【アナリスト水田雅展の銘柄分析】トシン・グループは16年5月期増益予想、割安感を見直して反発期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 トシン・グループ<2761>(JQS)は電設資材などの卸売事業を展開している。株価は全般地合い悪化の影響を受けて安値圏2600円近辺でのモミ合いから下放れる場面があったが、影響は一時的のようだ。16年5月期は増益予想であり、指標面の割安感を見直して反発展開が期待される。

■首都圏中心に電設資材や住宅設備機器の卸売事業を展開

 首都圏を中心として、電設資材や住宅設備機器などの卸売事業を展開する持株会社である。小口多数販売や、専門部署による得意先営業活動支援サービスなどを特徴としている。

 取扱商品や営業拠点網の拡充などで事業基盤強化を推進している。15年1月には小山営業所、15年6月には佐野営業所を開設した。

■16年5月期は増益予想

 7月3日発表の前期(15年5月20日期)連結業績は、売上高が前々期比2.6%減の452億71百万円、営業利益が同16.7%減の22億24百万円、経常利益が同11.6%減の31億35百万円、純利益が同10.7%減の18億42百万円だった。配当予想は前々期と同額の年間52円(第2四半期末26円、期末26円)で配当性向は25.2%となる。

 売上高、利益とも計画をやや下回った。消費増税の影響で新設住宅着工戸数が低迷し、利益面では新本社ビルや営業所の家賃の増加、減価償却費の増加も影響して減収減益だった。ROEは同0.7ポイント低下して5.8%、自己資本比率は同2.3ポイント低下して79.6%となった。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(5月21日~8月20日)110億05百万円、第2四半期(8月21日~11月20日)115億38百万円、第3四半期(11月21日~2月20日)106億94百万円、第4四半期(2月21日~5月20日)120億34百万円、営業利益は第1四半期4億81百万円、第2四半期6億円、第3四半期5億55百万円、第4四半期5億88百万円だった。

 今期(16年5月20日期)の連結業績予想(7月3日公表)は、売上高が前期比0.1%増の453億円、営業利益が同3.9%増の23億10百万円、経常利益が同2.7%増の32億20百万円、そして純利益が同2.0%増の18億80百万円としている。配当予想は前期と同額の年間52円(第2四半期末26円、期末26円)で予想配当性向は24.6%となる。

 17年4月の消費税の追加増税、長期化する円安に伴う原材料価格の上昇など厳しい事業環境が続くとして、微増収微増益の会社予想だ。ただし14年4月の消費増税の影響一巡、営業拠点網拡充や新規得意先開拓の効果、小口多数販売の強化、得意先営業活動支援サービスの体制・機能強化など、グループ総合力を活かした付加価値サービス拡充の効果での増収増益が期待される。

■株価は指標面の割安感を見直して反発期待

 14年8月11日発表の自己株式取得(取得株式総数の上限60万株、取得価額総額の上限18億円、取得期間14年8月18日~15年7月31日)については、自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)によって7月10日に8900株(1株当たり2497円)を取得して、7月10日時点の累計取得株式総数は8万7500株、取得価額総額は2億4153万6600円となった。

 株価の動きを見ると、全般地合い悪化の影響を受けて安値圏2600円近辺でのモミ合いから下放れ、7月9日と10日に2497円、28日に2470円まで調整する場面があったが、29日は2540円まで戻した。影響は一時的のようだ。

 7月29日の終値2540円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS211円53銭で算出)は12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間52円で算出)は2.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3671円89銭で算出)は0.7倍近辺である。

 週足チャートで見ると戻りを押さえていた13週移動平均線突破の動きを強めている。調整が一巡したようだ。16年5月期は増益予想であり、指標面の割安感を見直して反発展開が期待される。

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