【どう見るこの株】幸和製作所は底打ちの動き、23年2月期減益予想だが上振れの可能性

どう見るこの株

 幸和製作所<7807>(東証スタンダード)は福祉用具・介護用品の総合メーカーである。23年2月期は原材料費高騰の影響などを考慮して減益予想としている。ただし第1四半期は実質増収・営業増益となり、通期予想に対する進捗率も高水準だった。通期会社予想に上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は年初来安値を更新する展開だったが、第1四半期業績を好感して急反発し、底打ちの動きを強めている。出直りを期待したい。

■福祉用具・介護用品の総合メーカー

 福祉用具・介護用品の総合メーカーである。歩行車やシルバーカーを主力として、取扱製品領域の拡大、シニア関連事業(EC事業、介護サービス)の拡大などを推進している。

 21年1月には子会社の幸和ライフゼーションの一部事業であるデイサービス事業をポラリス(兵庫県宝塚市)に譲渡した。21年2月には子会社の幸和(香港)有限公司の清算が結了した。また7月7日には、転倒防止ロボット歩行車、および認知症の人の生活不安・ストレスを軽減するコミュニケーションロボットについて、コロナ禍の影響で実証実験の実施が困難なため開発を中止すると発表した。

■23年2月期減益予想だが1Q高進捗率、通期上振れの可能性

 23年2月期の連結業績予想(収益認識会計基準適用のため売上高の増減率は非記載)は、売上高が58億98百万円、営業利益が22年2月期比49.3%減の2億99百万円、経常利益が49.5%減の2億75百万円、親会社株主帰属当期純利益が58.0%減の1億68百万円としている。配当予想は22年2月期比20円06銭減配の10円(期末一括)としている。

 売上面は堅調(収益認識会計基準適用前の22年2月期の売上高は57億17百万円)だが、原材料費や物流費の高騰などの影響を考慮して減益予想としている。セグメント別売上高の計画は、介護用品・福祉用具製造販売事業が50億08百万円(同48億44百万円)、介護サービス事業が1億76百万円(同1億86百万円)、EC事業が7億13百万円(同6億85百万円)としている。

 第1四半期は売上高が16億83百万円(収益認識会計基準適用前の前年同期の売上高は15億18百万円)で、営業利益が前年同期比3.2%増の2億27百万円、経常利益が0.9%増の2億16百万円、親会社株主帰属四半期純利益が4.1%減の1億37百万円だった。収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が19百万円減少、売上原価が2百万円減少、販管費が13百万円減少、営業利益が3百万円減少、営業外費用が3百万円減少している。経常利益および税金等調整前四半期純利益への影響はなかった。

 介護用品・福祉用具製造販売事業は、売上高が15億13百万円で営業利益(全社費用等調整前)が2億69百万円だった。収益認識会計基準適用前の前年同期(売上高が13億63百万円で営業利益が2億49百万円)に対して増収増益だった。主力の歩行車「シトレア」を中心に介護ルートの売上が好調に推移した。介護サービス事業は売上高が43百万円で営業利益が0百万円の損失(前年同期は売上高が55百万円で営業利益が8百万円)だった。EC事業は売上高が1億76百万円で営業利益が8百万円(前年同期は4百万円)だった。オンライン通販需要拡大も背景として、車いすやシルバーカーの販売が好調だった。

 通期予想は据え置いているが、第1四半期の進捗率は売上高が28.5%、営業利益が75.9%、経常利益が78.5%、親会社株主帰属当期純利益が81.5%と高水準であり、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は底打ちの動き

 株価は年初来安値を更新する展開だったが、第1四半期業績を好感して急反発し、底打ちの動きを強めている。週足チャートで見ると13週移動平均線を突破した。出直りを期待したい。7月27日の終値は763円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS37円22銭で算出)は約20倍、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約1.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS441円17銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約38億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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