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マルマエは調整一巡、22年8月期大幅増収増益予想、23年8月期も収益拡大基調
- 2022/9/27 10:12
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
マルマエ<6264>(東証プライム)は半導体・FPD製造装置向け真空部品などの精密切削加工を展開している。中期事業計画「Innovatuin2025」では成長戦略として、消耗品拡大による受注安定化、市場シェア拡大に向けた能力増強投資、ESG経営の推進を打ち出している。22年8月期は受注が好調に推移して大幅増収増益・過去最高更新予想としている。需要は高水準であり、23年8月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は反発力が鈍く、上値を切り下げる形となってやや軟調だが、調整一巡して出直りを期待したい。なお10月7日に22年8月期決算発表を予定している。
■半導体・FPD製造装置向けの精密切削加工およびEBWを展開
半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工、および電子ビーム溶接(EBW)を展開している。22年8月期第2四半期累計の売上高構成比は半導体分野が76%、FPD分野が20%、その他分野(半導体製造装置分野など)が2%だった。
半導体・FPD製造装置の真空パーツを作るノウハウ、同業他社に比べて高い生産性・低コスト、急変動する半導体・FPD市場に柔軟に対応できる設備力、ワンストップ受注に対応する多工程生産能力などを強みとしている。
また、作業補助・介護ロボットの開発(鹿児島大学と共同研究)では、18年7月第二種医療機器製造販売業の許可を取得し、医療機器製造業の登録を行った。
■シェア拡大やESG経営を推進
長期ビジョンとして「幅広い分野の総合メーカーを支える部品加工のリーディングカンパニー」を目指し、22年6月に公表した中期事業計画「Innovatuin2025」では、成長戦略として消耗品拡大による受注安定化、市場シェア拡大に向けた能力増強投資、ESG経営の推進、目標数値として最終年度25年8月期売上高140億円、営業利益42億円、資産ベースROIC23%以上、負債ベースROIC19%以上、配当性向35%以上、年間最低配当額20円(最終損益が赤字となる場合は見直し)を掲げている。設備投資計画(CFベース)は、増産投資およびカーボンニュートラルに向けた太陽光発電投資を中心に23年8月期20億円、24年8月期20億円、25年8月期12億円としている。
売上拡大戦略として、22年8月期実績見込(全社売上高83億円)に対して、半導体分野の既存顧客からの受注拡大で+29.5億円、新規顧客からの量産受注拡大で+20億円、FPD分野・その他分野で+7.5億円を目指す。半導体分野は引き続き需要が拡大基調である。FPD分野は23年末までテレビ向け液晶G10.5関連の設備投資が停滞する見込みだが、EBW活用によるシェア拡大や有機ELのパネル大型化が寄与する見込みだ。なお消耗品の売上構成比は22年8月期上期実績で半導体分野が68.6%、FPD分野が17.3%となっている。更なる消耗品受注の拡大で受注安定化を狙う方針だ。
また中長期的な取り組みとしてESG経営を推進する。自社の再生可能エネルギー活用によってCO2削減を推進し、2030年に50%削減、2050年に100%削減を目指す。さらに人材力最大化に向けて、6つの向上施策(多様化の推進、人材戦略の推進、誰もが働ける職場環境の整備、人事制度改善、育成プラン作成、育成計画推進)を推進する方針だ。なお21年12月には気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同を表明した。また22年3月には統合報告書を発表している。
■22年8月期大幅増収増益予想、23年8月期も収益拡大基調
22年8月期の業績予想(非連結、収益認識会計基準適用だが影響軽微、前期比増減率は適用前の21年8月期実績との単純比較、4月15日に上方修正)は、売上高が21年8月期比54.6%増の83億円、営業利益が90.5%増の23億円、経常利益が90.5%増の22億86百万円、当期純利益が84.7%増の16億67百万円としている。配当予想(2月9日に第2四半期末4円、期末4円、合計8円上方修正)は21年8月期比20円増配の44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。
受注が好調に推移して大幅増収増益・過去最高更新予想である。分野別売上高の計画は、半導体分野が43.6%増の60億60百万円、FPD分野が79.0%増の15億円、その他分野が4.4倍の7億40百万円としている。コスト面では、市場シェア拡大を目指して積極的な設備投資や人材投資を継続し、さらに外注費が増加するが、大幅増収効果や工場稼働率向上による製造原価率低減効果などで吸収する見込みだ。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比68.6%増の60億97百万円、営業利益が2.2倍の17億42百万円、経常利益が2.3倍の17億44百万円、四半期純利益が2.2倍の12億48百万円だった。受注が好調に推移し、先行投資を吸収して大幅増収増益だった。なお収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高と売上原価がそれぞれ40百万円減少しているが、影響は軽微である。
全社受注高は68.9%増の72億18百万円(半導体分野が59.2%増の52億88百万円、FPD分野が64.0%増の12億74百万円、その他分野が3.8倍の6億54百万円)で、分野別売上高は半導体分野が55.4%増の45億38百万円、FPD分野が2.6倍の11億77百万円、その他分野が38.5%増の2億12百万円だった。半導体分野は良好な市場環境を背景に最高水準が継続し、FPD分野は市場環境改善とシェア拡大が牽引した。その他分野は太陽電池製造装置部品の受注が増加した。
コスト面では、売上増加に伴って材料費、外注加工費、労務費が増加、設備投資に伴って減価償却費が増加し、さらに先行投資で販管費が増加(研究開発費、支払手数料、広告宣伝費などが増加)したが、大幅増収効果や稼働率上昇効果で吸収した。売上総利益率は4.5ポイント上昇して38.0%となった。販管費は32.7%増加したが、販管費比率は2.6ポイント低下して9.4%となった。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が19億38百万円で営業利益が5億95百万円、第2四半期は売上高が20億24百万円で営業利益が5億81百万円、第3四半期は売上高が21億35百万円で営業利益が5億67百万円だった。第2四半期と第3四半期の営業利益は販管費の増加で伸び悩む形となっているが、高水準を継続している。
通期予想は据え置いている。第3四半期累計の進捗率は売上高が73.5%、営業利益が75.7%、経常利益が76.3%、当期純利益が74.9%だった。四半期別に見ると、第2四半期と第3四半期の営業利益が販管費の増加で伸び悩む形となったが、累計ベースでの通期予想に対する進捗率は順調である。需要は高水準であり、23年8月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は毎年8月末時点で6ヶ月以上継続保有株主対象
株主優待制度は、毎年8月末日現在で6ヶ月以上継続1単元(100株)以上保有株主を対象として、クオカードを贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は調整一巡
株価は反発力が鈍く、上値を切り下げる形となってやや軟調だが、調整一巡して出直りを期待したい。9月26日の終値は1833円、前期推定PER(会社予想のEPS130円17銭で算出)は約14倍、前期推定配当利回り(会社予想44円で算出)は約2.4%、前々期実績PBR(前々期実績のBPS494円20銭で算出)は約3.7倍、そして時価総額は約239億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)