トレジャー・ファクトリーは15年の高値に接近、23年2月期大幅増収増益予想、さらに再上振れの可能性

 トレジャー・ファクトリー<3093>(東証プライム)はリユースショップを複数業態で全国展開し、成長戦略として生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指している。23年2月期は上方修正して大幅増収増益予想としている。22年7月の既存店売上(前年比110.6%)は11ヶ月連続の前年比プラスと好調が続いている。通期予想は再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお8月10日には中間配当予想の上方修正を発表している。株価は年初来高値更新の展開で15年の上場来高値に接近している。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■リユースショップを複数業態で全国展開

 総合リユース業態トレジャー・ファクトリーや服飾専門リユース業態トレファクスタイルを主力として、リユースショップを複数業態で首都圏・直営店中心に全国展開している。

 さらに周辺事業・新規事業としてBtoBライブネットオークション事業、引越・買取サービスのトレファク引越事業、不用品買取だけでなく不動産売買・仲介も行うトレファク不動産事業、終活・生前整理サービスのレガシー事業、ドレスやブラックフォーマルをレンタルするECレンタル事業「Cariru」なども展開している。生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指し、マルチブランドの業態展開による販売力やマルチチャネルによる仕入力を強みとしている。

 19年1月にはシステム開発のデジタルクエストを子会社化、20年2月にはAIアプリのXZ(クローゼット)運営のSTANDING OVATIONと資本業務提携、20年10月には静岡県内でリユースショップ直営店12店舗を展開するピックアップジャパンを子会社化した。22年2月には子会社トレファクテクノロジーズを設立してデジタルクエストのシステム開発受託事業を承継した。メディアコンテンツ事業が残るデジタルクエストについては外部第三者への株式売却を検討する。

 海外はタイ(16年3月進出)のバンコクで3店舗を展開している。21年4月には台湾に現地法人を設立した。

 22年4月末時点の店舗数は、グループ合計224店舗(タイ3店舗含むトレジャー・ファクトリー76店舗、トレファクスタイル64店舗、トレファクスポーツ6店舗、ユーズレット8店舗、トレファクマーケット1店舗、ブランドコレクト5店舗、子会社のカインドオル36店舗、ゴルフキッズ15店舗、ピックアップ13店舗)となっている。このうち直営店は192店舗である。

 なお収益面では引越シーズンにあたる第1四半期(3月~5月)の利益率が高く、第2四半期(6月~8月)の構成比が小さい季節特性がある。

■新規出店やM&Aで成長加速

 中期経営計画では目標値に、25年2月期売上高310億円、経常利益15.8億円、経常利益率5.1%、親会社株主帰属当期純利益10.5億円を掲げている。当面の配当性向目標は30%以上としている。

 基本方針はリユース事業の成長、新規事業への投資、海外市場での成長、M&Aによる成長、DX投資による成長を掲げている。SDGsを推進するとともに、さらなる成長が見込まれるリユース市場において、グループ一体となって年平均売上成長率10%の継続と利益の安定成長を目指す方針だ。

 リユース事業の成長では、グループ全体で複数業態を組み合わせて年間20~30店ペースの出店を継続し、リユースのネットワークを拡大する。さらに多店舗体制構築に向けた採用・教育の強化、更なる新業態開発、グループのリユース会社の収益改善を推進する。

 新規事業への投資では、物流拠点拡張によるBtoBライブネットオークション事業の本格展開、買取と引越をセットで行う独自の買取引越事業の成長加速、レンタル事業への継続投資を推進する。

 海外事業では、タイ事業(21年11月期に単年度黒字化)の利益体制の構築と新規出店、および台湾への進出を推進する。M&Aでは、既存事業とのシナジー効果や新たな収益事業につながるM&Aを積極的に検討する。DX投資では、自社システム部門およびシステム子会社の開発力を活用し、業務効率化、査定効率化、新たな買取機会・販売機会創出などを推進する。

 22年2月期は過去最高となる17店舗を新規出店した。総合リユース業態トレジャー・ファクトリーは関東・関西・中部にバランス良く出店している。服飾専門リユース業態トレファクスタイルは大型商業施設からの誘致が増加しており、21年10月にはイオンモールNagoya Noritake Garden(名古屋市)に名古屋則武新町店をオープンした。さらに初の買取専門店(東京都・買取センター広尾店、東京都・表参道2号店)も出店して高額アイテムの仕入を強化している。

 リアル×WEBによる深化では、自社ECサイトの出品数増加に伴ってEC売上比率が上昇基調である。22年2月期のEC売上比率(連結ベース)は14.5%となり、21年2月期比1.1ポイント上昇した。さらにBtoBライブネットオークション事業を、店頭、ECに続く第3の販売チャネルに育成する方針で、店舗数拡大やオークション事業強化に対応した物流機能強化のため関東および関西の物流センターを増設する。

 M&A・アライアンスでは、22年2月に終活・生前整理分野「Regacy」において、相続対策プラットフォームの「はなまる手帳」を運営するはなまる手帳と業務提携した。

 22年3月にはALBERT<3906>と共同で、EC出品のために撮影した衣類画像から必要な情報をAIが自動入力する「クロスキャナ」を開発し、トレファク店舗での本格導入を開始した。EC出品業務にかかる「ささげ作業」の大幅な効率化を図り、システム導入前との比較でEC出品点数の10%増加を目指す。

■プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書

 22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編ではプライム市場を選択し、プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示している。中期経営計画で掲げた各種取組を推進し、業績目標の達成、株主還元の拡充、コーポレートガバナンスの充実などによって継続的に企業価値の向上(時価総額の増大)を図り、25年2月期末までにプライム市場上場維持基準への適合を目指すとしている。

 22年5月開催の第27回定時株主総会から、東京証券取引所の関連会社であるICJが運営する「機関投資家向け議決権電子行使プラットフォーム」に参加した。第26回定時株主総会から個人株主の議決権行使の選択肢を増やすためインターネットを利用した議決権行使を導入しており、国内外の機関投資家に対しても議決権を行使しやすい環境を整備した。また定款を変更し、将来的に株主総会の開催方法の選択肢の一つとしてバーチャルオンリー株主総会の開催も可能にした。

■23年2月期大幅増収増益予想、さらに再上振れの可能性

 23年2月期の連結業績予想(7月13日付で上方修正)は、売上高が22年2月期比11.7%増の260億38百万円、営業利益が40.7%増の14億円、経常利益が35.7%増の14億30百万円、親会社株主帰属当期純利益が25.9%増の8億86百万円としている。第1四半期が好調に推移したため、前回予想に対して売上高を6億40百万円、営業利益を3億02百万円、経常利益を3億18百万円、親会社株主帰属当期純利益を1億44百万円、それぞれ上方修正した。配当予想は8月10日付で中間配当を2円上方修正して、22年2月期比5円増配の22円(第2四半期末12円、期末10円)としている。

 通期ベースの単体ベースの既存店売上および新規出店に関しては、期初時点の計画(既存店売上は前年並み、新規出店は20店舗~25店舗)に概ね変更は無いとしている。コスト面では、システム開発体制やDXへの取り組みの強化など、積極的な成長投資で費用が増加する。さらに昨今の物価上昇に対応して従業員給与のベースアップを進めるとともに、電気代の上昇などにより、販管費で約1億円の追加計上を見込むが、大幅増収効果で吸収する見込みだ。

 第2四半期累計の連結業績予想(7月13日付で上方修正)については、売上高が前年同期比15.8%増の124億30百万円、営業利益が4.0倍の6億25百万円、経常利益が3.6倍の6億50百万円、親会社株主帰属四半期純利益が9.4倍の4億26百万円としている。

 前回予想に対して売上高を5億89百万円、営業利益を3億78百万円、経常利益を3億93百万円、親会社株主帰属四半期純利益を2億65百万円、それぞれ上方修正した。このため下期の利益予想を下方修正した形になるが、下期に販管費で約1億円の追加計上を見込むためとしている。

 なお第1四半期は、売上高が前年同期比18.8%増の67億33百万円、営業利益が2.2倍の7億66百万円、経常利益が2.1倍の7億86百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.2倍の5億32百万円だった。

 リユース意識の高まりや外出需要の回復などで既存店が好調に推移し、新規出店も寄与して大幅増収増益だった。単体ベースの既存店売上は107.1%、売上総利益率は1.3ポイント上昇、新規出店は6店舗だった。カインドオルやピックアップジャパンなどリユース事業を行うグループ会社も利益貢献した。第1四半期として過去最高の売上高、営業利益となった。

 第1四半期の利益は修正後の第2四半期累計予想を超過達成している。新生活関連などで第1四半期の構成比が高く、第2四半期の構成比が低くなる傾向があるが、この点を考慮しても第2四半期累計予想は再上振れの可能性が高いだろう。また修正後の通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高25.9%、営業利益54.7%、経常利益55.0%、親会社株主帰属当期純利益60.0%と高水準である。第2四半期累計予想と同様に、通期予想も再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

 なお月次売上(単体直営店の店舗売上、前年同月比速報値)を見ると、22年7月は全店が120.3%、既存店が110.6%だった。物価高を背景に中古品が注目される中で、引き続き気温が高く推移したこともあり、夏物衣料や冷蔵庫などの生活家電が好調だった。生活雑貨、ホビー用品、ブランド品なども好調だった。既存店売上は21年9月から11ヶ月連続の前年比プラスと好調が続いている。なお3~7月の新規出店は6店舗となっている。

■株主優待制度は2月末の株主対象

 株主優待制度は毎年2月末時点の1単元(100株)以上保有株主を対象として実施(詳細は会社HP参照)している。

■株価は15年の高値に接近

 株価は年初来高値更新の展開で15年の上場来高値に接近している。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。8月17日の終値は1696円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS79円72銭で算出)は約21倍、今期予想配当利回り(会社予想の22円で算出)は約1.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS424円66銭で算出)は約4.0倍、そして時価総額は約197億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1.  暖房機器、除雪商品などを展開し割安放置が目立つセクターにホームセンター株がある。PBRが1倍を割…
  2. ■背広の売れ行きが映す街角の景気シグナル  街角の景気実感を分析し、景気実態を明らかにする経済指標…
  3. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  4. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る