【チャート診断】岩谷産業は短期反発期待だが、中期はモミ合い継続想定

チャート診断

■短期反発期待だが、中期はモミ合い継続想定、「水素」材料待ち

<歩み&現在位置>

 岩谷産業<8088>(東1・売買単位1000株)は、2014年に人気を集め年初の520円台から11月に892円の高値まで約7割高した。この間のTOPIX(東証株価指数)の上昇率約11%を大きく上回った。ただ、その後は下値730円と上値830円の間でほぼ100円幅の往来相場の展開で全体に対し冴えない。
 年初来高値は4月16日の854円、同安値は7月9日の728円で「中間値」は791円。7月31日の終値759円は昨年11月高値に対し8.5合目、年初来高値に対しては9.8合目という位置にある。

<マ-ケットの視点>

 マーケットでは、「水素社会時代」の有望銘として捉えている。トヨタ自動車が水素を燃料とした燃料電池車を発売したことが昨年の株価好人気の一番の理由だった。ただ、燃料電池車が高額のため一般に普及する局面ではない上に原油相場が100ドル台から44ドルていどまで急落したことで燃料電池車に対する関心と人気を冷え込ませている。
 しかも、前期2015年3月期が営業利益39.7%の大幅減益で1株利益も25.1円(14年3月期42.5円)へ落ち込んだことで年初来高値でのPERが34.0倍と割高となった。「大幅減益に加え高PERにもかかわらず株価は高値圏でよく持ちこたえている。水素社会到来の期待が支えている」(中堅証券)との見方である。

<方向&短・中期判断>

 2016年3月期は利益急回復を想定、1株利益では44円台の見通しで配当は年7円を継続の予定。前期落ち込んだROEは10%前後に回復する見込みだが、配当年7円では株価4ケタを期待するには物足りないとの声が聞かれる。
 短期的には今期の利益急回復という高変化率を見直す相場は予想されるが、原油相場が低水準のままだけに水素エネルギー人気を盛り上げることにはつながらないだろう。信用買残が非常に多く、この信用買残を回転させるにはこれまで以上の材料が待たれるところだが、安部政権が安全保障関連法案に目が向いて日本経済再生等には疎かになっているため水素に対するリップサービスも期待できない状況。
 全般相場が急落するなどして手掛ける銘柄がなくなり消去法で水素関連のテーマが浮上すれば別だが、高ROE、高配当銘柄買いが中心の今の相場では同社株の出番は薄そうだ。中期的には全般相場を横目で睨みながら水素関連の材料待ちの展開でモミが続きそうだ。

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