アスカネットは23年4月期増収増益予想据え置き、1Q増収・大幅増益と順調

(決算速報)
 アスカネット<2438>(東証グロース)は9月6日の取引時間終了後に23年4月期第1四半期業績(非連結)を発表した。特に写真集関連のフォトブック事業においてコロナ禍の影響が和らぎ、自社工場稼働率回復などで大幅増益と順調だった。通期の増収増益予想を据え置いた。人員拡充、積極的な研究開発活動の継続、原材料費や仕入価格の上昇、広告宣伝費の増加などを考慮して小幅増益にとどまる予想としているが、保守的な印象が強く上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価はモミ合い展開だが調整一巡感を強めている。第1四半期の大幅増益を評価して出直りを期待したい。

■23年4月期増収増益予想据え置き、1Q増収・大幅増益と順調

 23年4月期第1四半期業績(非連結)は売上高が前年同期比5.2%増の15億43百万円、営業利益が24.3%増の52百万円、経常利益が32.0%増の56百万円、四半期純利益が35.6%増の38百万円だった。特に写真集関連のフォトブック事業においてコロナ禍の影響が和らぎ、自社工場稼働率回復などで大幅増益と順調だった。

 セグメント別(内部売上・全社費用等調整前)に見ると、葬儀関連のフューネラル事業は売上高が7.5%増の6億74百万円で営業利益が2.0%減の1億33百万円だった。コロナ禍の影響による葬儀の小規模化傾向が継続しているが、新たな葬儀社との契約が堅調に推移して遺影写真加工サービスが伸長した。ITテクノロジーを活用した「葬テック」として提供している「tsunagoo」サービスも寄与して増収と順調だった。利益面は、オペレーターの積極採用に伴う人件費の増加、ピント復元技術の更なる向上に向けた研究開発費の増加、展示会出展による広告宣伝費の増加などが影響して微減益だった。

 写真集関連のフォトブック事業は売上高が6.0%増の8億47百万円で営業利益が22.1%増の1億49百万円だった。一般消費者向け「マイブック」はコロナ禍による旅行やイベントの自粛、マスク着用の常態化に伴う撮影機会の減少で厳しい状況が続いているが、プロフェッショナル写真家向け「アスカブック」のウェディング市場において、コロナ禍の影響が和らいで売上が回復傾向となった。家族写真や子ども写真などスタジオ向け写真集も堅調だった。利益面は、原材料価格高騰の影響があったが、増収効果に加えて、売上増加に伴う自社工場稼働率回復が寄与した。

 空中結像プレートASKA3D関連の空中ディスプレイ事業は売上高が41.4%減の23百万円で営業利益が76百万円の損失(前年同期は76百万円の損失)だった。売上面では海外市場が苦戦した。案件の長期化や後倒しの傾向が見られ、特に中国の代理店においてはゼロコロナ政策によって営業活動の制約を受けた。コスト面では展示会出展に伴って広告宣伝費が増加したが、研究開発費や特許関連費用をコントロールして前年並みの営業損失だった。

 通期業績(非連結)予想は据え置いて、売上高が22年4月期比8.8%増の68億90百万円、営業利益が2.3%増の4億50百万円、経常利益が8.2%増の4億90百万円、当期純利益が4.6%増の3億48百万円としている。配当予想は1円増配の8円(期末一括)としている。

 コロナ禍影響の緩和などで増収増益・増配予想としている。売上高の計画は葬儀関連のフューネラル事業が4.9%増の29億10百万円、写真集関連のフォトブック事業が6.4%増の36億30百万円、空中結像プレートASKA3D関連の空中ディスプレイ事業が137.1%増の3億50百万円としている。利益面は、フューネラル事業における画像処理オペレーターの大幅な人員拡充、空中ディスプレイ事業における積極的な研究開発活動の継続、各事業における原材料費や仕入価格の上昇、展示会再開に伴う広告宣伝費の増加などを考慮して小幅増益予想としている。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は22.4%、営業利益が11.6%と低水準の形だが、下期の構成比が高い季節特性がある。会社予想は全体として保守的な印象が強く、第1四半期が順調だったことを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は調整一巡

 株価は反発力が鈍くモミ合い展開だが、調整一巡感を強めている。第1四半期の大幅増益を評価して出直りを期待したい。9月6日の終値は971円、今期予想PER(会社予想のEPS20円68銭で算出)は約47倍、今期予想配当利回り(会社予想の8円で算出)は約0.8%、前期実績PBR(前期実績のBPS358円24銭で算出)は約2.7倍、そして時価総額は約170億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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