【編集長の視点】上村工業は1Qの高進捗率業績を手掛かりに割安修正の押し目買い交錯

編集長の視点

■もみ合い上放れから分割権利落ち後高値へキャッチアップ

 上村工業<4966>(東証スタンダード)は、7月1日につけた年初来安値4940円から一時500円幅の底上げをしており、今年8月8日に今2023年3月期第1四半期(2022年4月~6月期、1Q)決算を発表し、3月期通期業績の上方修正がなかったことが響き目先の利益を確定する売り物が続き6000円台下位で下値を固めていた。ただその1Q業績は、連続の2ケタの増収増益で期初予想の今期第2四半期(2022年4月~9月期、2Q)累計業績に対して高利益進捗率を示したことを手掛かりに割安修正期待の押し目買いも交錯している。前期も、1Qの好決算発表時に通期業績の修正はなかったが、11月の2Q累計業績開示時には上方修正を発表して株価も歓迎高しており、再現観測にもつながっている。

■パッケージ基板向けめっき薬品が続伸しセグメント利益は46%増

 同社の今期1Q業績は、売り上げ201億8700万円(前年同期比28.1%増)、営業利益38億6600万円(同37.8%増)、経常利益42億9400万円(同42.1%増)、純利益36億6300万円(同72.9%増)と大幅続伸して着地し、市場コンセンサスを上回るとともに、今期2Q累計予想業績に対する利益進捗率は、60%~66%と目安の50%を上回った。表面処理用機械事業では部材価格の高騰、めっき加工事業では非鉄などの原材料価格の上昇でセグメント利益がそれぞれ2ケタ減益となったが、表面処理用資材事業では、高速通信市場、半導体関連市場の需要拡大により主力のパッケージ基板向けのめっき薬品が続伸し、売り上げが前年同期比31.9%増、セグメント利益が同46.8%増と続伸したことが寄与した。

 今3月期通期業績は、期初予想を据え置き売り上げ750億円(前期比3.7%増)、営業利益140億円(同0.4%増)、経常利益141億円(同弱含み横ばい)、純利益109億円(同12.6%増)と見込み、純利益は前期の過去最高を連続更新する。配当は、年間180円(前期実績130円)と株式分割を勘案して4期連続の増配を予定している。

■ミニGC示現でPER9倍の修正に弾みをつけ分割落ち後高値目指す

 株価は、昨年6月末割り当てで実施した株式分割の権利落ち後安値4165円から前期業績の上方修正、増配、自己株式取得、今期業績の続伸予想などの好材料が続いて分割権利落ち後高値7460円まで約8割高した。同高値後は、全般相場急落のなか年初来安値4940円へ突っ込み売られ過ぎ修正で6480円までリバウンドしたあと、6000円台下位での下値固めを続け、5日移動平均線が25日移動平均線を上抜くミニ・ゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆した。PERは9.9倍と割安であり、もみ合い上放れから分割権利落ち後高値7450円へキャッチアップしよう。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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