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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】マルマエは08年以来の高値水準、初配当実施や収益改善基調を評価
- 2015/7/30 09:11
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
マルマエ<6264>(東マ)は半導体製造装置などに使用される部品の精密切削加工事業を展開している。株価は第3四半期累計(9月~5月)の大幅増益、初配当実施と株式3分割の発表を好感し、7月22日の2590円まで急伸した。08年以来の高値水準だ。目先的には過熱感を残しているが、15年8月期業績予想は3回目の増額の可能性もあり、収益改善基調を評価して上値追いの展開だろう。
■真空部品や電極などの精密加工事業を展開
半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工事業を展開し、新規分野として光学装置分野なども強化している。
15年1月に事業再生計画(11年7月に事業再生ADR成立)の終結を発表した。16年10月末日の最終弁済をもって終了する計画だったが、強固な収益体質の確立と財務体質の改善に目途がついたため、終了期間を前倒しして15年1月末日をもって事業再生計画を終結した。そして債務の株式化を行ったA種優先株式については5月29日に取得(246株、1株につき100万円)して消却した。
■15年8月期は大幅増益予想で3回目の増額の可能性
7月14日に発表した今期(15年8月期)第3四半期累計(9月~5月)の非連結業績は、売上高が前年同期比33.2%増の15億82百万円で、営業利益が同49.9%増の3億11百万円、経常利益が同53.3%増の3億04百万円、純利益が同51.9%増の3億16百万円だった。
半導体製造装置関連を中心に受注が好調に推移した。増収効果と生産性向上効果で大幅営業増益だった。なお特別利益に「中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業に係る補助金」15百万円を計上した。
四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(9月~11月)3億84百万円、第2四半期(12月~2月)6億39百万円、第3四半期(3月~5月)5億59百万円、営業利益は第1四半期41百万円、第2四半期1億30百万円、第3四半期1億40百万で、収益改善基調を鮮明にしている。
通期の非連結業績予想(6月5日に2回目の増額修正)は、売上高が前期比32.5%増の21億円、営業利益が同49.5%増の4億円、経常利益が同50.6%増の3億85百万円、純利益が同30.6%増の3億95百万円としている。半導体製造装置関連やFPD関連の受注が高水準だ。
15年6月度の月次受注残高(速報値)を見ると、半導体分野が1億71百万円(前月比8.7%増、前年同月比93.0%増)、FPD分野が1億87百万円(前月比2.0%減、前年同月比163.3%増)、その他分野が26百万円(前月比40.3%増、前年同月比57.0%減)、合計が3億86百万円(前月比4.8%増、前年同月比73.5%増)だった。
半導体分野とFPD分野が高水準に推移し、増収効果や生産性向上効果で売上原価率が一段と改善しそうだ。そして通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高75.3%、営業利益77.8%、経常利益79.0%、純利益80.0%と高水準である。収益改善基調であり、15年8月期業績予想は3回目の増額の可能性があるだろう。
全般的には半導体製造装置分野の真空パーツを中心に新規部品の受注が拡大基調であり、生産力の増強が課題としている。こうした環境のなか、社内生産力の増強および生産性の改善に加えて、協力企業との取引拡大により生産能力を高めることで出荷拡大を図るとしている。
■15年8月期に初配当を実施
15年8月期の配当予想について、従来は無配予想としていたが、7月14日に96年のマザーズ上場以来初めてとなる配当の実施を発表した。
15年1月末日をもって事業再生計画を終了したことや、第3四半期までの利益状況を鑑みて年間36円(期末一括)の配当を実施する。予想配当性向は16.0%となる。
■株価は08年以来の高値水準
なお7月14日に株式分割を発表した。15年8月31日を基準日(効力発生日9月1日)として1株を3株に分割する。
株価の動きを見ると、第3四半期累計の大幅増益、初配当実施と株式3分割の発表を好感し、1500円近辺での短期モミ合いから上放れて7月22日の2590円まで急伸した。08年以来の高値水準だ。目先的な過熱感を強めたが、その後も高値圏で堅調に推移している。
7月29日の終値2370円を指標面(株式3分割前)で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS224円95銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間36円で算出)は1.5%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS86円03銭で算出)は28倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線に対するプラス乖離率が拡大して目先的な過熱感を残しているが、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって中段保ち合いから上放れた。強基調の形であり需給面の不安も小さい。15年8月期業績予想は3回目の増額の可能性もあり、収益改善基調を評価して上値追いの展開だろう。