決算発表一巡後は相場持ち上げる材料なくなる、個別物色がいっそう活発に=犬丸正寛の相場展望

犬丸正寛

犬丸正寛の相場展望 来週は、第1四半期(4~6月)の決算発表が後半戦となる。前半ではファナック<6954>が予想外の通期減額で短期売買筋を慌てさせたが、来週は大御所のトヨタ自動車<7203>が4日(火)に発表を予定している。

そのトヨタは2016年3月期の1株利益を会社側では715.0円(15年3月期688.0円)、四季報・夏号は756.3円と予想しているが、果たして通期予想は増額となるのか、据え置きとなるのか。まもなくはっきりするが、仮に、確率は低いだろうがファナック型になれば株価は大きく下げるだろうし、増額があったとしても四季報予想ていどだったら失望売りから下げる可能性がありそうだ。

そして、トヨタの決算が終わり主力どころの決算発表が一巡すれば、決算の他にいったい相場を引上げる材料は何があるだろうか。NYダウが急伸するだろうかといえば金利引上げ、中国経済の先行き不透明感などを抱えているため多くは期待できないだろう。

国内の政治は安保関連法案につききりで成長戦略や景気対策には力が入っていない。中小企業や地方、個人に好況感が行き渡っていないことが内閣支持率低下の一因にもなっているだけにそろそろ景気に対し目を向けるところに来ているのではなかろうか。もし、さらに支持率低下が続くようなら政権たらい回しの悪夢がよみがえり相場の基調が転換する心配がある。人質問題が解決すれば支持率は一気に回復するだろうが、ほかに支持率回復の有効な策がないだけに経済対策で気合を入れるところに来ている。オリンピックムードも冷えてしまったし、カジノ構想など地方再生も影が薄くなった印象だ。

短期筋を中心に個別物色買いは続くだろうが、中長期投資は支持率低下で政権が不安定なだけに積極的に買うことはしないだろう。結局、決算発表が一巡すれば手掛かり難から見送りムードが高まりそうである。猛暑、「休むも相場」でよいのではなかろうか。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■更新前のスーパーコンピュータの約4倍の計算能力  富士通<6702>(東証プライム)は2月21日…
  2. ■両社の資源を有効活用しSDGsに貢献  伊藤忠商事<8001>(東証プライム)グループのファミリ…
  3. ■純正ミラーと一体化し、左後方の視界を広げる  カーメイト<7297>(東証スタンダード)は、純正…
2024年3月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■投資と貯蓄の狭間で・・・  岸田内閣の「資産所得倍増プラン」は、「貯蓄から投資へ」の流れを目指し…
  2. ■「ノルム(社会規範)」解凍の序章か?植田新総裁の金融政策正常化  日本銀行の黒田東彦前総裁が、手…
  3. ■「日経半導体株指数」スタート  3月25日から「日経半導体株指数」の集計・公表がスタートする。東…
  4. ■投資家注目の適正株価発見ツール  日銀の価格発見機能が不全になる可能性がある中、自己株式取得が新…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る