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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アドアーズは調整の最終局面、意欲的な中期経営計画を評価
- 2015/7/30 09:01
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アドアーズ<4712>(JQS)はアミューズメント事業や不動産事業を展開し、介護事業にも参入した。株価は安値圏130円近辺でのモミ合い展開から下放れ、全般地合い悪化も影響して7月9日の年初来安値105円まで下押す場面があった。ただしその後は切り返しの動きを強めている。調整の最終局面だろう。16年3月期は介護事業の投資・費用が先行して減益予想だが、意欲的な中期経営計画を評価して反発展開が期待される。
■Jトラストグループでアミューズメント事業が主力、介護事業にも参入
13年2月に、親会社Jトラスト<8508>グループで戸建て住宅分譲や商業建築など展開するキーノート、アミューズメント施設向け景品製作・販売など展開するブレイクを子会社化し、Jトラストグループ内で建築・不動産事業とアミューズメント事業の中核を担う位置付けとなった。
アミューズメント事業では利益率の高いメダルゲームジャンルを注力分野として収益改善を目指している。新業態開発やゲーム景品製造も強化し、当社独自のアミューズメント機器の開発も視野に入れている。不動産事業では一戸建分譲事業のエリア拡大や不動産アセット部門の強化を推進している。
14年9月には韓国JBアミューズメント(JBA)の第三者割当増資を引き受けて第2位株主となった。韓国・済州新羅ホテルでカジノ事業を行うマジェスターを含むJBAグループと協力関係を構築し、アミューズメント事業におけるシナジー創出や事業拡大を目指す方針だ。
14年11月には通所介護事業の日本介護福祉グループを連結子会社化して介護事業に参入した。日本介護福祉グループはデイサービス施設運営の最大手で、主に「茶話本舗」ブランドで日本全国797拠点(通所介護直営45事業所、通所介護FC710事業所など)を展開している。
15年4月には、フォーサイドエンタテイメントが運営するスマートフォン向けソーシャルコミュニケーションアプリ「Eyeland」による「地域コミュニケーション起点の店舗送客O2Oマーケティング」サービスの提供を開始すると発表した。当社が運営する店舗情報を「Eyeland」内の地図上に表示させ、当社のリアル店舗への送客を目指すとしている。
■16年3月期は介護事業の費用先行で減益予想だが、特別利益計上を発表
15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)56億85百万円、第2四半期(7月~9月)60億97百万円、第3四半期(10月~12月)61億04百万円、第4四半期(1月~3月)55億13百万円、営業利益は第1四半期3億60百万円、第2四半期3億52百万円、第3四半期1億10百万円、第4四半期1億58百万円の赤字だった。
また15年3月期の配当性向は60.4%だった。ROEは14年3月期比4.8ポイント低下して4.1%、自己資本比率は同5.4ポイント低下して47.8%となった。
今期(16年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期比6.8%増の250億円だが、営業利益が同9.7%減の6億円、経常利益が同9.4%減の5億円、純利益が同34.9%減の3億円としている。配当予想は前期と同額の年間2円(期末一括)で、予想配当性向は92.8%となる。
日本介護福祉グループの通期連結も寄与して増収となり、アミューズメント事業の収益率も向上するが、介護事業での居宅支援事業所の開設などに伴う設備投資および運営投資の費用が先行するため減益見込みとしている。
なお7月16日に固定資産譲渡と特別利益計上を発表した。アミューズメント事業において保有する固定資産(東京都豊島区の店舗および事務所)を譲渡し、16年3月期第2四半期において固定資産売却益2億円を計上する。通期業績への影響については精査中であり、業績予想の修正が必要と判断される場合は速やかに公表するとしている。
アミューズメント施設の月次既存店売上高(前年比、速報値)の動向を見ると、15年4月97.6%、5月99.5%、6月94.9%、第1四半期累計97.4%だった。6月はクレーンゲームジャンルが好調を維持したが、メダルジャンル、その他ゲームジャンルが軟調だった。なお6月から子会社ブレイクが運営する2店舗を集計に含めたため、開示済みの4月と5月の数値を修正した。
■中期経営計画で18年3月期ROE8%目標
15年5月に発表した中期経営計画では、目標数値として最終年度の18年3月期売上高330億円(アミューズメント事業148億円、不動産事業・商業建築事業80億円、介護事業102億円)、営業利益17億円、経常利益14億円、純利益9億50百万円、ROE8%を掲げた。さらに20年3月期には売上高410億円、営業利益29億円、経常利益23億円、純利益14億円を目指すとしている。
基本戦略として、アミューズメント事業ではアニメコンテンツなどの活用・開発による総合アミューズメント事業の確立、Jトラストの活動基盤を活かしたアミューズメント施設の海外展開、不動産事業・商業建築事業ではJトラストの事業基盤を活かした日本基準住宅などの東南アジア展開、介護事業では施設利用者の拡大と介護人材の獲得・育成による事業基盤確立、一体型介護サービスの展開を推進する。グループ連携強化も奏功して中期的に収益改善基調が期待される。
■株価は調整の最終局面
株価の動きを見ると、安値圏130円近辺でのモミ合い展開から下放れの形となり、全般地合い悪化の影響も受けて7月9日の年初来安値105円まで下押す場面があった。ただしその後は切り返しの動きを強めている。調整の最終局面だろう。
7月29日の終値115円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS2円15銭で算出)は53倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間2円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS82円22銭)は1.4倍近辺である。
週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形となってモミ合いから下放れたが、安値圏で陽線を立てて切り返しの動きも強めている。16年3月期は介護事業の投資・費用が先行して減益予想だが、意欲的な中期経営計画を評価して反発展開が期待される。