【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ライドオン・エクスプレスは調整一巡して出直りの動き、6月戻り高値目指す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 フードデリバリー事業のライドオン・エクスプレス<6082>(東マ)の株価は、9月の戻り高値圏3400円近辺から全般地合い悪化が影響して10月10日と14日の2610円まで調整した。しかし足元では3000円台に戻している。調整が一巡して出直り態勢のようだ。中期成長力を評価して6月の戻り高値3590円を目指す展開だろう。なお11月14日に第2四半期累計(4月~9月)業績発表を予定している。

 宅配寿司NO.1の「銀のさら」を中心に「食」を通じた「宅配」サービスを、主に「団塊~シニア」マーケット向けに「ビッグデータ」を活用して「FC展開」する企業である。

 主力のフードデリバリー事業(調理済み食材宅配事業)では、宅配寿司「銀のさら」、宅配御膳「釜虎」、シニア向け宅配弁当「銀のお弁当」、宅配とんかつ「あげ膳」、宅配カレー「カレーキャリー」を全国展開し、提携レストラン宅配代行サービスの「ファインダイン」事業、アート創作サービスの「リトルアーティスト」事業も展開している。14年4月には「銀のさら」よりも低価格の新ブランド宅配寿司「ろくめいかん(鹿鳴館)」も開始した。

 宅配寿司・釜飯カテゴリーにおける圧倒的な市場シェアとブランド力、直営店とFC店を戦略的に配分して1拠点で複数ブランド店舗を展開していることが特徴だ。前期(14年3月期)末時点の宅配拠点数(ファインダイン事業含む)は直営84拠点とFC287拠点の合計371拠点、ブランド別店舗数は「銀のさら」365店舗および「釜虎」186店舗など直営159店舗とFC414店舗の合計573店舗である。

 中期成長に向けて14年2月には高齢者向け配食サービス「まごころ弁当」を全国展開するシルバーライフ(東京都新宿区)と業務提携し、14年9月には人気の高い海産物を中心としたネットショッピングサイト「銀のセレクション」をヤフーショッピングに開設した。またブランド品宅配買取サービス「ブランディア」を運営するデファクトスタンダード(東京都大田区)と、両社のWEB会員への特典付きメールマガジンを通じた相互送客を、14年9月末~11月末の期間で実施している。

 今期(15年3月期)の業績(非連結)見通しについては、前回予想(5月15日公表)を据え置いて売上高が前期比1.8%増の167億73百万円、営業利益が同12.8%増の10億35百万円、経常利益が同10.3%増の10億30百万円、純利益が同19.1%増の6億円、配当予想が未定としている。

 新規出店および同一拠点内での別ブランド出店による複合化推進、テレビCM・計画的DM・WEB限定キャンペーンによる販促、介護施設などへの販促活動強化、ファインダイン事業における提携レストランの新規獲得や配達効率改善などを推進する。

 第1四半期(4月~6月)は宅配事業が好調に推移して前年同期比5.0%増収、同0.4%営業増益、同3.4%経常増益、同7.9%最終増益となり、8月26日には第2四半期累計(4月~9月)見通しを増額修正した。第2四半期累計は売上高を80百万円増額して前年同期比2.6%増の78億62百万円、営業利益を1億05百万円増額して同7.0%減の3億72百万円、経常利益を97百万円増額して同8.3%減の3億62百万円、純利益を85百万円増額して同1.3%減の2億24百万円の見通しとしている。

 4月実施の消費増税の影響を見込んでいたが、販売促進活動やメニュー改訂などの施策が奏功して、既存店売上高が想定を上回って推移しているようだ。第2四半期累計を増額修正したことで、通期見通しについても増額の可能性があるだろう。

 中期成長戦略として宅配寿司「銀のさら」を核とした拠点数の増加、1拠点で複数ブランド店舗を運営する複合化戦略の推進と出店加速、ビッグデータ分析を活用した新商品・新サービスの開発、宅配代行のファインダイン事業の展開加速とブランド確立、デリバリーネットワーク戦略(BtoC型デリバリープラットフォームの構築)などを掲げている。

 フードデリバリー市場は高齢人口の増加、女性の社会進出による家庭内調理時間の減少、小規模世帯の増加などを背景として拡大基調であり、店舗の立地・面積・設備などの制約を受けにくい優位性も発揮して、中期的に収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、9月の戻り高値圏3400円近辺から全般地合い悪化が影響して反落し、10月10日と14日の2610円まで調整した。しかし足元では3000円台に戻している。24日には3075円まで上伸する場面があった。調整が一巡して出直り態勢のようだ。

 10月28日の終値3055円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS129円18銭で算出)は23~24倍近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS533円48銭で算出)は5.7倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線を回復した。また週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から切り返して13週移動平均線を回復した。調整が一巡した形であり、中期成長力を評価して6月の戻り高値3590円を目指す展開だろう。

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