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インテージホールディングスは戻り歩調、23年6月期2桁増益予想
- 2022/9/14 09:15
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インテージホールディングス<4326>(東証プライム)は、市場調査事業を主力としてシステムソリューション分野や医薬情報分野にも展開し、積極的な戦略投資を継続している。22年8月には岡山大学と共同でAI創薬プラットフォームを活用した新薬開発の共同研究を開始した。23年6月期はマーケティング支援(消費財・サービス)が牽引して2桁増益・連続増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は7月の年初来安値圏から急反発して戻り歩調となった。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■国内首位の市場調査が主力
子会社インテージのSCI(全国個人消費者パネル調査)やi-SSP(インテージシングルソースパネル)など、国内首位・世界10位(GRBN 2018 Global Top25 Report)の市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも展開している。
セグメント区分は消費財・サービス分野のマーケティング支援、ヘルスケア分野のマーケティング支援、ITソリューション分野のビジネスインテリジェンスとしている。22年6月期のセグメント別構成比は売上高が消費財・サービス分野のマーケティング支援64%、ヘルスケア分野のマーケティング支援24%、ビジネスインテリジェンス12%、営業利益が消費財・サービス分野のマーケティング支援49%、ヘルスケア分野のマーケティング支援47%、ビジネスインテリジェンス3%だった。
消費財・サービス分野のマーケティング支援では、データサービスやカスタムリサーチなどを展開している。独自収集した各種パネル調査やカスタムリサーチから得られたデータを基に、高度なリサーチ技術やデータ解析力を駆使して、消費財メーカーを中心に企業のマーケティング活動をトータルサポートしている。主な事業会社はインテージ、インテージリサーチ、海外子会社などである。
21年5月にはリサーチ・アンド・イノベーション(RNI)を子会社化、21年7月にはインテージがIXTを吸収合併、21年8月にはインテージ・ベトナムがベトナム国家大学ハノイ校日越大学(ハノイ)と産学連携の基本協定を締結した。
21年10月には、アジア地域で展開する海外インターネット調査パネル「Asian Panel」が、21年8月に新たな対象エリアとしてインドを追加し、11の国・地域を対象としてモニター数が1100万人を突破して業界最大級になったと発表している。
21年11月には、子会社インテージとインティメート・マージャー<7072>の業務提携(21年10月)を強固にすることを目的として、インティメート・マージャーと資本提携(インティメート・マージャーの普通株式の一部を既存株主から取得予定)すると発表した。
ヘルスケア分野のマーケティング支援では、一般用医薬品・医療用医薬品の市場調査、製薬企業からの委託によるデータマネジメント・解析業務、医薬品開発をサポートするCRO業務などを展開している。事業会社はインテージヘルスケアの直下に協和企画、インテージリアルワールド(医療情報総合研究所が21年7月1日付で社名変更)、プラメド、Plamed Koreaの4社を置く体制としている。
22年8月には、インテージヘルスケアと岡山大学が、悪性腫瘍をはじめとする難治性疾患治療薬開発プロジェクトとして、AI創薬プラットフォーム「Deep Quartet(ディープカルテット)を活用した新薬開発の共同研究を開始した。
ビジネスインテリジェンスでは、ソフトウェア開発やシステム構築・運用などを展開している。事業会社はインテージテクノスフィア、ビルドシステム、エヌ・エス・ケイなどである。
■次世代SRIサービス「SRI+」を核に総合力向上
第13次中期経営計画では目標値に23年6月期売上高625億円、営業利益50億円、営業利益率8.0%を掲げている。目指すべき姿を「データを核として、顧客ビジネス課題解決や意思決定に深く関与・伴走し、ビジネス創造と変革に寄与できる存在」として、次世代成長ドライバー確立などグループ間の連携による対応領域の創造と拡張を推進している。またデジタル環境の変化に対応するため、積極的な戦略投資やM&Aも継続して実施する方針だ。
資本政策については、資本効率を重視し、最終利益を全額、成長投資と株主還元に振り向ける方針としている。配当は連結配当性向40%、DOE(自己資本配当率)4.5%以上を目標としている。自己株式取得も機動的に対応する。
消費財・サービス分野のマーケティング支援では、次世代SRI(全国小売店パネル調査)サービスの「SRI+」(ECデータ含む)を21年1月にリリースした。今後は「SRI+」を核としてソリューションおよびパートナー連携による総合力向上を図り、収益拡大につなげる方針だ。また定量的な行動観察を可能にした動画解析プラットフォーム「Label Note(仮)」のリリースに向けて準備中である。さらに子会社リサーチ・アンド・イノベーション(RNI)が持つ特許を活用し、CXマーケティングプラットフォーム(仮称、CXMPF)の開発を推進する。
SBIインベストメントと共同設立のINTAGE Open Innovation Fundは、パーソナルAI「al+」開発のオルツ、WEBリサーチのリサーチ・アンド・イノベーション、IoTデータ流通プラットフォームの米EverySense、訪日外国人向けショッピングサポートアプリ「Payke」のPaykeなどに投資している。22年1月現在の投資実績は23社、合計約24.8億円となっている。
また、ESG経営・SDGsへの取り組みの一例として、日本赤十字社の「ACTION!防災・減災プロジェクト」に参画している。さらに、経済産業省と日本健康会議が主催する健康経営優良法人認定制度において「健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)」に認定された。
■23年6月期2桁増益・連続増配予想
23年6月期連結業績予想は、売上高が22年6月期比6.3%増の640億円、営業利益が11.8%増の52億円、経常利益が13.1%増の56億円、親会社株主帰属当期純利益が17.0%増の40億円としている。配当予想は22年6月期比4円増配の42円(期末一括)としている。連続増配予想である。
マーケティング支援(消費財・サービス)が牽引して2桁増益・連続増配予想としている。セグメント別計画は、消費財・サービス分野のマーケティング支援の売上高が7.3%増の413億円で営業利益が8.7%増の25億円、ヘルスケア分野のマーケティング支援の売上高が5.1%増の153億円で営業利益が9.2%増の24億円、ITソリューション分野のビジネスインテリジェンスの売上高が3.1%増の74億円で営業利益が198.7%増の3億円としている。
消費財・サービス分野のマーケティング支援では、既存事業の着実な成長と投資成果の積み上げを推進する。引き続きCXMPFの開発とSCIの刷新に約6.5億円の投資を予定している。ヘルスケア分野のマーケティング支援では、リサーチ事業の復調やCRO事業の底打ちを見込んでいる。成長投資は約1億円を予定している。ビジネスインテリジェンスでは、旅行業界BPOはコロナ禍影響が継続するが、DXセンター機能とローコード開発の拡大を見込んでいる。
次期中計に向けた注力ポイントとしては、消費財・サービス分野のマーケティング支援におけるCXMPFの開発、ヘルスケア分野のマーケティング支援におけるビジネス領域の拡大、ビジネスインテリジェンスにおけるDX事業の成長などを推進する方針だ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株主優待は毎年12月末の株主対象
株主優待制度は、毎年12月31日現在の1単元(100株)以上保有株主を対象として実施(詳細は会社HP参照)している。
■株価は戻り歩調
8月5日発表の自己株式取得(上限160万株・20億円、取得期間22年8月8日~23年2月28日)については、22年8月31日時点の累計取得株式総数が8万6900株となっている。
株価は7月の年初来安値圏から急反発して戻り歩調となった。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。9月13日の終値は1730円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS101円93銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の42円で算出)は約2.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS776円32銭で算出)は約2.2倍、時価総額は約699億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)