トーセは上値試す、23年8月期も大幅増益予想
- 2022/10/14 08:58
- 決算発表記事情報
(決算速報)
トーセ<4728>(東証スタンダード)は10月13日の取引時間終了後に22年8月期連結業績を発表した。モバイルコンテンツ関連における運営売上減少などで全体としても減収だったが、複数の家庭用ゲームソフトの大型開発案件の進捗、前期発生した大規模改修費用の縮小、開発の効率化、新型コロナウイルス感染症に関する従業員への特別手当の減少などで大幅増益だった。そして23年8月期も家庭用ゲームソフト関連が牽引して大幅増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化も影響して上値の重い形だが、一方では下値を切り上げている。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。
■22年8月期は大幅増益で着地、23年8月期も大幅増益予想
22年8月期の連結業績(収益認識会計基準適用だが損益への影響なし)は、売上高が21年8月期比5.0%減の56億62百万円、営業利益が76.2%増の4億69百万円、経常利益が77.7%増の5億05百万円、親会社株主帰属当期純利益が109.2%増の3億10百万円だった。配当は21年8月期と同額の25円(第2四半期末12円50銭、期末12円50銭)とした。
売上面では、モバイルコンテンツ関連における運営売上の減少(21年8月期中に2タイトルが運営終了)に加えて、顧客都合による開発中止案件(スマートフォン向けゲーム案件)の発生も影響して計画を下回り減収だったが、利益面では、複数の家庭用ゲームソフトの大型開発案件の進捗、前期発生した大規模改修費用の縮小、開発の効率化による工数圧縮、新型コロナウイルス感染症に関する従業員への特別手当の減少などで大幅増益だった。なお営業外収益では為替差益28百万円を計上、特別利益では有価証券売却益19百万円を計上、特別損失では前期計上の投資有価証券評価損25百万円が剥落した。
デジタルエンタテインメント事業は、売上高が3.3%減の52億97百万円、営業利益が73.3%増の3億87百万円だった。売上高の内訳は、ゲームソフト関連が複数の家庭用ゲームソフトの大型開発案件の進捗などで4.6%増の33億41百万円、モバイルコンテンツ関連が運営売上の減少などで9.9%減の19億44百万円、パチンコ・パチスロ関連がゲームソフト関連への開発人員シフトで90.3%減の12百万円だった。
その他事業は、売上高が24.2%減の3億64百万円、営業利益が91.1%増の82百万円だった。SI事業が自社の業務システム開発にシフトしているため減収だが、家庭用カラオケ楽曲配信事業のロイヤリティ売上が高水準に推移した。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が13億70百万円で営業利益が1億20百万円、第2四半期は売上高が12億68百万円で営業利益が24百万円、第3四半期は売上高が13億67百万円で営業利益が1億20百万円、第4四半期は売上高が16億57百万円で営業利益が2億05百万円だった。
23年8月期の連結業績予想は売上高が22年8月期比10.5%増の62億56百万円、営業利益が23.6%増の5億80百万円、経常利益が18.6%増の6億円、親会社株主帰属当期純利益が13.6%増の3億52百万円としている。配当予想は22年8月期と同額の25円(第2四半期末12円50銭、期末12円50銭)としている。予想配当性向は53.8%となる。
家庭用ゲームソフト関連が牽引して大幅増益予想としている。先進的でより高度な開発技術の獲得を目指し、ハイエンド技術を要する案件や新規性のある案件を、戦略的に優先して取り組む方針だ。そのような案件以外においては適正価格での受注の強化や開発工程の標準化などにより利益率の向上を推進し、さらに従業員の人事評価向上や賃上げによってスキルアップへのモチベーション向上という好循環につなげる方針としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は上値試す
株価は地合い悪化も影響して上値の重い形だが、一方では下値を切り上げている。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。10月13日の終値は768円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS46円48銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の25円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS811円12銭で算出)は約0.9倍、そして時価総額は約60億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)