【どう見るこの株】ブラスは上値試す、23年7月期(連結決算に移行)は実質大幅営業増益予想

どう見るこの株

 ブラス<2424>(東証プライム、名証プレミア)は、完全貸切ゲストハウス型のウエディング事業を東海地方中心に展開している。22年7月期はコロナ禍の影響が和らいで大幅増収増益だった。各利益は過去最高だった。23年7月期(連結決算に移行)も施行件数の増加などで実質大幅営業増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は9月13日の決算発表前に年初来高値を更新する場面があったが、決算発表後は地合い悪化も影響して反落の形となった。ただし利益確定売り一巡感を強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■完全貸切ゲストハウス型のウエディング事業を展開

 完全貸切型ゲストハウスで挙式・披露宴に関する企画・運営を行うウエディング事業を、東海地方中心に愛知・岐阜・三重・静岡・大阪・京都・千葉の各エリアに展開している。

 すべての店舗が「1チャペル、1パーティ会場、1オープンキッチン」で、ホームパーティのような「完全プライベート空間」スタイルを特徴としている。さらに、新規来店・打ち合わせから結婚式当日の対応まで1人のウエディングプランナーが担当する「ウエディングプランナー一貫制」を採用していることや、結婚式当日の料理を「オープンキッチンスタイル」で提供していることも特徴である。

 また、同社結婚式場で挙式披露宴を行う顧客のみに提供するドレス事業「B.DRESSER(ビードレッセ)」も展開し、自社ドレスのシェア拡大を推進している。

 22年7月期末時点の店舗数は、直営結婚式場が23店舗(愛知県10店舗、静岡県5店舗、三重県3店舗、大阪府2店舗、岐阜県1店舗、千葉県1店舗、京都府1店舗)、衣装店が5店舗、レストラン他が6店舗である。1パーティ会場で結婚式場としては小型店舗のため、用地確保の難しい大都市から人口が比較的少ない郊外まで出店が可能となり、地域の規模・特性に合わせて事業展開している。

 基本戦略として、顧客満足度の高い最高の結婚式を創ることで、良質な口コミや紹介による潜在顧客拡大や隣接都市へのドミナント出店を推進している。広告宣伝費の抑制にもつながるメリットがある。なお、2022年オリコン顧客満足度調査ハウスウエディングのウエディングプランナー&料理において、5年連続で全国1位を獲得している。

 22年5月には「パラリンアート」とオフィシャルパートナー契約を締結した。9月27日には、フォトウエディングスタジオ「スタジオアロウズ」を運営するアロウブライト(静岡県浜松市)の全株式を取得して連結子会社化すると発表した。

■27年7月期までにプライム市場上場維持基準適合を目指す

 中期的な経営目標数値として、27年7月期の店舗数33店舗、施行件数4950件、売上高198億円、経常利益19億80百万円、当期純利益11億90百万円、流通株式時価総額102億50百万円を掲げている。

 成長戦略として、ドミナント戦略に沿った継続的な新規出店では年間2店舗程度の新規出店の着実な遂行、関東エリアでの展開加速によるドミナント形成、収益力の向上では挙式披露宴の単価向上に向けたドレス事業の展開加速、写真・映像商品の内製化率向上、広告宣伝費を中心とする販管費の抑制などを推進する。

 なお22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編に伴ってプライム市場を選択し、上場維持基準適合に向けた計画書を開示している。中期的な経営数値目標の達成、IR活動の積極的な推進、サステナブル経営への取り組み、コーポレート・ガバナンスの一層の充実など、27年7月期までに上場維持基準を充たすために各種取り組みを推進する。

■23年7月期実質大幅営業増益予想

 22年7月期の業績(非連結)は、売上高が21年7月期比22.2%増の114億15百万円、営業利益が2.7倍の8億74百万円、経常利益が2.2倍の11億29百万円、当期純利益が4.3倍の7億34百万円だった。配当は復配で4円(期末一括)とした。

 各利益は計画を上回って着地し、過去最高を更新した。コロナ禍の影響が和らいで受注・施行件数が回復基調となって大幅増収、施行単価上昇による原価率改善も寄与して大幅営業増益だった。営業外収益では新型コロナウイルス感染症に係る各種助成金を計上した。特別損失では関係会社株式評価損を計上したが、前期計上の減損損失が一巡した。また法人税等調整額(益)を計上した。

 施行件数は12.8%増の2902件、受注件数は34.5%増の3163件、受注残高は4.9%増の2634件、平均単価は8.7%増の3813千円だった。施行件数、受注件数は過去最高だった。平均単価はコロナ禍前のピーク(20年7月期3872千円)に接近した。

 23年7月期の連結業績予想(連結決算に移行のため前期比増減率は非記載)は、売上高が132億31百万円、営業利益が11億15百万円、経常利益が11億35百万円、親会社株主帰属当期純利益が7億35百万円としている。22年7月期の非連結業績との単純比較で見ると、売上高は15.9%増収、営業利益は27.6%増益、経常利益は0.5%増益、親会社株主帰属当期純利益が0.1%増益となる。なお配当予想は未定としている。

 経常利益と親会社株主帰属当期純利益は営業外収益での新型コロナウイルス感染症に係る各種助成金の剥落で小幅増益の形だが、施行件数の増加や施行単価の上昇などで実質的に大幅営業増益予想としている。施行件数は16.3%増の3375件、平均単価は0.7%増の3840千円の計画としている。持続的成長に向けて新規出店も再開する方針としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は9月13日の決算発表前に年初来高値を更新する場面があったが、決算発表後は地合い悪化も影響して反落の形となった。ただし利益確定売り一巡感を強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。9月30日の終値は887円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS135円34銭で算出)は約7倍、前期実績PBR(前期実績の非連結BPS549円04銭で算出)は約1.6倍、そして時価総額は約51億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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