【株式市場特集】注目度アップの東北地方に本社を置く上場会社や地銀株をピックアップ

 今週の当特集は、初の白河の関越えで注目度アップの東北地方に本社を置く上場会社や地銀株を取り上げることにした。東北地方銘柄には、ナショナルブランドの主力株はないものの、ニッチ(隙間)トップのハイテク株や資源株、素材株、独自ビジネスモデルの小売り株が少なくない。しかも東北地方銘柄のハンディキャップから投資採算的に割り負け水準の放置されているケースが大部分を占める。

 きょう週明けの東京市場は、前週末26日にニューヨーク工業株30種平均(NYダウ)が、1008ドル安と急反落した「パウエル・ショック」を受けてスタートすることになる。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、ジャクソンホール会議の講演会で「家計や企業の痛みをもたらす」のを前提に金利引き上げ加速のタカ派政策を表明しており、日本株も「痛み」を避けられないかもしれない。そうした激変必至の市場環境下では、激変を緩和させる割安東北地方銘柄への遅ればせのご祝儀相場も一興となる可能性はありそうだ。

■ハイテク関連株、資源・素材株、小売り株など低PERで低PBR

 まず東北地方に本社を置く割安ハイテク株では、溶接切断用ガスの東邦アセチレン<4093>(東証プライム)、工業薬品の東北化学薬品<7446>(東証スタンダード)が要注目でPER評価はそれぞれ9倍、6倍、PBRは0.5倍、0.4倍にとどまり、東北化学薬品は、今年8月9日に今9月期業績を上方修正し、東邦アセチレンの年間配当利回りは4.2%にもなる。またミクロン精密<6159>(東証スタンダード)は、今8月期業績を期初予想の据え置きとしたことでPERは27倍台と市場予想を上回るが、第3四半期(3Q)の純利益は、為替差益の寄与で前年同期比2.2倍とV字回復し、通期予想純利益を2.5倍も上回り、3Q時点の1株利益換算ではPER10倍と割り負ける。

 資源・素材関連では東北特殊鋼<5484>(東証スタンダード)、貴金属回収のアサカ理研<5724>(東証スタンダード)、木材の山大<7426>(東証スタンダード)のPER評価は、5倍~11倍と市場平均を下回る。小売り関連では、ハニーズホールディングス<2792>(東証プライム)、アレンザホールディングス<3546>(東証プライム)、フジ・コーポレーション<7605>(東証プライム)、前期のゼビオHDと続きいずれもPER7倍~10倍の割安ゾーンにある。独自のビジネスモデル銘柄では、東北地方最大の商社のカメイ<8037>(東証プライム)がPER4倍、PBR0.2倍、年間配当利回り3.3%と超割安のほか、電気工事のユアテック<1934>(東証プライム)、警備事業のトスネット<4754>(東証スタンダード)、葬祭事業のこころネット<6060>(東証スタンダード)、包装資材の高速<7504>(東証プライム)、物流事業のセンコン物流<9051>(東証スタンダード)などもPER7倍~10倍ゾーンに位置し、PBRも0.3倍~0.9倍の評価にしか過ぎない。

■経営統合組が目立つ地銀株は統合後高値追い銘柄を追ってバリュー株人気

 地銀株では、経営統合・業界再編銘柄が少なくなく、今回の大雨による激甚災害での復旧支援融資事業でも経営統合効果の発揮が期待される。前記のプロクレアHDは、青森銀行とみちのく銀行が経営統合したものだが、経営統合後の今年4月安値から前週末26日取引時間中の統合後高値2235円まで右肩上がりで3割高したが、PERは実に1.2倍、PBRは0.3倍にしか過ぎない。同じ経営統合銀行は、じもとホールディングス<7161>(東証スタンダード)、フィデアホールディングス<8713>(東証プライム)と続きPERは5倍、8倍である。また秋田銀行<8343>(東証プライム)と岩手銀行<8345>(東証プライム)は、包括的業務提携を結びPERは9倍、6倍である。フィディHDとの経営統合の合意を解消した東北銀行<8349>(東証スタンダード)も、PERは6倍で配当利回りは5.0%に達する。

 このほか東北地方最大の地銀の七十七銀行<8341>(東証プライム)のPERは5倍、PBRは0.2倍、配当利回りは4.5%で、山形銀行<8344>(東証プライム)、北日本銀行<8551>(東証プライム)、福島銀行<8562>(東証スタンダード)、大東銀行<8563>(東証スタンダード)などもPER5倍~6倍で続き、上ぶれ期待を高めよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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