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- 【アナリスト水田雅展の銘柄分析】日本アジアグループは調整一巡感、16年3月期業績増額余地や復配の可能性も注目点
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】日本アジアグループは調整一巡感、16年3月期業績増額余地や復配の可能性も注目点
- 2015/7/30 08:49
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
日本アジアグループ<3751>(東1)は社会インフラ・環境・エネルギー関連事業の成長戦略を強化している。株価は東証1部への市場変更を好感した5月の年初来高値701円から反落して調整局面の形だ。ただし調整一巡感も強めている。16年3月期は減益予想だが増額余地があり、16年3月期復配の可能性も注目点だ。切り返し展開だろう。
■社会インフラ・環境・エネルギー関連に経営資源を集中
社会インフラ・環境・エネルギー関連にグループ経営資源を集中し、空間情報コンサルティング事業(国際航業の社会インフラ関連事業)、グリーンプロパティ事業(土壌・地下水保全コンサルティング、戸建住宅・不動産、太陽光発電施設の設計施工)、グリーンエネルギー事業(太陽光発電所の開発・運営・売電事業)、ファイナンシャルサービス事業(日本アジア証券などの証券業)を展開している。防災・減災・社会インフラ更新関連、環境関連、メガソーラー関連、再生可能エネルギー関連などテーマ性は多彩である。
再生可能エネルギー関連事業に関して、14年10月に子会社JAG国際エナジーが、東京都が創設する官民連携再生可能エネルギーファンドの運営事業者に選定された。そして15年4月には第1号案件として、当社グループが開発したメガソーラー発電所「足柄大井ソーラーウェイ」と「行田ソーラーウェイ」を運営する合同会社に投融資を実行した。
14年12月にはシーベルインターナショナル(東京都)の経営権を取得した。アジア・アフリカ各国に事業展開している同社の流水式超低落差型マイクロ水力発電システム(商品名:ストリーム)を活用して、マイクロ水力発電事業を再生可能エネルギー関連事業の第2の柱に育成する方針だ。
そして15年3月には、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業」の公募に対して、インドにおける「火力発電所放流渠を活用したマイクロ水力並列配置発電システム技術実証事業」が採択された。また小水力発電プロジェクトに関しては、国際連合工業開発機構(UNIDO)と「アフリカエチオピアプロジェクト」および「アフリカケニアプロジェクト」に関して正式契約を締結した。
7月1日には流水式小水力発電装置「スモールハイドロストリーム」が、湖北土地改良区(滋賀県長浜市)が管理する中央幹線用水路において採用されたと発表している。FIT(固定価格買取制度)を活用した民間企業による小水力発電事業(100kw以下)において「スモールハイドロストリーム」の採用は初となる。
国内の太陽光発電事業に関する進捗状況は、15年3月期末時点で売電事業の稼働・竣工が58.8MW、案件確保が66.8MW、交渉中が128.6MWの合計254.2MW、開発・運営受託事業の稼働・竣工が72.0MW、案件確保が52.4MW、交渉中が6.1MWの合計130.5MW、総合計384.7MWである。
なお7月10日には大分県竹田市の「竹田・柏原ソーラーウェイ」太陽光発電所が完成、7月24日には北海道釧路市の「エコパワーJP/釧路音別太陽光発電所」が竣工したと発表している。
■16年3月期は減益の会社予想だが増額余地
なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)124億60百万円、第2四半期(7月~9月)176億00百万円、第3四半期(10月~12月)181億62百万円、第4四半期(1月~3月)276億81百万円、営業利益は第1四半期1億45百万円、第2四半期11億47百万円、第3四半期10億07百万円、第4四半期30億53百万円だった。
空間情報コンサルティング事業およびグリーンプロパティ事業は第4四半期の構成比が高い収益構造である。そして営業損益は改善基調だ。また15年3月期のROEは14年3月期比3.3ポイント上昇して15.6%、自己資本比率は同1.9ポイント上昇して21.7%となった。
今期(16年3月期)の連結業績予想(5月14日公表)は、売上高が前期比4.1%増の790億円、営業利益が同21.5%減の42億円、経常利益が同33.1%減の25億円、そして純利益が同33.1%減の25億円としている。配当予想については未定としているが、具体的な配当金額について決定後速やかに公表するとしている。
セグメント別営業利益(全社費用等調整前)の計画は、空間情報コンサルティング事業が同24.9%増の16億円、グリーンプロパティ事業が同2.5%増の12億円、グリーンエネルギー事業が同50.3%減の3億円、ファイナンシャルサービス事業が同46.3%減の14億円としている。
株式市場の影響を受けるファイナンシャルサービス事業、および連結範囲変更の影響を受けるグリーンエネルギー事業で大幅減益を見込んでいるため全体として減益予想だ。しかし空間情報コンサルティング事業の収益が改善基調であり、グリーンプロパティ事業も太陽光発電所開発関連は拡大基調である。株式市場が引き続き活況であることも考慮すれば増額余地があるだろう。
さらにグリーンエネルギー事業も来期(17年3月期)以降に大型案件が寄与する見込みであり、収益は改善基調だろう。
■中期経営計画では非金融事業の成長戦略を強化
中期計画では目標値に17年度売上高980億円、営業利益77億円、そして20年度売上高1500億円(G空間×ICT700億円、エネルギー分野600億円、金融/新規ビジネス200億円)、営業利益120億円を掲げている。
グループ組織再編を実施して成長の加速と株主還元の早期化を図る方針だ。特に「G空間×ICT」取り組み強化や、エネルギーマネジメント分野における新サービス開始などで、非金融事業の成長戦略を強化する。ファイナンシャルサービス事業では預かり資産の増大を優先する戦略を推進する。また「グリーン・コミュニティ」化プロジェクトを推進する。
なお5月14日に「資本準備金の額の減少および剰余金処分に関するお知らせ」を発表した。今後の機動的かつ効率的な経営および株主還元施策を可能とすることを目的として、単体の資本準備金の額を減少して欠損の填補を行う。発行済株式総数は変更せずに資本準備金の額のみを減少するものであり、総資産の額に変動はなく、1株あたりの純資産額に変更は生じない。
この処理によって株主還元施策を行うことが可能な状態になるため、一部中止(延期)していたグループ組織の再編を行う。(1)当社が中間持株会社2社(日本アジアホールディングスおよび国際航業ホールディングス)を吸収合併することで中間持株会社体制を解消する、(2)太陽光発電事業にかかる子会社事業を統合する、(3)日本アジア証券にファイナンシャルサービス部門の子会社を集約してファイナンシャルサービス事業の強化を図る。
■株価は調整一巡して反発の動き
株価の動き(5月25日付で東証1部に市場変更)を見ると、東証1部への市場変更を好感した5月の年初来高値701円から反落して調整局面の形だ。ただし大きく下押す動きは見られず調整一巡感も強めている。
7月29日の終値570円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS94円62銭で算出)は6倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1000円90銭で算出)は0.6倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線が戻りを押さえる形だが、週足チャートで見ると26週移動平均線が下値を支えている。16年3月期は減益予想だが増額余地があり、16年3月期復配の可能性も注目点だ。切り返し展開だろう。