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And Doホールディングスは反発の動き、23年6月期大幅増収増益予想、成長強化事業が牽引して収益拡大基調
- 2022/8/29 09:17
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
And Doホールディングス(旧ハウスドゥが22年1月1日付で事業持株会社体制に移行して商号変更)<3457>(東証プライム)は、住まいのワンストップサービスを展開し、さらに不動産×金融サービスの深化による高収益化を目指す不動産テック企業である。22年6月期は主力事業が順調に伸長して増収増益だった。23年6月期も増収増益・連続増配予想としている。住宅需要が堅調であり、成長強化事業が牽引して収益拡大基調だろう。株価は7月の年初来安値圏から切り返して反発の動きを強めている。低PERや高配当利回りも評価材料であり、基調転換して出直りを期待したい。
■住まいのワンストップサービスを展開する不動産テック企業
FCチェーンネットワーク構築による不動産情報のオープン化と、時代に即した不動産ソリューションサービスを提供する不動産サービスメーカーとして、住まいのワンストップサービスを展開している。さらにFinTechを活用して「不動産×金融」サービスの進化による高収益化を目指す不動産テック(不動産×IT)企業である。
不動産流通事業で創業し、リフォーム事業、不動産売買事業、不動産売買仲介「HOUSEDO」FC加盟店に各種サービスを提供するフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産担保ローン事業、金融機関と提携したリバースモーゲージ保証事業へと展開し、業容を拡大している。そして22年1月1日付で事業持株会社に移行(ハウス・リースバック事業は移行後も同社が運営)し、商号をAnd Doホールディングスに変更した。
FCチェーンネットワークや高齢化社会に対応した不動産ソリューションなど顧客接点・地域密着ネットワークを構築し、売買仲介を起点として住まい関連サービスにつなげる事業シナジーを強みとしている。さらに不動産事業を通じて世の中を安心、便利なサービスを提供する「不動産コンビニ」構想も掲げている。
■ストック収益型事業が収益柱
ロイヤリティー収入、賃貸収入、金利収入など、ストック収益を積み上げるフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融事業、および不動産売買事業を成長強化事業と位置付けて収益の柱としている。ハウス・リースバック事業では取得した収益不動産物件の売却も進める。
22年6月期のセグメント別営業利益構成比(全社費用等調整前)は、成長強化事業が86%(フランチャイズ事業が34%、ハウス・リースバック事業が25%、金融事業が2%、不動産売買事業が25%)、不動産流通事業が11%、リフォーム事業が3%、その他が▲0%だった。22年6月期第3四半期からセグメント区分を変更し、小山建設グループの事業を不動産売買事業、不動産流通事業、ハウス・リースバック事業に振り分けた。不動産売買事業は大型物件などによって構成比が変動しやすい。
フランチャイズ事業の加盟契約数は22年6月期末時点で21年6月期末比19店舗減少して683店舗となった。20年9月に全国47都道府県すべてに出店契約を達成し、21年1月からはブランドロゴと店舗デザインを一新している。また賃貸不動産仲介事業の新ブランド「レントドゥ!」も展開している。中期的には25年に国内1000店舗、アジア5万店舗を目標としている。
ハウス・リースバック事業では、22年6月期期末の保有物件数が21年6月期末比306件増加して645件、保有物件総額(簿価ベース)が43億20百万円増加して89億14百万円となった。契約件数は187件増加の1090件、物件取得数は209件増加の1010件だった。
金融事業では、22年6月期のリバースモーゲージ保証残高が34億62百万円増加の88億05百万円、保証件数が267件増加の829件、不動産担保融資残高が49億22百万円減少の48億22百万円となった。リバースモーゲージ保証事業では地域金融機関との提携を推進し、提携金融機関は22年8月15日時点で39金融機関となった。さらに、リバースモーゲージのさらなる普及拡大に向けて銀行代理業許可を取得した。楽天銀行の銀行代理業者として「楽天銀行リバースモーゲージ」の申込媒介を行う。不動産担保融資は戦略的に縮小させている。
■M&A・アライアンスも活用
M&A・アライアンスでは、19年8月に埼玉県草加市を中心に不動産売買・仲介を展開する小山建設グループを子会社化、20年7月に子会社の草加松原住建の商号をハウスドゥ・ジャパンに変更した。21年7月には加盟店を対象とする業務支援サービスの利用に関して、不動産サービス比較サイト「リビングマッチ」運営のリビン・テクノロジーズ<4445>と業務提携した。21年9月には識学<7049>と業務提携した。識学の「成長する組織つくり」を加盟店が導入することで加盟店の組織力および業績拡大につなげる。
22年5月には、ドキュサイン・ジャパンと不動産売買取引における電子契約システムで業務提携すると発表した。ハウスドゥオリジナル基幹システム「DO NETWORK」と、ドキュサイン・ジャパンの電子署名サービス「DocuSign eSignature」との連携で電子契約が可能になる。
■新中期経営計画(23年6月期~25年6月期)
新中期経営計画(23年6月期~25年6月期)では目標数値に、25年6月期売上高518億19百万円、営業利益41億79百万円、経常利益40億円、親会社株主帰属当期純利益26億40百万円、経常利益率7.7%を掲げている。配当性向は30%以上を基本水準とする。
事業セグメント別の25年6月期の計画は、フランチャイズ事業の売上高41.8億円で営業利益29.0億円、ハウス・リースバック事業の売上高214.2億円で営業利益28.3億円、金融事業の売上高14.1億円で営業利益6.0億円、不動産売買事業の売上高207.6億円で営業利益18.0億円、不動産流通事業の売上高20.4億円で営業利益6.4億円、リフォーム事業の売上高27.0億円で営業利益2.3億円としている。
成長強化事業の主要指標の計画(25年6月期)は、フランチャイズ累計加盟店舗数が865店舗、ハウス・リースバック事業の年間仕入契約数が1440件、リバースモーゲージ保証残高が506億円、リバースモーゲージ提携金融機関が100行、不動産売買のたな卸資産残高が140億円としている。
成長戦略として、成長強化事業(フランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融・リバースモーゲージ事業、不動産売買事業)のさらなる拡大、不動産×金融サービスの深化、高収益体質化の促進を推進する。なお20年8月にはDX推進本部を設立している。
■22年6月期増収増益、23年6月期大幅増収増益予想で収益拡大基調
22年6月期の連結業績(収益認識基準適用だが損益への影響軽微)は、売上高が21年6月期比6.0%増の413億95百万円、営業利益が10.9%増の28億71百万円、経常利益が17.2%増の29億47百万円、親会社株主帰属当期純利益が21.0%増の19億55百万円だった。配当は6円増配の36円(期末一括)とした。
成長強化事業への積極的投資を継続したが、主力事業が伸長して増収増益だった。なお収益認識基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が1億55百万円増加、売上原価が14百万円増加、営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益がそれぞれ1億40百万円増加している。
フランチャイズ事業は売上高(調整前)が1.6%増の33億87百万円で、セグメント利益(調整前営業利益)が3.4%増の23億01百万円と順調だった。累計加盟店数は683店舗で21年6月期末比19店舗減少した。コロナ禍の影響で退会数が増加した。
ハウス・リースバック事業は売上高が5.8%増の145億33百万円で、利益が0.7%減の17億17百万円だった。契約件数は187件増加の1090件、物件取得数は209件増加の1010件、期末保有物件数は306件増加の645件、保有物件総額(簿価ベース)は43億20百万円増加の89億14百万円となった。HLB10号へ売却(40.9億円)後も保有物件数は高水準を維持して次期へ持ち越している。
金融事業は売上高が29.9%減の7億67百万円で、利益が81.1%増の1億37百万円だった。不動産担保融資残高を縮小(49億22百万円減少の48億22百万円)したため減収だが、リバースモーゲージ保証が伸長(新規保証件数が105件増加の326件、保証残高が34億62百万円増加の88億05百万円)して大幅増益だった。
不動産売買事業は売上高が13.6%増の184億41百万円、利益が41.8%増の16億91百万円だった。取引件数は590件で144件減少したが、住宅需要が高水準に推移して大幅増収増益だった。期末在庫(販売用不動産+仕掛販売用不動産)数は263件増加の729件、在庫額は44億11百万円増加の153億39百万円となった。
不動産流通(仲介)事業は売上高が5.7%減の23億24百万円だが、店舗集約などの施策による収益性向上で利益が34.9%増の7億30百万円だった。仲介件数は505件減少の2857件だった。リフォーム事業はコロナ禍の影響で売上高が2.1%減の26億58百万円だが、生産性向上などの効果で利益が14.1%増の1億95百万円だった。リフォーム契約件数は20件減少の1816件、リフォーム引渡件数は18件増加の1809件だった。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が110億71百万円で営業利益が7億92百万円、第2四半期は売上高が112億19百万円で営業利益が9億99百万円、第3四半期は売上高が68億71百万円で営業利益が1億12百万円、第4四半期は売上高が122億34百万円で営業利益が9億68百万円だった。
23年6月期連の結業績予想は、売上高が22年6月期比12.5%増の465億82百万円、営業利益が20.2%増の34億52百万円、経常利益が12.0%増の33億円、親会社株主帰属当期純利益が11.4%増の21億78百万円としている。配当予想は4円増配の40円(期末一括)としている。連続増配予想である。株主優待制度を22年6月期末対象で廃止し、以降は優待制度に要していた費用相当分を加味して配当で還元する。
セグメント別営業利益(調整前)計画はフランチャイズ事業が10.3%増の25億38百万円、ハウス・リースバック事業が38.9%増の23億87百万円、金融事業が34.2%増の1億85百万円、不動産売買事業が5.4%減の16億円、不動産流通事業が14.7%減の6億23百万円、リフォーム事業が17.5増の2億30百万円、調整額が▲41億11百万円としている。
住宅需要が堅調であり、成長強化事業が牽引して23年6月期も収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は22年6月末日対象をもって廃止
株主優待制度は毎年6月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施していたが、株主還元の公平性を意識した取り組みを進めるべく、22年6月末日対象をもって株主優待制度を廃止した。今後は配当性向基準の引き上げで、配当として還元(詳細は会社HP参照)する方針だ。
■株価は反発の動き
株価は7月の年初来安値圏から切り返して反発の動きを強めている。低PERや高配当利回りも評価材料であり、基調転換して出直りを期待したい。8月26日の終値は881円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS111円33銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の40円で算出)は約4.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS706円07銭で算出)は約1.2倍、そして時価総額は約172億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)