TACは23年3月期1Q減益だが通期大幅営業・経常増益予想据え置き
- 2022/8/8 08:25
- 決算発表記事情報
(決算速報)
TAC<4319>(東証スタンダード)は8月5日の取引時間終了後に23年3月期第1四半期の連結業績を発表した。コロナ禍も影響して減収減益だった。法人研修事業は堅調だったが、個人教育事業や出版事業がやや低調だった。ただし通期の大幅営業・経常増益予想を据え置いた。通期ベースでは、積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は反発力が鈍く年初来安値圏に回帰した。目先的には第1四半期業績を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが下値限定的だろう。
■23年3月期1Q減益だが通期大幅営業・経常増益予想据え置き
23年3月期第1四半期の連結業績は売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が前年同期比2.8%減の55億75百万円、営業利益が11.7%減の5億49百万円、経常利益が15.0%減の5億34百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が18.8%減の3億51百万円だった。法人研修事業は堅調だったが、個人教育事業や出版事業がやや低調だった。
個人教育事業は現金ベース売上高が11.1%減の23億32百万円で、現金ベース営業利益が5億39百万円の赤字(前年同期は3億15百万円の赤字)だった。コロナ禍も影響して学生を主な受講生とする講座の申し込み状況が低調だった。営業費用は2.3%減少したが、減収影響をカバーできず赤字拡大した。法人研修事業は現金ベース売上高が4.3%増の11億96百万円、現金ベース営業利益が12.3%増の3億16百万円だった。WEB会議システムを利用したオンライン研修需要が定着した。営業費用は1.7%増加したが、増収効果で吸収して増益だった。
なお受講者数は個人受講者が6.3%減の4万2162人、法人受講者が5.2%減の2万9427人、合計が5.8%減の7万1589人だった。個人・法人合計の講座別には、情報処理講座が36.9%増、公務員講座が25.5%増、マンション管理士講座が18.0%増と増加した一方で、簿記検定講座が16.3%減、宅地建物取引士講座が15.1%減、FP講座が15.7%減と減少した。
出版事業(TAC出版、W出版)は売上高が5.9%減の10億74百万円、営業利益が1.8%減の2億38百万円だった。巣ごもり需要が一巡して減収だった。営業費用は7.0%減少したが、減収影響をカバーできず減益だった。人材事業は売上高が0.4%減の1億44百万円、営業利益が17.2%減の32百万円だった。会計系人材紹介、医療系人材紹介が堅調だったが、会計系人材派遣が低調だった。
通期連結業績予想は据え置いて売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が22年3月期比0.1%減の204億50百万円、営業利益が57.3%増の6億50百万円、経常利益が37.4%増の6億08百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が10.1%減の4億円としている。配当予想は22年3月期と同額の6円(第2四半期末3円、期末3円)としている。
親会社株主帰属当期純利益は特別利益が剥落して減益予想だが、生活様式の多様化への対応、個人教育事業の早期回復、新たな事業領域への挑戦を中心とした施策に取り組んで大幅営業・経常増益予想としている。第1四半期は減益だったが、通期ベースでは積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。
■株価は下値限定的
株価は反発力が鈍く年初来安値圏に回帰した。目先的には第1四半期業績を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが下値限定的だろう。8月5日の終値は212円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS21円62銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の6円で算出)は約2.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS333円22銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約39億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)