マーケットエンタープライズは23年6月期黒字転換予想で収益回復基調

(決算速報)
 マーケットエンタープライズ<3135>(東証プライム)は8月12日の取引時間終了後に22年6月期連結業績を発表した。成長戦略再構築のステージと位置付けて先行投資を積極推進したため赤字だが、各利益は計画に対して上振れ着地した。そして23年6月期は黒字転換予想としている。中期経営計画が順調に進捗して収益回復基調だろう。株価は下値固め完了して徐々に水準を切り上げている。23年6月期黒字転換予想を評価して戻りを試す展開を期待したい。

■22年6月期は上振れ着地、23年6月期黒字転換予想で収益回復基調

 22年6月期第の連結業績(収益認識会計基準適用だが損益への影響なし)は、売上高が21年6月期比10.2%増の119億86百万円、営業利益が3億19百万円の赤字(21年6月期は54百万円の黒字)、経常利益が3億28百万円の赤字(同32百万円の黒字)、親会社株主帰属当期純利益が4億04百万円の赤字(同40百万円の赤字)だった。

 成長戦略再構築のステージと位置付けて、広告宣伝投資や人材投資など先行投資を積極推進したため赤字だったが、各利益は計画(営業利益が4億円の赤字、経常利益が4億05百万円の赤字、親会社株主帰属当期純利益が4億40百万円の赤字)に対して上振れ着地した。

 ネット型リユース事業は、売上高が0.8%増の66億31百万円(総合リユースが52億66百万円、マシナリーが13億65百万円)だが、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が79.2%減の1億11百万円だった。売上面は堅調だったが、マーケティング投資の積極化、農機具分野における新拠点の開設、積極的な採用活動やシステム投資など先行投資の影響で減益だった。

 メディア事業は売上高が15.5%増の5億99百万円、利益が49.2%増の3億45百万円だった。収益性の高いキーワードにおける検索ランキング、モバイル通信に関するメディアへの送客収入が回復基調となり、効率的な事業運営も寄与して大幅増益だった。

 モバイル通信事業は売上高が25.7%増の48億61百万円、利益が2.0%減の1億34百万円だった。売上面では、自社通信メディアからの送客が回復基調となり、新商材のWiMAX 5Gを中心に新規回線獲得数が増加した。利益面は、中期的なストック収益基盤構築に向けた新たな料金プランを設定したため、1契約回線あたりの収益期間が長期化したことに加えて、新規回線獲得に向けた広告宣伝費増加も影響して減益だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が26億07百万円で営業利益が1億65百万円の赤字、第2四半期は売上高が28億85百万円で営業利益が39百万円の赤字、第3四半期は売上高が30億39百万円で営業利益が18百万円の赤字、第4四半期は売上高が34億53百万円で営業利益が95百万円の赤字だった。第4四半期は採用費や広告宣伝費を積み増したため赤字拡大だが、売上高は四半期ベースで過去最高となった。

 23年6月期の連結業績予想は、売上高が22年6月期比25.1%増の150億円、営業利益が3億円の黒字(22年6月期は3億19百万円の赤字)、経常利益が2億75百万円の黒字(同3億28百万円の赤字)、そして親会社株主帰属当期純利益が1億67百万円の黒字(同4億04百万円の赤字)としている。

 部門別売上高(調整前)の計画は、ネット型リユース事業が47.9%増の98億04百万円(個人向けリユースが45.9%増の75億円、マシナリーが46.5%増の20億円、おいくらが2.4倍の3億04百万円)、メディア事業が16.9%増の7億円、モバイル通信事業が2.9%増の50億円としている。

 個人向けリユースを中心に成長戦略を加速し、出張買取人員採用強化などの先行投資や、事業を譲り受けたファミリーの中古農機具買取・販売事業とのシナジー効果なども寄与して大幅増収・黒字転換予想としている。そして、中期経営計画(21年8月13日公表)の最終年度24年6月期の目標値である売上高200億円、営業利益12億円の達成に向けて、成長戦略再構築の進捗は順調としている。収益回復基調だろう。

■株価は戻り試す

 株価は下値固め完了して徐々に水準を切り上げている。23年6月期黒字転換予想を評価して戻りを試す展開を期待したい。8月12日の終値は1035円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS31円39銭で算出)は約33倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS197円95銭で算出)は約5.2倍、そして時価総額は約55億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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