギー社と資本業務提携、13年12月中国の子会社ISUCが中国最大のアフィリエイトネットワーク「億起発(イーチーファー)」を提供するEMAR(イーマー)社と業務提携した。

 14年5月クーポン情報メディア「クーポンランド」運営のサイファ社に出資、14年7月クラウドソーシングサービス「ランサーズ」運営のランサーズ社と業務提携、14年8月スマートフォンアプリ向け動画広告配信ネットワーク「AppVador」運営のアップベイダー社と資本提携、14年12月子会社more gamesがサイバーエージェント<4751>とネイティブアプリ版恋愛ゲームで業務提携した。

 海外では14年11月インドネシア大手ポータルサイト「detik.com」と業務提携、14年12月ベトナム最大級のモバイル広告ネットワークを提供するMWORK社の第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。そして15年5月、MWORK社とベトナムに合弁会社インタースペース・ベトナム(当社出資比率49%)を設立した。インターネット市場の成長が加速するベトナムでインターネット広告サービスを展開する。

 15年2月にはゲームアプリ運営者向けに成果報酬型プレミアムメディアネットワーク「GAMEP(ガメップ)」の提供を開始した。当社が提携しているPC・タブレット・スマートフォン向けネットワークを通じて、さまざまな付加価値サービスをゲームアプリ運営者に提供する。

 15年5月にはアイモバイルが運営する、ふるさと納税専門サイト「ふるなび」と連携し、アドウェイズ<2489>と共同で、日本発のふるさと納税アフィリエイトサービス「ふるなび」を開始した。

■15年9月期は減益予想だが増収基調、16年9月期の収益改善期待

 今期(15年9月期)の連結業績予想(5月12日に減額修正)は、売上高が前期比11.0%増の186億30百万円、営業利益が同58.5%減の3億23百万円、経常利益が同57.0%減の3億40百万円、そして純利益が同82.1%減の69百万円としている。配当予想(11月11日公表)は前期と同額の年間8円(期末一括)としている。予想配当性向は78.5%となる。

 インターネット広告事業における大手媒体との連携強化に伴う媒体に対する支払報酬の増加、メディア運営事業における恋愛ゲームの売上減少、さらに新サービス開発に向けた人材投資や海外展開などの先行投資負担などで減益予想だ。

 なおメディア運営事業の子会社more gamesにおいて、ソーシャルメディア事業の縮小および人員整理を実施(同業他社への転職先紹介で30名が5月末に退職)した。これによって約10百万円/月の人件費削減が見込まれる。メディア運営事業は利益貢献が高いメディア事業に体制変更を進め、投資バランスを見直してアフィリエイト事業を中心に収益改善を図る方針だ。

 第2四半期累計(10月~3月)は前年同期比15.6%増収、同75.2%営業減益、同74.0%経常減益、同99.2%最終減益で、通期予想に対する進捗率は売上高48.9%、営業利益34.4%、経常利益34.4%、純利益1.5%だった。利益進捗率が低水準だが、ソーシャルメディア事業における人員整理の効果で期後半の挽回が期待される。

 なお四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(10月~12月)42億53百万円、第2四半期(1月~3月)48億53百万円、営業利益は第1四半期20百万円、第2四半期91百万円だった。

 15年9月期は大幅減益予想だが、インターネット広告事業におけるアフィリエイトサービスの金融およびEコマースカテゴリーが好調に推移して増収基調だ。16年9月期は増収効果、ソーシャルメディア事業の縮小効果、さらに先行投資の効果発現などで収益改善が期待される。

■株価は下値固めが完了して安値圏モミ合いから上放れの動き

 株価の動きを見ると、年初来安値圏の850円~900円近辺でモミ合う展開だったが、7月27日は前日比112円(12.76%)高の990円まで急伸する場面があった。下値固めが完了したようだ。

 7月27日の終値947円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS10円19銭で算出)は93倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は0.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS406円20銭で算出)は2.3倍近辺である。

 週足チャートで見ると戻りを押さえていた13週移動平均線と26週移動平均線を一気に突破した。下値固めが完了し、安値圏モミ合いから上放れて強基調に転換する動きだ。16年9月期の収益改善期待で出直り展開だろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る