【どう見るこの相場】決算プレー2.0相場では業績上方修正ギャップダウン銘柄の敗者復活戦に期待

 今年のお盆休みも、バカンス先で羽根を伸ばしたり、家族サービスに精を出すことなどはできそうもない。お盆休み入り前日の前週末12日に日経平均株価が、727円高と高値引けで急反発し、今年1月以来、7カ月ぶりの高値水準に躍り出た。続いてオープンした米国市場でも、相次ぎ発表された経済指標が、インフレ圧力の低下を示し、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げペースを緩め、米国景気のソフトランディングが可能としてダウ工業株30種平均(NYダウ)が、424ドル高と3日続伸して引けた。日米同時株高のビッグウエーブであり、このチャンスをみすみす見逃す手はないからだ。お盆休み返上である。

 これは、昨年夏の東京市場を彷彿とさせる。まだ記憶に新しいが、昨年8月は、新型コロナウイルス感染症の第6波に対応して緊急事態宣言の対象地域が拡大され、菅義偉前首相の自民党総裁選不出馬相場も重なって、日経平均株価は、20日に2万6954円まで急落した。ところが自民党総裁選の候補者が次々と立候補を表明して政策期待を高めたことから9月14日には3万795円まで急反騰、わずか21日間の立会日数で3840円高、14.2%の上昇率を記録した。

 今年も日経平均株価は、6月にFRBが政策金利を0・75%と大幅に引き上げたことが響いて突っ込んだ2万5520円安値から前週末までに3026円高、11.8%上昇した。米国の長期金利と物価指標の上げ下げが交錯するなか株価も揺れ動いたが、昨年夏相場よりは日柄は要したものの、ようやく始まったサマーラリーが売り方の買い戻しを巻き込み、上昇率は昨年夏相場の8割弱に達したところである。

 このリバウンドは、冒頭にも記したように一義的にインフレ圧力の低下とFRBのハト派政策への転換期待にあるが、もう一つ下支え要因になったのが企業業績の動向であった。折から日米両市場で本格化した決算発表で、企業業績が、コロナ禍によるサプライチェーン途絶、ウクライナ情勢緊迫化を背景にした資源価格高騰、さらにFRBの金融引き締め策の加速などが続く悪事業環境下でもそれほど悪くはない、むしろ米国景気のソフトランディング期待を高めた。もちろん日経平均株価がこの先、昨年夏の上昇率にキャッチアップしさらに上値を追うには、8月25日開催のジャクソンホール会合や9月20日開催のFOMC(公開市場委員会)で示されるFRBの金融政策次第となるが、企業業績動向へのフォローも欠かせない。

 今週の当特集は、前週末12日にピークアウトした決算発表からみえた個別企業の企業業績にフォーカスすることにした。注目は上方修正銘柄で、そのなかでもとくに上方修正にもかかわらず売り物を浴びてギャップダウン、下落する初動反応にとどまった負け組・立ち遅れた銘柄である。買い材料としてギャップアップするはずの上方修正が、売り材料となってギャップダウンした要因は、上方修正業績が市場コンセンサスに未達となったり、すでに株価に織り込み済みとして材料出尽くしと評価されたり、上方修正要因が円安差益のみにとどまって一時的と見限られたり、さらに全般相場の急落とシンクロしてしまったなどさまざまである。

 しかしその立ち遅れ上方修正銘柄になかには、例えばキヤノン<7751>(東証プライム)は、その後、自己株式取得を発表し、三菱総合研究所<3636>(東証プライム)は、同じく持分法適用関連子会社の新規株式公開(IPO)の追加材料が加わってそれぞれ年初来高値を更新するケースも出た。こうしたリカバリーショットがあることからも、投資採算的に割安に放置されているギャップダウン銘柄にはこれから敗者復活戦の2.0(第2弾)相場展開の期待が高まるはずである。前週末12日の取引時間中までに業績上方修正を発表して初動反応が明らかとなった銘柄のなかから、主力株、小型株、バリュー株、グロース株が満遍なく分布するバラエティ豊かなギャップダウン銘柄の決算プレー2.0相場を先取りしたい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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