【アナリスト水田雅展の銘柄分析】エフティコミュニケーションズは株式分割と配当増額修正を好感して年初来高値圏

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 エフティコミュニケーションズ<2763>(JQS)は法人向けのLED照明、ビジネスホン、OA機器などの販売事業を主力としている。株価は7月17日に発表した株式分割と配当増額修正を好感して、7月21日に年初来高値2500円まで急伸した。16年3月期増収増益基調や3%台の高配当利回りも評価して続伸展開だろう。なお8月10日に第1四半期(4月~6月)の業績発表を予定している。

■法人向けLED照明、ビジネスホン、OA機器などの販売が主力

 13年6月にTOBで光通信<9435>の連結子会社となり、法人向けLED照明等環境関連商品、ビジネスホン等情報通信機器、OA機器、SOHOスモールサーバーなどを販売する法人事業、一般消費者向け光回線サービス取次販売やドコモショップ運営などのコンシューマ事業を展開している。

 なお5月14日に会社分割による持株会社への移行と商号変更を発表した。15年8月3日を効力発生日(予定)として、ソリューション事業を新設のエフティコミュニケーションズとエフティコミュニケーションズウエストの2社に承継し、持株会社となる当社の社名をエフティグループに変更する。持株会社として上場を維持する。

■M&Aも積極活用してストック型収益と業容を拡大

 LED照明や空調などの環境商材を重点分野と位置付け、中期成長に向けた重点戦略として、定額保守サービスなどストック型収益の積み上げ、M&Aも活用した業容拡大、そして海外展開やプラットフォーム事業も推進している。

 M&Aも活用した業容拡大戦略では、13年10月ネットワークセキュリティ機器製造のアレクソンを子会社化、13年11月ビジネスホン・OA機器販売のグロースブレイブジャパンを子会社化、13年12月ノンフロン新自然冷媒ガス販売・施工のニューテックを子会社化、スマートフォン・タブレット端末で個人間プラットフォーム事業・マルチ決済ソリューションを展開する子会社ViewPointを設立、14年9月インターネット事業を担当する子会社アイエフネットがWEBサイト制作の外注先であるアドマウントを子会社化した。

 プラットフォーム事業では、スマホカード決済サービス「ペイコレ」や、子会社ViewPointが14年7月開始した中古車個人取引サイト「mieruCAR(ミエルカ)」を強化している。海外展開では14年7月設立したタイ子会社をASEAN地域への事業展開拠点として、LED照明など環境商材の販売を推進している。

 15年3月には中古車個人取引サイト「mieruCAR」が日本最大級のインターネットオークションサイト「ヤフオク!」と連携開始した。子会社ViewPointの「mieruCAR」掲載車両を「ヤフオク!」内に設置された「ミエルカストア」に連携出品して個人間売買の活性化を図るとしている。

 15年6月には連結子会社アントレプレナーの子会社であるアレクソンの株式を取得すると発表した。持株会社への移行に伴うグループ再編の一環でアレクソンを当社の子会社とする。

■16年3月期も増収増益基調

 なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)82億33百万円、第2四半期(7月~9月)88億68百万円、第3四半期(10月~12月)87億73百万円、第4四半期(1月~3月)89億30百万円、営業利益は第1四半期9億28百万円、第2四半期10億13百万円、第3四半期10億77百万円、第4四半期10億91百万円だった。ストック型収益の積み上げで営業損益は拡大基調だ。

 また15年3月期の配当性向は29.6%だった。ROEは14年3月期比7.5ポイント低下して29.4%、自己資本比率は同4.2ポイント上昇して29.4%となった。

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月14日公表)は売上高が前期比9.2%増の380億円、営業利益が同21.7%増の50億円、経常利益が同10.2%増の50億円、純利益が同8.3%増の30億円としている。

 事業別売上高の計画は、法人事業が同8.7%増の320億円(うちコピー機が同0.9%増の45億円、LED照明が同26.9%増の80億円、自然冷媒ガス等の環境商品が同52.7%増の16億円、ビジネスホン系合計が同10.5%増の88億円、インターネット系合計が同8.9%増の42億円など)、コンシューマ事業が同0.6%増の60億円(うち光回線サービス等が同1.8%減の38億円、ドコモショップが同6.9%増の22億円)としている。

 法人事業ではLED照明、自然冷媒ガス、SOHO向けスモールサーバー、ビジネスホンなどの拡販に取り組むほか、工場向けのライン監視カメラ・センサーといった監視装置関連の需要増加に対応して施工管理体制を強化する。

 コンシューマ事業では、NTT光回線サービス「光コラボレーション」開始に伴って、FVNO(仮想固定通信事業者)として自社ブランドの法人向け光回線サービス「FT光」およびコンシューマ向け光回線サービス「ひかり速トク」の拡販を推進する。

■ストック型収益の積み上げや積極的な事業展開で増収増益基調だろう。

 配当予想については7月17日に株式3分割(15年10月1日付)に伴う修正を発表した。修正後の配当予想は年間44円(株式3分割前の第2四半期末30円、株式3分割後の期末14円)とした。

 株式3分割前に換算すると年間72円(第2四半期末30円、期末42円)となり、前回予想の年間70円(第2四半期末30円、期末40円)に対して2円増額、また前期の年間70円(第2四半期末30円、期末40円)に対して2円増配となる。予想配当性向は28.2%となる。

 なお株主への利益還元については、企業価値の最大化を図り、当社の健全な財務基盤確立に必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続的に実施することを基本方針としている。

■株価は年初来高値圏

 7月17日に株式分割を発表した。15年9月30日を基準日(効力発生日15年10月1日)として1株を3株に分割する。

 株価の動きを見ると、7月17日に発表した株式分割と配当増額修正を好感して7月21日に年初来高値2500円まで急伸した。その後は2200円~2300円近辺でモミ合う展開だが、急伸前の2000円近辺まで下押す動きは見られない。

 7月29日の終値2261円を指標面(10月1日付の株式3分割前)で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS255円57銭で算出)は8~9倍近辺、今期予想配当利回り(株式3分割前換算の会社予想の年間72円で算出)は3.2%近辺、そして前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS890円49銭で算出)は2.5倍近辺である。

 週足チャートで見ると、一旦割り込んだ13週移動平均線と26週移動平均線を突破し、さらに戻りを押さえていた52週移動平均線も突破した。強基調へ転換する動きだ。16年3月期増収増益基調や3%台の高配当利回りを評価して続伸展開だろう。

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