ベステラがクレーンレール測定ロボットを開発し重量物運搬用の大型軌道式クレーンの新測定測定サービスを提供開始

■まずは全国の大型プラントで稼働する13万台の天井クレーンを対象に

 ベステラ<1433>(東証プライム)は10月14日開催の取締役会でクレーン測定ロボットの開発完了とこのロボットを用いたシステムによるクレーンレール測定サービスの提供開始について、決議した。事業開始日は2022年10月14日とした。

■検査の省力化・短期化、作業の安全性などを大幅に向上

 電力、製鉄、石油・石油化学工場などの大型プラントで稼働している全国約13万台の天井クレーンといわれる重量物運搬用の大型軌道式クレーンの検査について、従来の検査では分かりづらかった相対的な位置情報のデジタルデータの取得が可能となり、また、内蔵されている複数のカメラにより、レール継目の食い違い・レール継目の隙間・ボルト類の劣化・細かい亀裂等も正確に発見することができ、検査の省力化・短期化、検査作業の安全性などを大幅に向上させることになる。

 ベステラでは、「柔軟な発想と創造性、それを活かした技術力により地球環境に貢献します。」を理念に掲げ、つねに新しい技術を生み出し「安全を何よりも優先」し「より早く、より安く、より安全に」を合言葉に、さらに安心を加えてお客様に提供することを規範として、解体更新時期を迎える全てのプラント設備に対して安全かつ効率的な解体技術を提供し続けることで、企業価値の向上を目指している。

 今回、2026年1月期を最終年度とする中期経営計画2025の「ストラテジー4.DXの推進」に基づき、主にプラント・工場設備に設置され重量物や部品の運搬等に用いられる天井クレーンの定期的な検査にデジタルを使い効率的に検査を行う「クレーン測定ロボット」の開発が完了したことから、新たなサービスとしてクレーンレール測定サービスの提供開始について決議した。

■新たな事業の内容

 同社は、日本の産業構造において老朽化が進み解体更新時期を迎えるプラント解体市場に対して、安全かつ適切で効率的な解体技術を提供しております。また、プラント・工場設備等の3次元点群データを取得しモデリングデータを提供する「3D計測サービス」を展開することで、総合的なプラント関連サービスの提供を推進している。

 同社が事業を展開する電力、製鉄、石油・石油化学工場等の大型プラントでは、天井クレーンといわれる重量物や部品の運搬等に用いる大型の軌道式クレーンが設置されている。その数は日本国内で約13万台(2020年12月31日現在、一般社団法人日本クレーン協会参照)設置されている。

 プラント・工場設備に設置されているクレーンレールは、重量物を吊り上げた天井クレーンが頻繁に走行するため、長期の使用に伴い上下左右にうねり等の変異が生じ、放置すれば亀裂等が入り重大な事故につながる恐れがある。

 そのため、つり上げ荷重0.5t以上のクレーンは、労働安全衛生法、クレーン等安全規則により、1年及び1か月に1回の定期自主検査が義務付けられており、検査後の記録は3年間保存することとなっている。さらには、つり上げ荷重3t以上のクレーンについては性能検査義務が付さられており、クレーンを継続して使用する場合は2年毎に性能検査を受ける必要がある。

 現行のクレーン検査は、検査を行う数日間は工場の稼働を完全に停止する必要があった。また、作業員が天井クレーン上に上がって作業を行うため、作業員の安全性確保が難しい検査方法であり、安全性、効率性において有効な手段が求められている。

 クレーン検査方法のデジタル技術による効率化、工数削減、安全性の向上を目的として、クレーン測定ロボット及びクレーン測定システムを株式会社イクシス(神奈川県川崎市、代表取締役:山崎文敬・狩野高志共同代表)と共同開発し、実証実験が終了したことから、本格運用することとなった。

 今回、新たに開発した技術は、レーザー光をロボットが受信してスパン測定・レール勾配・左右レールの水平差等の3次元座標の測定を可能とした。これにより、左右レールでの3次元位置測定が可能となり、従来の検査では分かりづらかった相対的な位置情報のデジタルデータの取得が可能となった。

 また、内蔵されている複数のカメラにより、レール継目の食い違い・レール継目の隙間・ボルト類の劣化・細かい亀裂等も正確に発見することができる。これによりレール測定以外の付加価値を生み出すことが期待できる。従来時間のかかっていた測定データの帳票出力も専用ソフトウェアを開発、測定後即座にデータ化することが可能となった。

 今後、量産した本ロボット及びシステムを自社又はプラント・工場設備保有会社にサービス提供することで、検査の安全性、効率性が飛躍的に向上し、現場の安全管理、設備管理に貢献するものと考えている。さらに、イクシス社の持つ独自のAIを活用したデータ解析サービスにより、インフラの予防保全・経年劣化の将来予測につなげ、プラント解体事業並びに測定事業のDX化を推進していく。事業を担当する部門は事業本部・営業部計測課・3D計測チームが担当する。

■事業開始のための費用は第2四半期までに計上済み

 本事業のロボットの開発費用として総額3600万円を研究開発費用として支出している。当該費用は、2022年1月期までに2700万円を支出し、23年1月期第2四半期までに900万円支出しており、当該費用は計上済みとなっている。(HC)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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