シナネンホールディングスは23年3月期1Q営業赤字だが通期営業利益横ばい予想据え置き

(決算速報)
 シナネンホールディングス<8132>(東証プライム)は7月29日の取引時間終了後に23年3月期第1四半期連結業績を発表した。販売単価上昇などで大幅増収だが、LPガスや電力の総利益悪化などで営業赤字だった。通期予想を据え置いた。IT関連投資推進が減益要因となるが、仕入価格上昇分の販売価格への転嫁やシェアサイクル事業の利益貢献などで吸収して営業利益横ばい予想としている。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は年初来高値更新の展開だ。23年3月期営業利益横ばい予想を織り込み済みであり、第1四半期業績に対するネガティブ反応も限定的だろう。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■23年3月期1Q営業赤字だが通期営業利益横ばい予想据え置き

 23年3月期第1四半期連結業績は、売上高が前年同期比44.2%増の711億94百万円、営業利益が50百万円の赤字(前年同期は4億17百万円の黒字)、経常利益が43.8%減の3億25百万円だった。原油価格やプロパンCPの高騰に伴う販売単価の上昇などで大幅増収だが、LPガスや電力の総利益悪化などで営業赤字だった。親会社株主帰属四半期純利益は特別利益(固定資産売却益22億51百万円)計上で4.4倍の16億40百万円だった。

 エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)は、平均気温が平年と比べて高く推移したためLPガス・灯油の販売数量が減少したが、原油価格やプロパンCPの高騰に伴って販売単価が上昇した。利益面はLPガスや電力の総利益悪化により減益となった。

 エネルギーソリューション事業(BtoB事業)は、主力の石油事業においてBtoC事業と同様に販売単価が大幅に上昇し、販売数量も増加した。利益面は、電力調達コストが上昇したが、石油事業において原油市況変動に対応した仕入施策で差益を確保し、全体として増益だった。

 非エネルギー事業では、シェアサイクル事業(シナネンモビリティPLUS)が好調に推移し、環境・リサイクル事業(シナネンエコワーク)も取引高が回復したが、自転車事業(シナネンサイクル)の自転車販売が中国上海地区のロックダウンによる生産遅れの影響を受け、抗菌事業(シナネンゼオミック)も需要一服となった。システム事業(ミノス)は電力自由化に対応した顧客情報システム(電力CIS)が伸長した。建物維持管理事業(タカラビルメンなど)は運営エリア拡大などで増収だが、今期受託開始した大型物件の立ち上げに伴う一時的経費の影響で減益だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が22年3月期比7.1%増の3100億円、営業利益が0.8%増の25億円、経常利益が14.4%減の28億円、親会社株主帰属当期純利益が16.6%増の29億円としている。配当予想は22年3月期と同額の75円(期末一括)としている。

 売上面は現状の原油価格・プロパンCPの水準を前提として増収を見込んでいる。利益面は、経営基盤整備に向けたIT関連投資推進が減益要因となるが、仕入価格上昇分の販売価格への転嫁やシェアサイクル事業の利益貢献などで吸収して、営業利益横ばい予想としている。経常利益はデリバティブ評価益減少などで減益予想、親会社株主帰属当期純利益は固定資産売却益計上で増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は上値試す

 株価は年初来高値更新の展開だ。23年3月期営業利益横ばい予想を織り込み済みであり、第1四半期業績に対するネガティブ反応も限定的だろう。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。7月29日の終値は3660円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS265円95銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の75円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4922円46銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約478億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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