【株式市場特集】自己株式取得を発表し割安水準に放置されている銘柄に注目
- 2022/9/5 08:43
- 特集
今週の当特集では、「パウエル・ブラックホール」に抵抗する命綱となる自己株式取得を発表した銘柄のうち、なお割安水準に放置されている銘柄を取り上げることにした。そのなかには取得総額が大きい主力株や3点セット銘柄、さらに小型株のなかでも発行済み株式総数に対する取得比率が高く株価インパクトが大きい銘柄も浮上する。自己株式取得は上値を買わないため株価浮揚力はそれほどではないものの、下値は強力にサポートしてくれる。相場格言は、「人の行く裏に道あり花の山」と教えている。この格言通りにいずれ「花の山」に行き着く裏道投資になることを期待したい。
■業績上方修正、増配など並立の3点セット銘柄や2点セット株も相次ぐ
主力株のうち大盤振舞いの3セット銘柄を発表順にあげると業績上方修正と増配、自株式消却のアドバンテスト<6857>(東証プライム)、同じく業績上方修正と増配のINPEX<1605>(東証プライム)となる。また信越化学工業<4063>(東証プライム)は、期初に未定としていた今期業績予想と配当を開示し、増益、増配を見込み、NIPPON EXPRESSホールディングス<9147>(東証プライム)とホンダ<7267>(東証プライム)は、業績の上方修正との2点セットである。いずれも「パウエル・ブラックホール」に引き寄せられた銘柄だが、ここは自己株式取得の経過をウオッチしつつ下値買いチャンスを探るところだろう。
中小型株で3点セット銘柄は、業績上方修正と増配が揃うハリマ化成(4410>(東証プライム)とオークネット<3964>(東証プライム)、上方修正と自己株式消却のソディック<6143>(東証プライム)が並ぶ。2点セット銘柄では同じく発表順に列挙すると増配オンの大阪有機化学工業<4187>(東証プライム・8月3日終了)、業績上方修正のセーレン<3569>(東証プライム)、自己株式消却の三機工業<1961>(東証プライム)が続く。前月8月末に年初来高値を更新し高値圏にいる銘柄も多いが、投資採算的に割安でなお上値余地を示唆している。
■取得比率上位株は高値水準もなおアノマリー通りの株価インパクトを期待
取得する自己株式数が、発行済み株式総数に占める比率の3%を超えると株価インパクトが増幅されるとするアノマリーがある。この比率が3%どころか4%以上となっている割安な自己株式取得銘柄を上げると次の通りとなる。かんぽ生命<7181>(東証プライム)の7.5%をトップに6%台でアップルインターナショナル<2788>(東証スタンダード・7月8日終了)、キムラユニティー<9368>(東証スタンダード・8月2日終了)、ヒロセ通商<7185>(東証スタンダード・8月1日終了)、5%台で日本国土開発<1887>(東証プライム)、4%台でシンデン・ハイテックス<3131>(東証スタンダード)、大成温調<1904>(東証スタンダード・8月19日終了)、ステラ ケミファ<4109>(東証プライム)、北野建設<1866>(東証スタンダード)と続く。
このうちアップルが、前週末2日に年初来高値を更新し、残りの大多数もこの8月末以降に年初来高値まで買い進まれるアノマリー通りの株価推移となり高値固め局面にあるが、なおバリュー株人気を増幅する展開も想定範囲内となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)