【アナリスト水田雅展の銘柄分析】メディアスHDは16年6月期の収益改善期待で反発のタイミング

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 メディアスホールディングス<3154>(JQS)は医療機器販売事業を展開している。株価は戻り高値圏2600円台から反落して調整局面だ。7月9日には全般地合い悪化も影響して2301円まで調整する場面があった。ただし16年6月期の収益改善期待で2300円近辺の下値支持線から反発のタイミングだろう。

■医療機器・医療材料の販売が主力、M&Aで営業エリアと規模拡大を推進

 医療機器・医療材料の販売事業を主力として、介護・福祉機器の販売・レンタル事業も展開している。静岡県・神奈川県を地盤とする協和医科器械、およびオズの首都圏・愛知県エリアへの営業強化策に加えて、M&Aを積極活用して営業エリアと規模の拡大戦略を推進している。

 10年7月に栗原医療器械店(群馬県太田市)、12年7月にネットワーク(東京都新宿区)、13年7月に秋田医科器械店(秋田県秋田市)、14年7月にジオット(福島県郡山市)を完全子会社化し、14年10月には福井県内でトップシェアを誇る福井医療(福井県福井市)と資本業務提携した。

 14年10月には子会社ケアフォースを設立した。医療・介護用移乗機器および電動ベッドなどの輸入・販売事業を展開する。また海外展開は、インドにおける鴻池運輸<9025>との医療データベース合弁会社CARNA MEDICAL DATABASEで、医療物流プラットフォームの構築を推進している。

■手術室運営支援ソフトウェアなど複合的サービスを強化

 商品戦略では医療機関への医療機器・医療材料の販売に加えて、手術室運営支援ソフトウェア、医療材料データベース、プライベートブランド商品などの販売も促進し、複合的サービスを強化している。

 手術室運営支援ソフトウェア「サージレーン」は、効率の良い病院手術室運営を提案して機器・備品売上の拡大に繋げる戦略商品である。14年6月期末時点の導入施設数は大病院を中心に8施設で、16年6月期には新たに3施設の導入を予定しているようだ。

 医療材料データベース・医療材料分析サービス「メッカル」は、医療材料価格の最適化を支援するツールで、14年6月期末時点で84施設に導入している。

■16年6月期の収益改善基調を期待

 前期(15年6月期)の連結業績予想(5月8日に減額修正)は、売上高が前々期比0.7%減の1450億円、営業利益が同54.1%減の7億35百万円、経常利益が同46.6%減の10億90百万円、純利益が同42.2%減の5億60百万円としている。配当予想については、前回予想(8月11日公表)を据え置いて前々期と同額の年間80円(期末一括)としている。予想配当性向は44.9%となる。

 第3四半期累計(7月~3月)は前年同期比3.2%減収、同53.2%営業減益、同48.2%経常減益、同47.6%最終減益だった。消耗品は新規獲得のSPD(病院医療材料管理業務)契約も寄与して堅調だったが、備品は医療機関の設備投資や予算執行が想定を下回り大幅減少した。利益面では仕入価格引き下げ効果などで売上総利益率が0.3ポイント上昇したが、首都圏営業強化策に伴う人件費の増加などで営業利益は大幅減益だった。

 なお四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(7月~9月)339億31百万円、第2四半期(10月~12月)384億20百万円、第3四半期(1月~3月)390億48百万円、営業利益は第1四半期1億03百万円の赤字、第2四半期3億70百万円、第3四半期5億52百万円だった。

 医療機関の設備投資予算執行が集中する第3四半期(1月~3月)の構成比が高い収益構造だが、15年1月~3月は前年同期の消費増税前駆け込み需要の反動影響を受けた。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が76.8%、営業利益が111.4%、経常利益が97.7%、純利益が95.0%だった。第3四半期(1月~3月)の構成比が高い収益構造のため高水準である。

 今期(16年6月期)については、備品は引き続き医療機関の設備投資抑制や病院数減少の影響が懸念されるが、一方では利益率の高い消耗品の売上が増加基調であり、円安に伴う海外メーカーからの仕入価格引き下げ要求も想定ほど強まっていないようだ。収益改善基調だろう。

 また中期的には、首都圏および愛知県エリアなどへの営業強化、M&A・アライアンスによる営業エリア拡大、新規取引先の獲得、SPD(病院医療材料管理業務)事業の拡大、複合的サービスの強化、さらに大量購買による仕入価格低減や業務効率の改善などが寄与して収益拡大が期待される。

■株価は下値支持線から反発のタイミング

 株価の動きを見ると、5月下旬~6月下旬の戻り高値圏2600円台から反落して調整局面のようだ。7月9日には全般地合い悪化も影響して2301円まで調整する場面があり、その後も反発力の鈍い展開だ。

 7月29日の終値2375円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS178円33銭で算出)は13~14倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間80円で算出)は3.4%近辺、そして前々期実績連結PBR(前々期実績に増資を考慮した連結BPS2253円06銭で算出)は1.1倍近辺である。

 週足チャートで見ると再び26週移動平均線を割り込んで調整局面だ。ただし2月の年初来安値2285円まで下押す動きは見られない。2300円近辺が下値支持線のようだ。16年6月期の収益改善期待で下値支持線から反発のタイミングだろう。

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