【村山貢司の気象&経済歳時記】ミャンマー訪問
- 2015/8/1 07:00
- 株式投資News
■自転車からバイク、自動車の順番通り越して一気に車社会の様相、現政権への不満の声は聞かれず
7月前半にJICA(国際協力機構)の仕事でミャンマーに行ってきた。内容はインド洋からのサイクロンによる気象災害をいかに小さくするかというもので、現地のDMH(日本の気象庁に相当)とMRTV(NHKに相当)に対して技術的なアドバイスを行うものである。
年配の方にはビルマと言った方がわかり易いかも知れないが、地名が大きく変わっており、昔の首都ラングーンはヤンゴンと改称されている。現在の首都はヤンゴンの北方にあるネピドーで、政治と経済が完全に分離されている国である。2013年の国民一人当たりのGDPはまだ2000ドル以下で、典型的な発展途上国であるが近年インドや中国の資本が投入され、急速に成長をしている国である。
一般に、途上国では経済成長に連れて、交通は自転車からバイク、自動車と徐々に変化していくが、経済の中心地ヤンゴンでは一気に車社会に突入し、ヤンゴン市内の渋滞はかなりひどいものであった。もちろん、車の多くは日本製の中古車である。欧米諸国がミャンマーに何らかの経済制裁を加える中、日本は独自路線で接しており、ミャンマーからの輸出の6%近くは日本向けになっている。
長期に渡ってミャンマーに滞在する日本人から聞いたところ、ミャンマー人は真面目で勤勉という評価が多くなっていた。この秋に実施される予定の総選挙が注目されているが、経済が比較的順調に伸びているために、現政権に対する不満は小さいようで、日本で報道されているようなアウン・サン・スー・チーの率いるNLD(国民民主連盟)の圧勝という雰囲気はなかった。(気象予報士・経済評論家)